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更新日:2026/08/21

未経験から林業へ転職|求人の探し方と「緑の雇用」で取れる資格

未経験から林業へ転職|求人の探し方と「緑の雇用」で取れる資格

この記事の要約

林業は入職にあたって学歴や資格を特に必要としない仕事で、未経験から入る道が制度として用意されています。ただし求人を何件見るかより、どの入口から入るかで最初の数年が変わります。この記事では、林業作業の6つの工程、未経験者に開かれている3つの入口、「緑の雇用」の研修が段階ごとにどう進むか、賃金と労働災害の実態、そして求人の探し方と相談先を、林野庁と厚生労働省の資料に沿って整理します。

入口が多くて決められない

林業の求人を探すと、性質の違う入口が同時に並びます。就業支援制度を案内する公的なサイト、県単位の林業求人サイト、求人検索エンジン、ハローワークの求人を集めたページ、大手転職サイトの農林水産関連の職種ページです。制度の窓口から入るのか、求人票から入るのかで最初にやることが変わるのに、どちらを先に見ればよいのかは並び順からは分かりません。

林業の実務経験がなく、学歴も資格も林業と無関係な状態から林業事業体に就職しようとしているなら、この状態から次の一手を決めるのは難しいはずです。求人票に仕事内容は書かれていても、その作業が年間のどの時期に集中するのか、公的な研修を受けられる事業体なのかまでは書かれていないことがあります。

林業の求人探しは、掲載件数を追うより先に入口を決めたほうが早く進みます。未経験者向けの公的な講習で試すのか、3か月の試用で職場を確かめるのか、事業体に直接応募するのか。この選択で、最初の数か月にやることが変わります。

農業や漁業も候補に入れて一次産業全体から選びたいのであれば、以下の記事が産業ごとの特徴と求人選びのコツを整理しています。

参考記事:田舎で暮らす!未経験から始める農業・林業・漁業の仕事探し

林業の仕事は6つの工程

森の中でチェーンソーを持ち作業する林業の作業員

林業作業は年間を通じて6つの工程に分かれ、季節によって担当する作業が変わります。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は、この職業の仕事を「森林を維持管理しながら、育成した樹木を伐採して木材資源を生産する」と定義し、作業を次のように整理しています。

工程内容主に使う道具・機械
地ごしらえ植林がしやすいように整地する刈払機、手動工具
植林苗木を植えていく手工具
下刈り苗木の周辺に生えた雑草を刈り払う刈払機
枝打ち節のない木材を生産するため枝を切り落とすのこぎり、チェーンソー
間伐光と養分が全体に行きわたるよう本数を減らすチェーンソー、大型林業機械
主伐最終的に残った大きな木を伐採して収穫するチェーンソー、ハーベスタ、フォワーダ

機械の比重が大きい仕事でもあります。枝払いから一定の長さにそろえて切る測尺・玉切り、集積作業までを一貫して行うハーベスタやプロセッサ、集材専用車両のフォワーダといった大型森林機械を操作し、フォークリフトやクレーンを扱う場面もあります。伐採した木材の運搬や、運搬のための林道建設も仕事に含まれます。job tag は「機械化も進んでいるが、体力を必要とする」とし、斜面での伐採作業などでは危険を伴うこともあると説明しています。

作業は班単位で進むため、協調性が求められる点も押さえておきたいところです。自然を相手にする仕事なので、季節によって仕事内容が大きく変わると job tag は説明しています。同じ職場に勤めていても、時期によって体の使い方が変わる仕事です。

産業としての方向は上向きです。木材の自給率は最低を記録した2002年の18.8%から概ね年々上昇し、2023年には43.0%になっています(林野庁 令和5年度木材需給表の数値を job tag が引用)。国産材の利用が広がれば、伐って植えて育てる担い手の需要も続くと考えられます。

未経験の入口は3つ

林業は入職にあたって特に学歴や資格を必要としません。job tag も「入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされない」「学校卒業後、森林組合や林業会社等の林業事業体に就職するのが一般的である」と説明しています。そのうえで、未経験から入る経路は3つに分かれます。

公的な講習で試してから決める

就職の前に林業を体験できる公的な講習があります。林業就業支援事業の案内サイトでは、就業希望者向けに「林業就業相談会(1日コース)」「体験コース(旧5日間コース)」「実践コース(旧20日間コース)」の3種類が案内されています。もしあなたが林業に向いているか分からない段階なら、まず1日の相談会か体験コースから確かめられます。実際に山に入って道具を持ってみると、求人票を読み比べるより早く判断がつきます。

トライアル雇用で3か月試す

「緑の雇用」の体系には、本格就業の前に置かれた仕組みがあります。トライアル雇用は、林業就業希望者が仕事や職場に合っているかを試す3か月間の就業です。この期間は集合研修ではなく実地の研修として設定されていて、現場に入りながら続けられるかを見極める形になります。

森林組合や林業会社へ直接応募する

森林組合や林業会社などの林業事業体に直接応募する経路もあります。求人媒体や後で紹介する窓口を通じて応募し、採用後に研修へ入ります。すでに体を動かす仕事の経験があり、勤務地の見当もついているなら、この経路がいちばん短くなります。

年齢で入口が閉じるわけではありません。job tag によると、林業作業の仕事に新たに就く人は年間で概ね3,000人前後で推移し、直近では3,333人です(2023年時点。林野庁 林業労働力の動向)。約半数が50歳以上で、様々な職業を経て30代・40代で初めてこの職に就く人もいると説明されています。学歴の内訳は高卒が59.5%、大卒が21.4%、高卒未満が14.3%で、特定の学歴に偏った採用ではありません。

緑の雇用の研修とキャリア

森の開けた場所で木材について指導を受ける若手作業員

「緑の雇用」は、都道府県知事の認定を受けた林業事業体に採用された人が受けられる研修の支援制度です。林野庁の説明では、林業労働力の確保の促進に関する法律に基づき認定を受けた林業事業体に対して、新規就業者を雇用して行う研修等に必要な経費を支援する仕組みとされています。

ここが求人選びに直結します。制度を使えるかどうかは応募先の事業体が認定を受けているかで決まります。働きながら刈払機やチェーンソーの資格を取りたいのであれば、応募前に確認する項目になります。求人票に「緑の雇用」の記載がなければ、面接で研修の実施状況を聞いてください。

研修は段階制です。それぞれの対象と期間、取得できる資格は次のように決まっています。

段階対象期間・座学の日数研修中に取得する主な資格
トライアル雇用本格就業の前に試す人実地3か月(集合研修なし)なし
林業作業士(フォレストワーカー)研修 1年目林業の仕事を始めた人座学28日程度+実地8か月刈払機取扱作業者、伐木等の業務、玉掛け技能講習
同 2年目1年目の内容の確認・応用座学29日程度+実地8か月不整地運搬車運転技能講習、機械集材装置の運転業務
同 3年目基礎力の向上・大型機械座学21日程度+実地8か月簡易架線集材装置の運転業務、伐木等機械の運転業務
現場管理責任者(フォレストリーダー)研修経験5年以上・作業班長候補者など座学16日程度造林作業の作業指揮者、はい作業主任者
統括現場管理責任者(フォレストマネージャー)研修経験10年以上・複数班の統括座学10日程度安全衛生推進者養成講習

未経験から入る人にとって大きいのは、1年目の内容です。刈払機の取扱いやチェーンソーによる伐木等の業務、玉掛け技能講習といった、現場で必要になる資格を働きながら取得していく形になります。2年目には不整地運搬車や機械集材装置、3年目には簡易架線集材装置や伐木等機械へと範囲が広がり、3年で大型機械を使う作業まで届く設計です。

その先は経験年数で段階が変わります。現場管理責任者(フォレストリーダー)研修は経験5年以上で、判断力や指導力、現場作業の管理を学びます。統括現場管理責任者(フォレストマネージャー)研修は経験10年以上で、複数班の統括に加えて林業の社会的使命や企画・営業・販売までが対象に入ります。現場の技能から管理側へ進む道筋が制度として引かれている点は、未経験で入る判断材料になります。

制度の規模も見ておきます。林野庁の説明によると、林業における新規就業者数は緑の雇用の開始前は年間2,000人程度でしたが、事業の開始後は年間3,200人程度に増加し、令和7年度までに約2万4千人がこの制度を活用して新たに就業しています。事業が始まったのは平成15年度なので、20年以上続いている枠組みです。なお林業大学校等で学ぶ青年を対象にした緑の青年就業準備給付金事業も別に用意されています。

賃金と労働災害の実態

賃金は在職者の平均と募集時の水準で見え方が変わり、労働災害の発生率は全産業の中で最も高い状況です。順に確認します。

job tag によると、この職業の賃金は年収360.8万円、労働時間は167時間、平均年齢は49.1歳です(令和7年賃金構造基本統計調査を加工した数値)。これは在職者の平均で、未経験で入るときの水準ではありません。募集時の目安に近いのはハローワークの求人賃金で、令和7年度の全国平均は月額24.6万円です。求人の出方は他の職種と逆で、令和7年度の有効求人倍率は4.36。求人1件に対して仕事を探している側が少ない状態です。

働き方には振れ幅があります。就業形態は正規の職員・従業員が38.1%、自営・フリーランスが28.6%、アルバイト(学生以外)が26.2%、パートタイマーが16.7%、契約社員・期間従業員が14.3%、派遣社員が4.8%です。これは job tag が「この職業で働く人が多いと感じる就業形態」を尋ねた結果で、複数回答のため合計は100%を超えます。job tag は「雇用形態は有期雇用が多く、季節や天候によって仕事の内容や労働時間は変動する」と説明しています。事務所から現場までが遠く、明るいうちに作業を終える必要があるため朝も早く、夏には仕事内容によって朝5時半頃から始めることもあります。通年で同じ勤務が続く前提では考えないほうが実態に近いので、冬季の仕事があるかどうかは応募前に確かめる項目です。

労働災害の発生率は、この仕事を選ぶ前に必ず見ておく数字です。林野庁は「足場の悪い山の中で、チェーンソー等を用いて、重量物である立木を伐倒する林業は、労働災害の発生率が高くなっています」とし、1年間の労働者1000人当たりに発生した死傷者数の割合を示す年千人率が全産業の中で最も高い状況だと明記しています。参考として、厚生労働省が公表した令和6年の休業4日以上の死傷災害の年千人率は、全産業で2.35です。国の第14次労働災害防止計画(令和5年度から令和9年度)でも、建設業と林業を名指しで死亡災害を15%以上減少させる目標が置かれています。

労働災害の中身にも偏りがあります。林野庁の資料では、作業種別の死亡災害は伐木作業中が6割を占め、年齢別では50歳以上が約7割を占めています。つまりリスクが集中しているのは伐倒の場面で、そこに入るまでの訓練と手順が効く領域です。体力に自信があるかどうかではなく、安全講習と保護具、作業手順が整っている職場を選べるかどうかで危険の大きさが変わります。面接では、安全講習を受ける機会があるか、ヘルメットやチェーンソー用の防護衣などの保護具が支給されるか、新しく入った人が単独で伐倒作業に入るまでにどのくらいの期間をかけるかを聞いてください。

求人の探し方と相談先

林業の事業体は森林の多い地域に散在していて規模の小さい会社が多いため、求人媒体だけでなく公的な窓口を併用するほうが早く進みます。job tag も「雇用する林業会社は、北海道、岩手、岐阜、広島等森林の多い地域に多く、個人経営のような、規模の小さい会社の比率が高い」と説明しています。勤務地を動かせない事情があるなら、選べる求人は限られると考えておいたほうが計画は立てやすくなります。

最初に当たるべきは都道府県の窓口です。緑の雇用の総合ウェブサイトには各都道府県の林業労働力確保支援センター等の一覧があり、随時、林業就業希望者からの相談を受け付けていると案内されています。地域の事業体の状況や、認定を受けている事業体の情報を持っているのはこの窓口です。都道府県から選んで連絡すれば、求人票に出ていない事情も聞けます。

次に、未経験者向けの講習を運営している窓口です。入口として挙げた相談会や体験コース、実践コースはここから申し込みます。就業前に現場を見てから応募先を決めたいなら、この経路と都道府県の窓口を組み合わせるのが現実的です。

民間の求人媒体も併用できます。マイナビ転職には農林水産関連(林業)の求人・転職情報のページがあり、地域と職種を掛け合わせて正社員の求人を探せます。公的な窓口が地域の事業体に強い一方、民間媒体は募集要項の条件(給与欄、休日、雇用形態)を横並びで比較しやすいのが利点です。まずは登録して、自分の住む地域のページを開いてみるところから始められます。

どの経路で応募する場合も、確認したい項目は共通しています。緑の雇用の認定を受けた事業体かどうか、雇用形態が有期か無期か、冬季の仕事が確保されているか、研修に出してもらえるか。この4点を面接で聞ければ、入社後の見通しがかなりはっきりします。

よくある質問

Q. 林業で働く人の給料はいくらですか?

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、この職業の賃金は年収360.8万円、平均年齢は49.1歳とされています(令和7年賃金構造基本統計調査を加工した数値)。これは在職者の平均です。募集時の目安に近いのは同サイトのハローワーク求人賃金で、令和7年度の全国平均は月額24.6万円です。

Q. 林業は儲かりますか?

雇用されて働く場合、job tag の統計では年収360.8万円が在職者の平均で、有期雇用が多く季節や天候で労働時間が変動します。山林を持って経営する立場の所得と、事業体に雇われて働く人の賃金は別のものなので、求人を見るときは雇用者側の数字で判断してください。資格を積んで大型機械や現場管理を担えるようになると、任される作業の範囲が広がります。

Q. 林業の仕事はきついですか?

体力を必要とする仕事です。事務所から現場が遠く、明るいうちに作業を終える必要があるため朝が早く、夏には朝5時半頃から始めることもあります。斜面での作業もあり、季節によって仕事内容が大きく変わります。一方でハーベスタやフォワーダなどの大型機械を使う場面も増えていて、すべてが人力というわけではありません。

Q. 林業は死亡率が高い職業ですか?

林野庁は、1年間の労働者1000人当たりの死傷者数を示す年千人率が全産業の中で最も高い状況だと明記しています。死亡災害は伐木作業中が6割、年齢別では50歳以上が約7割を占めます。リスクが伐倒の場面に集中しているため、安全講習を受ける機会と保護具の支給、単独作業に入るまでの期間が整っている職場を選ぶことが対策になります。

まとめ

未経験から林業に入るときは、次の順序で決めると迷いが減ります。

  • 入口を選ぶ
    • 1日の相談会や体験コースで試す、3か月のトライアル雇用で確かめる、事業体へ直接応募する
  • 応募先が認定事業体かを確認する
    • 緑の雇用の研修を受けられるかは事業体側の認定で決まる
  • 安全体制と冬季の仕事を確認する
    • 安全講習の機会、保護具の支給、単独作業までの期間、有期か無期か

まず動くなら、住んでいる都道府県の林業労働力確保支援センターに相談の連絡を入れてみてください。地域にどんな事業体があり、どこが緑の雇用の研修を実施しているかは、求人票を何十件開いても分かりません。窓口に1本連絡するほうが、次に見るべき求人が早く絞れます。

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