天職みつかーる
更新日:2026/01/07

広告代理店から事業会社へ転職するには?失敗しない志望動機と職務経歴書の書き方

広告代理店から事業会社へ転職するには?失敗しない志望動機と職務経歴書の書き方

この記事の要約

「クライアントの予算を使うだけでなく、自社のビジネスとして責任を持ちたい」「納品して終わりではなく、サービスを長期的に育てていきたい」

広告代理店で経験を積む中で、このような思いから事業会社(インハウス)のマーケティング職への転職を検討し始める方は少なくありません。しかし、いざ転職活動を始めようとすると、「代理店のスキルがそのまま通用するのか」「年収が下がってしまうのではないか」といった不安に直面することもあるでしょう。

本記事では、広告代理店から事業会社への転職を成功させるための戦略を解説します。求められる視点の切り替え方や、採用担当者に刺さる職務経歴書・志望動機の書き方、そしておすすめの転職エージェントまで、具体的なノウハウをご紹介します。

なぜ「事業会社に行きたい」のか?代理店出身者が抱える悩みと現実

広告代理店での仕事は、多くのクライアントと関わり、最先端のトレンドや手法に触れられる刺激的な環境です。しかし、キャリアを重ねるにつれて構造的な限界を感じる瞬間も訪れます。まずは、多くの代理店出身者が抱える悩みと、事業会社を目指す背景にある現実を整理してみましょう。

クライアントワークの限界とジレンマ

代理店のミッションはあくまで「クライアントの支援」です。提案が通らなければ施策は実行できず、どれほど優れたクリエイティブや運用プランであっても、クライアントの方針転換一つで白紙になることがあります。「もっとこうすれば成果が出るのに」という歯がゆさを感じ、「決定権のある側」に行きたいと考えるのは自然な流れと言えます。

「納品して終わり」への虚しさ

キャンペーンや広告配信が終了すれば、そのプロジェクトは一旦の区切りを迎えます。しかし、事業の本質的な成長はそこからがスタートです。LTV(顧客生涯価値)の最大化や、プロダクト自体の改善といった、広告運用のさらに奥にある「事業数値」にコミットしたいという欲求は、マーケターとしての視座が高まった証拠でもあります。

ワークライフバランスと働き方の変化

クライアントの要望に応えるために、どうしても長時間労働になりがちな点も転職理由の多くを占めます。もちろん事業会社であれば必ずしも楽になるわけではありませんが、自社の計画に基づいてスケジュールをコントロールしやすい環境を求めて転職を決意するケースは一般的です。

広告代理店と事業会社の違いとは?求められる「3つの視点転換」

「広告運用のプロ」がそのまま事業会社で活躍できるかというと、必ずしもそうではありません。事業会社が求めているのは、単に管理画面を操作できる人ではなく、「マーケティングを通じて事業を伸ばせる人」です。転職活動では、以下の3つの視点転換ができているかをアピールする必要があります。

1. 部分最適から全体最適へ

代理店では「CPA(獲得単価)をいかに下げるか」「ROAS(広告費用対効果)をいかに合わせるか」といった、広告領域内での最適化が主なミッションになりがちです。

一方、事業会社では広告はあくまで手段の一つに過ぎません。商品企画、営業、カスタマーサクセス(CS)など、他部署と連携しながら事業全体の利益を最大化する視点が求められます。「広告予算を削ってでも、サイト改修やCRM(顧客関係管理)に投資すべき」といった判断が必要になる場面もあるでしょう。

2. Short-termからLong-termへ

代理店では月次予算の消化やキャンペーン期間中の成果が重視されますが、事業会社では長期的なブランド資産の積み上げや、顧客との永続的な関係構築が重視されます。

目先の獲得件数だけでなく、「この施策が3年後のブランドイメージにどう影響するか」という長期的な時間軸で物事を捉える姿勢への転換が必要です。

3. 「HOW(手法)」から「WHY(戦略)」へ

「どの媒体を使うか」「どんなクリエイティブにするか」というHOWの話の前に、事業会社では「なぜ今それをやるのか」「それは経営課題の解決に繋がるのか」というWHYの合意形成が非常に重要です。

社内のステークホルダーを説得し、予算を確保するためのロジカルな説明能力や調整力は、広告運用のスキル以上に重要視される傾向があります。

パターン別・事業会社マーケターの種類と選び方

一口に「事業会社のマーケティング職」と言っても、企業の業態やフェーズによって求められる役割は大きく異なります。ミスマッチを防ぐためにも、主な3つのパターンを知っておきましょう。

大手BtoCメーカー(化粧品、食品、日用品など)

ブランドマネージャー制を敷いていることが多く、マス広告とデジタル広告の統合的なプランニングが求められます。

  • 求められる役割: ブランドの世界観を守りながら売上を作る。関係各所との調整業務が多い。
  • 向いている人: 大規模な予算を動かしたい人、コミュニケーション設計が得意な人、調整力に自信がある人。

SaaS・ITベンチャー(BtoB、Webサービス)

「The Model」型の組織体制をとることが多く、マーケティングチームの主なミッションは営業への「リード(見込み客)供給」です。

  • 求められる役割: デジタルマーケティングによる効率的なリード獲得、MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用、インサイドセールスとの連携。
  • 向いている人: 数字で結果を出すことにこだわる人、スピード感を重視する人、ネット専業代理店出身者。

伝統的企業のDX推進

これまでオフライン中心だった企業が、デジタルシフトを進めるためのポジションです。社内にデジタルの知見がない場合が多く、啓蒙活動から入る必要があります。

  • 求められる役割: デジタルマーケティングの基礎構築、社内リテラシーの向上、外部パートナーのディレクション。
  • 向いている人: 0から1を作るのが好きな人、組織を変えていくことにやりがいを感じる人。難易度は高いですが、成功すれば市場価値は跳ね上がります。

【選考対策】事業会社への転職を成功させる職務経歴書の書き方

事業会社の採用担当者は、あなたの「予算規模」よりも「思考プロセス」を見ています。代理店時代の実績をそのまま羅列するのではなく、事業会社の視点に合わせて翻訳することが重要です。

NG例:規模と媒体のアピールのみ

避けるべき書き方の傾向
  • 「月額予算1億円の大型アカウントを担当」
  • 「Google、Yahoo!、Meta、LINEなど主要媒体の運用経験あり」
  • 「大手自動車メーカー、飲料メーカーを担当」

これらは事実として素晴らしい実績ですが、事業会社側からすると「大きな予算があったからできたのでは?」「媒体の仕様に詳しいだけでは?」と捉えられる可能性があります。

OK例:PDCAプロセスと「再現性」のアピール

事業会社が知りたいのは、「予算がない中でも成果を出せる工夫ができるか」「未知の課題に対してどうアプローチするか」というポータブルスキルです。

評価される書き方のポイント

課題設定から改善までのストーリーを書く。

  1. 課題: クライアントの課題は何だったか(例:CPA高騰による獲得鈍化)。
  2. 仮説: なぜその課題が起きていると考えたか(例:ターゲット層の枯渇とクリエイティブの疲弊)。
  3. 施策: 具体的に何をしたか(例:訴求軸を機能便益から情緒的価値へ変更し、LPも含めて改修)。
  4. 結果: 数値はどう変化したか(例:CVRが1.5倍になり、CPAを20%改善)。
  5. 考察: なぜ成功したのか、その経験から得た知見は何か。

書き方のTips:数値の背景にある「仮説」を言語化する

単に「CPAを改善しました」と書くのではなく、「なぜその施策で改善すると踏んだのか」という仮説の部分を厚く記述してください。事業会社では正解のない中で仮説検証を繰り返す力が求められるため、この「思考の深さ」が最大の武器になります。

広告代理店出身者が面接で聞かれる「志望動機」の答え方

面接では必ずと言っていいほど、「なぜ代理店ではなく事業会社なのか?」と問われます。この際、「代理店が嫌だから」というネガティブな理由ではなく、ポジティブな「貢献意欲」に変換して伝える技術が必要です。

頻出質問への回答フレームワーク

以下の3段階構成で伝えると、論理的かつ熱意が伝わりやすくなります。

1. 原体験(代理店での気づき)

「代理店で様々なクライアントを支援する中で、施策の一部だけでなく、商品開発やCRMを含めた事業全体に関与したいと強く思うきっかけがありました」

2. 御社の魅力(なぜその会社か)

「中でも御社は、〇〇というビジョンを掲げ、顧客の声をもとにスピーディーにプロダクト改善を行っています。その顧客志向の強さに惹かれました」

3. 貢献できるスキル(即戦力性)

「私が培ってきたデータ分析力と高速でPDCAを回す運用スキルは、御社の現在のフェーズである『リード獲得の効率化』に直結すると確信しており、即戦力として貢献したいと考えています」

ネガティブ動機の変換例

  • 「激務が辛い」
    • → 「より腰を据えて、一つの事業と深く向き合い、中長期的な成果を追求できる環境で働きたい」
  • 「上流工程に関われない」
    • → 「マーケティング戦略の立案から実行まで、一気通貫で責任を持って遂行したい」
  • 「クライアントの言いなりになるのが嫌」
    • → 「自社の看板を背負い、当事者意識を持って意思決定に関わりたい」

広告・マーケティング職の転職におすすめのエージェント・サイト

広告業界やマーケティング職の転職は専門性が高いため、一般的な総合求人サイトだけでなく、業界に特化したエージェントを併用することをおすすめします。それぞれの特徴を理解し、自分の目的に合ったサービスを選びましょう。

マスメディアン

宣伝会議グループが運営する、マーケティング・クリエイティブ職に特化した転職エージェントです。広告業界の事情に精通したコンサルタントが在籍しており、一般的なエージェントでは伝わりにくい専門用語や細かいスキルのニュアンスも理解してくれます。事業会社の宣伝部や広報、マーケティング部門の求人を豊富に保有しています。

JACリクルートメント

30代以上や、年収アップを狙う経験者向けのハイクラス転職エージェントです。企業担当者が直接求職者のカウンセリングも行う「両面型」の体制をとっているため、企業のカルチャーや求めている人物像について深く詳細な情報を持っています。外資系企業や大手事業会社のマーケティング管理職などを目指す場合に最適です。

リクルートエージェント

業界最大手の転職エージェントであり、圧倒的な求人数を誇ります。広告・マーケティング職に限らず、幅広い業界の事業会社求人を網羅しているため、「まずはどんな選択肢があるのか広く知りたい」というフェーズでは登録必須と言えます。未経験の業界へキャリアチェンジを検討する場合にも心強い存在です。

Green(グリーン)

IT・Web業界に強い求人メディアです。スタートアップからメガベンチャーまで、デジタルマーケティング職の求人が多数掲載されています。エージェントを介さず企業と直接やり取りができるほか、応募前に「カジュアル面談」を設定できる企業も多いため、カルチャーマッチを重視したい方におすすめです。

プロの転職(旧シンアド転職エージェント)

デジタルマーケティング人材に特化した転職エージェントです。広告代理店から事業会社への転職支援実績が豊富で、独自の非公開求人も保有しています。業界特有のキャリアパスに詳しいため、今後のキャリアプランも含めて相談に乗ってもらえます。

まとめ

広告代理店から事業会社への転職は、単なる「場所の移動」ではなく、仕事への向き合い方や求められるスキルセットを変える大きな挑戦です。

しかし、恐れる必要はありません。代理店で培った「スピード感」「変化への対応力」「泥臭い運用経験」は、インハウス化を進める多くの事業会社にとって、喉から手が出るほど欲しいスキルでもあります。

重要なのは、そのスキルを「事業会社の言語」に変換して伝えることです。「予算を消化する人」から「事業を伸ばす人」へ。視座を一段階引き上げることで、あなたの市場価値はさらに高まるはずです。まずは転職エージェントに相談し、客観的な自分の強みを棚卸しすることから始めてみてはいかがでしょうか。

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