天職みつかーる
更新日:2026/08/24

看護師の仕事は病院だけじゃない|臨床を離れる働き方と収入の変わり方

看護師の仕事は病院だけじゃない|臨床を離れる働き方と収入の変わり方

この記事の要約

看護師資格で就ける病院以外の職場は、健診センターや美容クリニック、企業の健康管理室、治験の現場、自治体や学校まで広がっています。ただし職場の名前を並べただけでは選べません。この記事では、看護技術をどれだけ使うか、勤務時間がどう決まるか、病棟に戻るときにどう見られるかという3つで職場を並べ、看護師免許だけで応募できる職と保健師免許や教員免許が別に必要な職を区別します。夜勤を外したときに収入のどの部分が減るのかも、賃金統計の内訳から計算して示します。

病院以外が気になったら

窓の外を見つめながら考え事をする女性

夜勤明けに眠れないまま日が暮れて、翌週はまた別のリズムで働く。その繰り返しの中で、この先も同じ働き方を続けられるだろうかと考えることがあります。病棟で2年、3年と経験を積んだあたりで、看護師の仕事は病院の中だけなのだろうかと考え始める人がいます。資格は持ったまま、病院ではない場所で働く道はあるのか、という問いです。

職場の名前なら、いくつも思い浮かびます。美容クリニック、産業看護師、治験コーディネーター、保育園。ただ、名前を知っていることと、そこで自分がどう働くことになるかを見当づけられることは別です。

詰まる箇所は2つあります。1つは、求人票から業務の中身が読み取りにくいことです。勤務時間や休日は「日勤のみ」「土日休み」のように具体的に書かれます。一方で、その職場で採血や点滴といった手技がどれだけ発生するのかは、同じ求人票に書かれていません。手技の量が気になるのは、それが病棟に戻る選択を残せるかどうかに直結するからです。手技をほとんど使わない職場に3年いた後、もう一度病棟に戻ろうとしたとき、その3年が経験年数として数えられるのかブランクとして扱われるのか。そこも求人票からは読み取れません。もう1つは収入です。求人票には年収の目安が載っていますが、いまの給与のうち夜勤手当がいくらを占めているかを差し引いた比較ができないため、下がるのか下がらないのかの見当がつきません。

病棟で数年働いた経験があり、在職中に次の職場を探し始めた段階なら、必要なのは職場の一覧ではなく、並べて比べるための物差しです。病院の中で急性期から慢性期へ移る、あるいは訪問看護を主に検討しているのであれば、比べる対象が変わるため、ここから先の内容は当てはまりません。

見る順番を決めておくと迷いません。まず比べるための見方を3つに絞り、次にその見方で職場のまとまりを眺め、最後に収入と復帰の見通しを確かめます。

9つの職場を3つの見方で並べる

病院以外の職場は、看護技術をどれだけ使うか、勤務時間がどう決まるか、病棟に戻るときにどう見られるか。この3つの見方で分けると比較できるようになります。職場の名前ではなく、この3つで並べ替えるところから始めます。

看護技術の濃さは、採血・点滴・創傷処置・急変対応といった手技が日常業務に含まれるかどうかで見ます。手技が毎日ある職場もあれば、観察と記録と調整が業務の中心で、手技はほとんど発生しない職場もあります。同じ看護師の募集でも、この点は職場によって正反対になります。

勤務時間は、夜勤の有無だけでは足りません。夜勤が無くてもオンコール当番が別に設定されている職場があります。繁忙が特定の時期に集中する職場もあります。そして1日の終わりが何で決まるのかも違います。健診センターのように受診の枠が終われば業務が終わる職場と、介護施設のように利用者の状態で終業時刻が動く職場では、生活の組み立てやすさが変わります。

病棟に戻るときの見え方とは、臨床の実務から離れた期間が経験年数として数えられるか、ブランクとして扱われるかという違いです。戻る前提を置くかどうかで選ぶべき職場が変わるため、この見方は最後まで手放さないでください。

厚生労働省の「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、令和6年末現在の就業看護師は1,363,142人で、そのうち病院が895,944人(65.7%)です。残りの34.3%、およそ3人に1人が病院以外で働いていることになります。内訳は診療所が194,665人(14.3%)、介護保険施設等が107,984人(7.9%)、訪問看護ステーションが91,022人(6.7%)、社会福祉施設が28,093人(2.1%)と続きます。企業にあたる事業所は5,879人で、全体の0.4%です。選択肢は確かにありますが、門の広さは職場によって大きく違います。

職場看護技術の濃さ勤務時間必要な免許戻るときの見え方
健診センター採血・血圧・心電図など手技あり受診枠で終業が決まる看護師免許手技が残る
美容クリニック施術の介助。募集で範囲が変わる募集により休日の取り方が変わる看護師免許保険診療とは経験が異なる
保育園・こども園健康観察と応急対応が中心園の開所時間に準じる看護師免許(准看護師も可の募集あり)手技は限られる
介護施設服薬管理・処置・看取りへの関与夜勤なしでもオンコール当番の確認が必要看護師免許手技が残る
企業の産業看護職手技はほぼ無い企業の就業時間。健診の時期に集中看護師免許または保健師免許(募集による)臨床のブランクになりやすい
CRC(治験コーディネーター)手技は無い。記録と調整が中心日勤。夕方の対応が入ることがある学歴・資格は要件ではない臨床のブランクになりやすい
CRA(臨床開発モニター)手技は無い。書類と期限で動く日勤。出張が多い学歴・資格は要件ではない臨床から離れる
自治体の保健師手技はほぼ無い自治体の勤務時間保健師免許+採用試験臨床から離れる
学校の医療的ケア看護職員医療的ケアの実施学校の時間割に準じる看護師免許手技が残る

表の9つは、夜勤のない職場、企業、治験、公的機関の4つのまとまりに分かれます。この4つは求人の出どころも応募の条件も違うので、まとまりごとに見ていくことになります。クリニックの外来と訪問看護をこの表に入れていないのは、病院の中の職場替えと地続きで、求人票の読み方が共通するためです。その2つも候補に残すなら、夜勤の体制や給与の内訳、配置と教育体制を求人票のどこで確認するかを先に押さえておくほうが、比較の精度は上がります。

参考記事:看護師の転職ガイド|職場別の求人の選び方とおすすめサイト比較

夜勤のない職場で働く

夜勤が無くなる代わりに、1人で判断する場面と記録・調整の量が増える。これが医療機関や施設の中で夜勤のない職場に共通する構造です。身体的な負荷は軽くなりますが、負荷の種類が入れ替わると考えたほうが実態に近くなります。

健診センター

採血、血圧測定、心電図、問診といった手技はありますが、対象は健常者が中心です。病棟のように患者の状態で終業時刻が動くことはなく、その日の受診枠が終われば業務が終わります。1日の終わりが読みやすいという点は、生活のリズムを固定したい場合に効いてきます。もしあなたが子どもの生活時間に勤務を合わせたいなら、受診枠で区切られる職場のほうが、日勤のみと書かれた病棟勤務よりも予定を立てやすくなります。

一方で、繁忙が偏ります。労働安全衛生規則第44条は、事業者に対し常時使用する労働者へ1年以内ごとに1回の定期健康診断を行うよう義務づけています。実施の時期は事業者ごとに決まっているため、健診機関の側でも受診が特定の時期に寄ります。どの時期に集中するかは機関によって違うので、面接で確認する項目になります。巡回健診を担当する募集なら、移動の時間が勤務時間にどう含まれるかもあわせて確かめておきます。

美容クリニック

美容医療は自由診療であり、保険診療の医療機関とは収益の作り方も評価の軸も違います。求人票で確認したいのは業務の範囲です。施術の介助だけを担当する募集と、カウンセリングや接客まで含む募集では、1日の中身が変わります。休日の取り方も募集ごとに違うため、面接で確かめておく項目になります。

行政の資料に目を通しておく価値もあります。厚生労働省の「美容医療の適切な実施に関する検討会」が令和6年11月にまとめた報告書は、保健師助産師看護師法第37条との関係で医師の指示のない診療の補助行為が疑われる事例として、医療機関において医師の指示がない状況下で看護師が脱毛等の医行為を実施している事例が報告されたと記しています。これは業界全体を指す指摘ではありませんが、求人票の業務内容に施術が含まれている場合、その施術が医行為に当たるなら医師の指示の下で行うことになる、という前提を面接で確認しておく理由にはなります。

保育園・こども園

保育園で働く看護職には、制度上の位置づけがあります。児童福祉施設の設備及び運営に関する基準は、乳児を4人以上入所させる保育所の保育士の数を算定するにあたり、当分の間、その保育所に勤務する保健師または看護師を1人に限って保育士とみなすことができると定めています。平成27年4月からは准看護師も同じ扱いの対象になりました。

つまり保育士の定数に算入できるのは1人までです。看護職を何人置くかは園の判断になるため、園内に相談できる同職種がいるかどうかは募集ごとに違います。保育業務をどこまで担うのかという線引きも園によって変わるので、業務内容の欄と面接で確認する項目になります。

介護施設

指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準は、看護職員の員数を常勤換算方法で定めています。入所者が30人までなら1人以上、30人を超えて50人までなら2人以上、50人を超えて130人までなら3人以上、130人を超える場合は3人に加えて50人ごとに1人を足した数以上です。入所者100人規模の特別養護老人ホームでも、基準上の看護職員は常勤換算で3人以上ということになります。

この人員基準は、夜間に看護職員を置くことを求めていません。そのため、求人票に「夜勤なし」と書かれていても、電話で呼び出されるオンコール当番が別に設定されている場合があります。夜勤の有無だけで判断せず、オンコールの回数と手当、呼び出しの実績を確認しておく必要があります。服薬管理や処置に加えて看取りにどこまで関わるかも、施設によって差が出る部分です。

企業で働く産業看護職

企業の看護職は、病気を治す仕事ではなく、働く人が働き続けられる状態を保つ仕事です。その中身は、労働安全衛生法が事業者に課している義務の実務と重なります。

まず呼称を整理しておきます。求人では「産業保健師」「産業看護師」「健康管理室スタッフ」などの名称が使われ、保健師免許を必須とする募集と看護師免許で応募できる募集が混在します。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)に職業として立てられているのは保健師で、企業で働く産業保健師については、職場でのメンタルヘルス不調を未然に防止するため2015年12月より一定規模以上の職場で義務づけられたストレスチェックの実施や、その診断結果の通知等の仕事を担っていると記されています。「産業看護師」は求人上の呼称と考え、応募前に免許要件を確認してください。

仕事の中身は、事業者の義務に紐づけると輪郭がはっきりします。労働安全衛生規則第44条による定期健康診断の企画と運営、労働安全衛生法第66条の4に基づく有所見者についての医師からの意見聴取の段取り、同法第66条の5による就業場所の変更や労働時間の短縮といった事後措置のフォロー、保健指導、長時間労働者への面接指導の調整、産業医との連携、衛生委員会の資料づくり。1年の流れは健康診断の実施時期を軸に回るため、繁忙期と落ち着く時期がはっきり分かれます。

ストレスチェックについては、看護師が担える範囲を正確に押さえておく価値があります。労働安全衛生規則第52条の10第1項は、実施者になれる者として医師、保健師、そして検査を行うために必要な知識についての研修であって厚生労働大臣が定めるものを修了した看護師または精神保健福祉士を挙げています。看護師免許だけで自動的に実施者になれるわけではなく、所定の研修の修了が要ります。3年以上の経験があれば研修が免除されるという説明を見かけることがありますが、これは改正省令の施行日の前日である平成27年11月30日の時点で労働者の健康管理等の業務に3年以上従事した経験を有する者に限られた経過措置です。これから実施者を目指すなら研修を受けることになります。

対象となる職場は広がる方向にあります。厚生労働省によれば、2025年5月に公布された改正労働安全衛生法により労働者数50人未満の事業場にもストレスチェックが義務化され、施行は令和10年4月1日です。

この道を選ぶ前に知っておくこと

企業の看護職は、就業場所としては狭い門です。令和6年衛生行政報告例では事業所で働く看護師は5,879人で全体の0.4%にとどまります。同じ表で事業所の保健師は5,045人ですが、こちらは保健師全体の7.9%を占めます。実人員はほぼ同じでも、保健師にとっての主要な就業場所の1つであるのに対し、看護師にとっては例外的な進路だという差があります。

3つの見方に照らすと、産業看護職は手技をほとんど使わず、勤務時間は企業の就業時間に準じ、病棟へ戻るときには臨床のブランクとして扱われやすい職場です。保健師免許を持っていない場合の進み方は、看護師免許で応募できる募集を探すか、あらためて保健師免許を取るかの2つです。免許を取るルートは自治体の保健師のところで扱います。

治験に関わる仕事

治験の仕事は、医療機関側に立つCRCと、依頼者側に立つCRAの2つに分かれます。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)は臨床開発モニターの職業詳細でこの違いを、治験コーディネーターが医療機関側の立場から医師や関係部局と連携・調整し被験者を支援するのに対し、臨床開発モニターは製薬会社側の立場から治験の実施を進捗管理すると説明しています。看護師の経験がどこで効くかも、この立ち位置の違いで変わります。

治験は、製薬会社などの依頼者が計画し、医薬品開発業務受託機関(CRO)が依頼者の業務を受託し、実際の投薬と検査は医療機関で行われ、その医療機関を治験施設支援機関(SMO)が支える、という体制で動きます。CRCはこの流れの医療機関側、CRAは依頼者側に位置します。

CRC(治験コーディネーター)

SMOに所属するか、医療機関に直接雇用されて働きます。仕事は、治験の実施計画書を読み、製薬会社が行う説明会に参加し、医薬品や検査キットを受け取って被験者の来院の準備をすることから始まります。被験者の募集とスクリーニング、説明文書と同意書の作成、医師が被験者に説明する場への同席、診察と投薬と検査の日程表の作成、医師の診察への同席と服薬状況や有害事象の記録、症例報告書の作成、有害事象が生じた場合の報告書の作成、そして治験終了の報告書まで担当します。

病棟で患者に説明し、予定を組み、記録を残してきた経験は、そのまま業務の中身と重なります。job tag は入職にあたって特に学歴や資格は必要とされないとしたうえで、医療機関は新卒で治験コーディネーターを採用することは少なく、看護師、薬剤師、臨床検査技師などが治験コーディネーターを兼務することが多いと記しています。病院に籍を置いたまま治験に関わるという道があるということです。

労働条件について job tag は、夜勤はなく日勤であること、残業は少ないが診療時間後に医師との打合せなどが入ることがあること、治験によっては被験者の就業時間後の夕方等に対応することもあると記しています。専任の治験コーディネーターは全国で数千人程度とみられるとされており、規模の小さな職種です。関連資格には日本SMO協会公認CRCと日本臨床薬理学会認定CRCがあり、働きながら2〜3年で取得を目指すのが一般的とされています。

CRA(臨床開発モニター)

製薬会社またはCROに所属します。標準業務手順書の確認、治験実施計画書の策定の準備、治験を依頼する医療機関と治験責任医師の選定、治験参加の依頼と契約の締結、治験薬の交付と管理、実施計画書に基づくモニタリング、症例報告書とカルテなど原データの照合、報告書の作成が一連の流れです。

中途採用については、薬剤師、看護師、臨床検査技師等の医療系の分野である程度の臨床経験年数を積んだ後に採用されること、中途採用はCROに多いこと、治験コーディネーターからの転職もあることが job tag に記されています。資格所有者としては薬剤師の割合が高く、次いでMR、看護師、臨床検査技師、保健師と続きます。

働き方には向き不向きがはっきり出ます。job tag は、就業地域が製薬会社やCROの本拠地がある主要大都市に限られること、夜勤は無く日勤だがフレックスタイム制の場合もあること、医療機関の都合で土日出勤となるケースもあること、そして受け持つ医療機関数や地理的環境によるものの出張の機会が多いのが一般的であることを挙げています。オンライン会議が増えてカルテ閲覧を除く訪問は以前より減ったとも記されていますが、移動を伴う働き方であることは変わりません。

学歴の分布も見ておく価値があります。job tag が「この職業で実際に働いている人が多いと感じる学歴」として示す値は、修士課程卒が71.7%、大卒が66.0%、博士課程卒が24.5%で、専門学校卒と短大卒はいずれも0.0%です。これは複数回答で、応募の要件ではなく実態を表した数字ですが、CRCの同じ設問が専門学校卒26.5%、大卒82.4%であることと比べると、看護専門学校を出た場合はCRCのほうが入口として現実的だと分かります。

CRCとCRAに共通する注意点は、臨床の手技から離れることと、書類と期限で動く仕事だということです。急変対応の緊張から離れられる代わりに、締切と正確さの緊張が入れ替わりで入ってきます。

公的機関で働く

自治体や国で働く看護職は、看護師免許だけで就ける職と、別の免許や採用試験が必要な職に分かれます。ここを取り違えると応募できない求人を追いかけることになるため、免許要件から見ていきます。

自治体の保健師

保健師助産師看護師法上の保健師免許が必要です。job tag によれば、保健師国家試験の受験資格は看護師国家試験に合格していることが前提で、看護系大学で保健師選択課程を選択した人はそのまま受験資格を得ますが、それ以外の場合は看護系大学院で2年間、または看護大学専攻科・別科、看護短期大学専攻科、保健師養成所のいずれかで1年間の専門教育を修める必要があります。

免許を取っただけでは自治体では働けず、保健師区分の採用試験に合格する必要があります。募集の時期と回数、年齢の要件は自治体ごとに決められているため、志望する自治体の採用情報を個別に確認することになります。

仕事の内容は、生活習慣病を予防するための教室、喫煙者に対する保健指導、乳幼児健康診査や両親学級、家庭訪問による個別の健康相談などです。地域保健関連施策の企画・立案・実施・評価にも関わり、災害対策での役割も求められています。job tag は保健師について公務員の割合が高く、その場合の賃金や労働条件は公務員として扱われると記しています。

学校の医療的ケア看護職員

学校教育法施行規則第65条の2に「医療的ケア看護職員」の名称と職務内容が定められており、日常生活および社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である児童の療養上の世話または診療の補助に従事する職とされています。文部科学省の通知は、職務内容として医療的ケア児のアセスメント、医師の指示の下での医療的ケアの実施、健康管理、認定特定行為業務従事者である教職員への指導・助言を挙げています。この規定は令和3年8月23日に施行されました。背景には、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が、学校に在籍する医療的ケア児が保護者の付添いがなくても適切な支援を受けられるよう、学校の設置者に看護師等の配置等の措置を求めていることがあります。

ここで区別しておきたいのが養護教諭との違いです。養護教諭は教育職員であり、教育職員免許法に基づく養護教諭の免許状が必要です。看護師免許を持っているだけでは保健室の養護教諭にはなれません。学校で働く看護職を探すなら、医療的ケア看護職員としての募集を見ることになります。雇用の形態は設置者や募集によって異なるため、任期の有無を含めて募集要項で確認してください。

看護系技官

厚生労働省などで看護制度や政策に関わる国家公務員の職です。募集の規模は小さく、実務経験の要件が設けられます。日常的に手技を使う仕事ではありませんが、看護の現場を知っていることが前提の職種であることに変わりはありません。

3つに共通するのは、看護技術の濃さは薄くなる一方で、対象が目の前の1人から地域や組織全体へ広がるという点です。個別の患者を受け持つ手応えとは別の種類の手応えになります。

夜勤を外すと収入はどうなる

テーブルでノートを見ながら考える女性

減るのは基本給ではなく、夜勤手当と時間外を含む部分です。まず自分の給与明細でその額を確かめるところから始めると、求人票の年収と比較できるようになります。

厚生労働省の「令和7年賃金構造基本統計調査」の職種別の集計(男女計、企業規模計10人以上、産業計)では、看護師のきまって支給する現金給与額は月365.9千円、所定内給与額は月333.2千円です。この調査の定義では、所定内給与額はきまって支給する現金給与額から超過労働給与額を差し引いた額で、超過労働給与額とは時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交替手当を指します。つまり2つの差である月32.7千円が、夜勤と時間外と休日勤務に対応する部分です。年に換算すると39.2万円になります。同じ調査の年間賞与その他特別給与額856.4千円を加えて年収に直すと524.7万円なので、年収のおよそ7.5%が夜勤と時間外に由来している計算です。

これは全国平均で、夜勤の回数によって個人差が大きい部分です。自分の数字を出すには、給与明細の夜勤手当、深夜割増、時間外手当の欄を合計し、12倍します。求人票の年収と比べるべきなのは、その額を差し引いた後の水準です。

もっとも、病院以外に移れば必ず下がるとは言えません。同じ調査で保健師を見ると、きまって支給する現金給与額は月361.0千円、所定内給与額は月340.4千円、年間賞与その他特別給与額は1,181.8千円で、年収は551.4万円です。看護師との差26.7万円の中身を分解すると、所定内給与で8.6万円、年間賞与で32.5万円だけ保健師が上回り、超過労働給与では逆に14.5万円下回っています。夜勤に対応する部分が減っても、所定内給与と賞与の設計が違えば年収は入れ替わりうるということです。ただし保健師は公務員の割合が高く、賞与の水準が公務員の制度に引かれている点は差し引いて読む必要があります。

求人票の年収を比べるときは、その金額に何が含まれているかを確認します。賞与が何か月分で計算されているか、みなし残業が含まれていないか、夜勤手当を織り込んだ想定年収になっていないか。この3点が分かれば、いまの手取りとの比較ができるようになります。

臨床を離れても戻れるか

戻る道は制度として用意されていますが、離れる期間が長くなるほど研修を挟む前提になります。だからこそ、戻る前提で離れるのかどうかを先に決めておくと、選ぶべき職場が絞れます。

臨床の実務から離れた期間が、経験年数として数えられるかブランクとして扱われるか。この見方で並べると、職場は大きく2つに分かれます。健診センターや介護施設、学校の医療的ケア看護職員のように手技が残る職場では、離れている間も採血や処置の感覚が保たれます。企業の産業看護職やCRA、自治体の保健師のように手技から離れる職場では、経験年数としてどう評価されるかが応募先の判断に委ねられます。CRCはこの2つの間にあり、記録と調整が中心である一方、医療機関に籍を置いて兼務する形なら臨床との距離は近く保てます。

公的な復職の枠組みも押さえておいてください。看護師等の人材確保の促進に関する法律の改正により2015年10月から、看護職は離職時などに住所・氏名・免許番号などを都道府県ナースセンターへ届け出ることが努力義務となりました。対象は、病院等を離職した場合、保健師・助産師・看護師・准看護師の業に従事しなくなった場合、免許取得後ただちに就業しない場合などです。届出は看護師等の届出サイト「とどけるん」からオンラインでもでき、離職時の勤務先が本人の同意を得て代行することもできます。日本看護協会によれば、ナースセンターは届出の情報をもとに、それぞれの状況に応じて復職に向けた研修、無料職業紹介、相談員による情報提供などの支援を行います。研修の内容や回数は都道府県ごとに違うため、住んでいる地域の看護協会の案内を見ることになります。

そのうえで決めることは2つです。戻る前提で離れるなら、手技が残る職場を選び、離れる期間を自分で区切っておきます。戻らない前提で移るなら、その職種の中で何が積み上がるのかを意識して選びます。産業保健なら保健指導と面接指導の運用、治験なら担当した症例数と疾患領域が、次の職場で見られる経験になります。

出産や育児で臨床を離れていて、これから復職を考えている場合も入口は同じです。届出制度に登録し、ナースセンターの復職支援研修の案内を受け取るところから始められます。

病院以外の求人の探し方

病院以外の求人は、扱っている媒体が職種ごとに分かれています。狙う職場を決めてから媒体を選ぶほうが、遠回りになりません。

都道府県ナースセンターが運営するeナースセンターは、看護協会による無料職業紹介事業です。求職者の登録は無料で、地域や条件を指定した求人検索、求人のメールマッチング紹介、再就業支援研修や体験研修、施設見学の案内があります。掲載されている就業場所の種別には、病院や診療所、訪問看護ステーション、介護施設に加えて、学校・養成所や会社・事業所も含まれます。届出制度と同じ窓口なので、ブランクがある場合の相談先としても使えます。

看護師特化の転職サービスは、施設やクリニック、健診センターの募集を扱います。担当者に条件を伝えるときは、「夜勤なし」で止めずに「オンコール当番の有無」まで言葉にしておくと、絞り込みの精度が変わります。マイナビ看護師は株式会社マイナビが運営する無料の転職支援サービスで、キャリアアドバイザーが求人紹介から面接対策、書類添削、条件交渉までを担当します。サイト上で選べる職場の区分には、病院やクリニック・診療所、美容クリニック、施設、訪問看護ステーションに加えて、一般企業、治験関連企業、保育施設が並んでいます。企業や治験の枠を最初から候補に入れたい場合の入口になります。

常勤に移る前に職場の空気を確かめたいなら、派遣や単発を扱うサービスという選び方があります。メディカルコンシェルジュ株式会社が運営するMC-ナースネットは派遣・単発・常勤を扱い、サイト上に並ぶ仕事の区分は病院・クリニックのほか、健診、イベント救護、デイサービス・デイケア、訪問看護、企業内医務室、コールセンター、ツアーナース、保育園です。健診の応援から入って現場の流れを見てから常勤を考える、といった段階の踏み方ができます。

看護師特化のサービスでも、企業や治験の区分を持つところと、医療機関と施設に絞っているところがあります。狙う職場の区分が求人検索の絞り込みにあるかを先に確かめておくと、空振りが減ります。区分が見当たらなければ、一般の転職サービスで業種や職種の区分から「メディカル」「臨床開発」などを選んで探す方法に切り替えます。CRAについては、中途採用はCROに多いと job tag が記しているため、CROの採用情報を直接見る方法も併用できます。

狙う職場が決まったら、応募前に確認する項目は3つです。免許要件が看護師免許だけで足りるのか保健師免許や別の免許が要るのか。オンコール当番の有無と繁忙期の型はどうなっているか。求人票の年収に賞与とみなし残業と夜勤手当のどれが含まれているか。この順に確かめれば、応募できる求人かどうかと、いまの条件と比べてどうなるかが同時に分かります。

よくある質問

Q. 看護師が病院以外で働ける場所はどこですか?

大きく4つに分かれます。健診センターや美容クリニック、保育園、介護施設のように夜勤のない医療機関・施設、企業の健康管理室で働く産業看護職、SMOやCROで治験に関わるCRC・CRA、そして自治体や学校などの公的機関です。ただし応募できるかどうかは免許で分かれます。自治体の保健師には保健師免許と採用試験が、学校の養護教諭には教育職員免許法上の免許が必要で、看護師免許だけでは応募できません。

Q. 病院以外の仕事は楽ですか?

負荷の種類が入れ替わると考えるほうが実態に近いです。夜勤と急変対応から離れる分、身体的な負荷と生活リズムの乱れは軽くなります。その代わりに、看護職が1人しかいない職場で判断を1人で担う場面、記録や関係先との調整の量、健診期や治験の節目に集中する繁忙が加わります。介護施設のように夜勤が無くてもオンコール当番がある職場もあるため、求人票の「夜勤なし」だけで判断しないでください。

Q. 看護師の資格が使える珍しい仕事はありますか?

学校の医療的ケア看護職員と、厚生労働省などで看護制度や政策に関わる看護系技官があります。前者は学校教育法施行規則第65条の2に定められた職で、医療的ケア児の療養上の世話や診療の補助、健康管理、教職員への指導・助言を担います。どちらも募集の規模は小さく、看護系技官には実務経験の要件があります。

Q. 病院以外に移ると収入は下がりますか?

一律には下がりません。減るのは夜勤手当や深夜割増、時間外手当を含む部分です。令和7年賃金構造基本統計調査では、看護師のきまって支給する現金給与額と所定内給与額の差は月32.7千円、年に換算して39.2万円で、年収524.7万円の7.5%にあたります。自分の場合の額は、給与明細の夜勤手当・深夜割増・時間外手当を合計して12倍すれば出ます。一方で同じ調査の保健師は年間賞与が看護師より32.5万円高く、年収では上回っています。所定内給与と賞与の設計次第で結果は変わります。

Q. 保健師の免許を持っていなくても企業で働けますか?

看護師免許で応募できる募集はありますが、保健師免許を必須とする募集も混在します。求人の名称が「産業看護師」でも要件は募集ごとに違うため、応募前に免許要件を確認してください。ストレスチェックの実施者になるには、労働安全衛生規則第52条の10第1項により、厚生労働大臣が定める研修を修了する必要があります。保健師免許を取る場合は、看護系大学院で2年間、または看護大学専攻科・別科や保健師養成所などで1年間の教育を受けて国家試験の受験資格を得るルートになります。

まとめ

病院以外の職場を選ぶときに押さえておきたいのは次の3点です。

  • 看護技術・勤務時間・復帰の3つで並べてから選ぶ
    • 職場の名前だけでは比較になりません。
  • 免許要件で応募できる職を絞る
    • 看護師免許で応募できる職と、保健師免許や教育職員免許法上の免許が別に必要な職があります。
  • 収入は内訳で比べる
    • 減るのは夜勤手当と時間外を含む部分です。求人票の年収に何が含まれているかとセットで見ます。

戻る前提で離れるのか、戻らない前提で移るのかを決めておけば、同じ求人票を見ても判断の速さが変わります。まずは手元の給与明細を開いて、夜勤手当と深夜割増と時間外手当の欄を合計してみてください。その1つの数字が、これから見る求人票の年収と比べるための基準になります。

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