天職みつかーる
更新日:2026/08/27

シンクタンク転職|会社ごとに違う部門構成とコンサルとの違い・年収の見方

シンクタンク転職|会社ごとに違う部門構成とコンサルとの違い・年収の見方

この記事の要約

シンクタンクと呼ばれる会社は、有価証券報告書や会社概要に載っている人数の内訳を見ると、中身が会社ごとにかなり違います。野村総合研究所は単体7,982人のうちコンサルティングが1,318人で、残りはITの3部門です。ここでは各社の部門構成を公開資料で並べたうえで、コンサルティングファームとの違い、研究員・コンサルタント・システムという職種の分かれ方、そして年収について何が確かめられて何が確かめられないのかを整理します。

求人を見ても判別できない

書類を両手で持ち考え込んでいるビジネスパーソン

事業会社や官公庁で何年か働いたあと、調査や分析、政策に関わる仕事へ移りたいと考えてシンクタンクの求人を探し始めると、最初に手が止まるのが職種の見分けです。募集の要項に書かれている職種名と仕事内容を読んでも、その仕事がその会社のなかで主流なのか、それとも少数の枠なのかまでは分かりません。調査を看板に掲げている会社なら調査の仕事が中心だろうと考えるところですが、人数の内訳を見ると必ずしもそうではありません。そこが確かめられないと応募先を決められません。

もうひとつ決められないのが、提示された年収をどう受け止めるかです。求人票に金額が書かれていれば現職とは比べられますが、その額がその会社で自分が就く部門の水準として高いのか低いのかは、比べる相手がいないと決まりません。会社ごとの水準を応募前に確かめようとすると、確かめられる会社と確かめられない会社があります。

この2つは、募集の要項に載っていない部分を自分で埋めれば動き出します。公開されている資料で人数の内訳を見にいくのが早道です。

人数の内訳で会社を見る

シンクタンクと呼ばれる会社は、有価証券報告書や会社概要に載っている人数の内訳を見ると、部門の構成が会社ごとに違います。まずそこを押さえると、自分が就きたい仕事がどの会社のどこにあるのかの見当がつきます。

野村総合研究所の第61期(2025年4月1日から2026年3月31日)の有価証券報告書によると、提出会社の従業員は2026年3月31日現在で7,982人です。この内訳はコンサルティング1,318人、金融ITソリューション2,759人、産業ITソリューション1,516人、IT基盤サービス1,774人、全社(共通)615人となっています。コンサルティングが占める割合は約16.5%で、残りの多くはITの3部門です。グループ全体の16,894人で見ると、コンサルティングは1,752人で約10.4%になります。この割合は有価証券報告書の人数から計算したもので、報告書自体に記載されている数値ではありません。

三菱総合研究所は決算期が9月なので、最新の有価証券報告書は第56期(2024年10月1日から2025年9月30日)です。連結の従業員は2025年9月30日現在で4,695人、内訳はシンクタンク・コンサルティングサービス1,530人とITサービス3,165人の2つのセグメントです。ここでもITのほうが人数は多くなっています。

一方で、構成が違う会社もあります。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの会社概要は、従業員数を約1,500名(2026年4月1日現在、三菱UFJ銀行からの兼務出向者を含む)とし、事業内容としてコンサルティング、政策研究、経営情報サービス、人材開発、マクロ経済調査の5つを挙げています。この一覧にシステム開発は含まれていません。日本総合研究所は6,324名(2026年4月末現在)で、事業内容の区分に調査部、創発戦略センター、リサーチ・コンサルティング部門、先端技術ラボ、ITソリューションが並びます。

会社人数(時点)部門の構成資本関係
野村総合研究所単体7,982人/連結16,894人(2026年3月31日)コンサルティングとITの3セグメント。単体でコンサルは1,318人上場(有価証券報告書あり)
三菱総合研究所連結4,695人(2025年9月30日)シンクタンク・コンサルティングサービス1,530人とITサービス3,165人上場(有価証券報告書あり)
日本総合研究所6,324名(2026年4月末)調査部・創発戦略センター・リサーチ・コンサルティング部門・先端技術ラボ・ITソリューション三井住友フィナンシャルグループ(非上場)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング約1,500名(2026年4月1日)コンサルティング・政策研究・経営情報サービス・人材開発・マクロ経済調査三菱UFJ銀行など(非上場)

もしあなたが政策や制度の調査をしたいなら、政策研究を独立した事業として掲げている会社のほうが、その仕事に配属される確率は高くなります。もしあなたが金融系のシステム開発の経験を持っているなら、人数の母数が大きいIT部門は経験をそのまま活かせる入口になります。

ここから言えるのは、シンクタンクに入れば調査や研究の仕事ができる、とは限らないということです。会社によっては従業員の大半がシステム開発に携わっています。会社を選ぶ前に、どの部門の募集なのかを見る必要があります。

コンサルファームとの違い

シンクタンクとコンサルティングファームを分けているのは、誰が案件の発注者かという点です。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが事業内容に「政策研究 官公庁からの各種調査研究の受託・政策提言」を独立して掲げているように、シンクタンクには官公庁からの受託調査という収益の柱があります。コンサルティングファームの主な発注者が民間企業であるのに対し、こちらは省庁や自治体が相手になる案件を抱えています。

この発注者の違いは、成果物と評価のされ方に効いてきます。

成果物から見ていきます。調査研究では報告書が納品物になり、公開される場合もあります。企業向けのコンサルティングでは、施策の実行支援まで含めて成果とされることがあります。何をもって仕事が終わったことになるのかが、案件の相手によって変わります。

評価のされ方も連動します。報告書として残る仕事は、書いたものがそのまま自分の実績になり、社外の人が読める形で世に出ることもあります。転職の場面で職務経歴を説明するときに、成果物を示せるかどうかという違いが出てきます。

近年は、シンクタンクが民間向けのコンサルティングを広げたり、コンサルティングファームが公共分野の案件を扱ったりする例があり、業務の重なりは大きくなっています。会社の分類だけで仕事の中身を決めつけず、募集要項に書かれた担当領域を見て判断してください。

シンクタンクだけでなくコンサルティングファームも含めて応募先を広げるなら、業界の職種の分かれ方と求人の探し方は以下の記事にまとまっています。

参考記事:コンサルタントへの転職基本ガイド|求人の探し方などを解説

職種は研究・コンサル・ITに分かれる

同じ会社の中でも、研究員とコンサルタントとシステム系は別の採用枠です。大和総研は公式サイトで事業を「リサーチ」「コンサルティング」「システム」の3つに分け、所属する人の紹介も「研究員」と「コンサルタント」に分けています。会社側がこう区分しているということは、応募する側もどの枠を狙うのかを決めてから求人を見る必要がある、ということです。

研究員

経済や政策、産業の調査分析を行い、レポートを執筆します。官公庁からの受託調査を担う部門では、調査の設計から報告書の執筆までが一連の仕事になります。成果物が文章として残るため、書く力が仕事の中心にあります。読み手になるのは発注元の官公庁の担当者で、報告書が公開されればその先の実務者にも届きます。

コンサルタント

民間企業を相手に課題解決を支援します。発注者が企業になるぶん、案件の進み方はコンサルティングファームに近づきます。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが挙げている戦略、組織・人事、業務・IT、国際業務といった領域が、担当するテーマの目安になります。発注元の企業の担当部署とやりとりしながら進めるため、社外の相手と話す時間が仕事の多くを占めます。

システム・IT

金融グループを母体とする会社では、グループのシステム開発を担う部門が人数の多くを占めます。野村総合研究所の金融ITソリューション、産業ITソリューション、IT基盤サービスの3セグメントや、三菱総合研究所のITサービス、日本総合研究所のITソリューションがこれにあたります。応募の母数が大きい入口でもあります。担当するのはグループの業務システムや金融機関向けのサービス基盤で、調査や政策の仕事とは日々の時間の使い方が別物になります。

年収は何を見れば分かるか

机に書類を並べて内容を確認しているビジネスパーソン

公開資料で平均年収を確かめられるのは、上場している会社だけです。有価証券報告書には従業員の状況を記載する欄があり、そこに平均年間給与が載ります。

野村総合研究所の第61期の有価証券報告書では、提出会社の平均年間給与が13,326千円、平均年齢39.7歳、平均勤続年数13.7年と記載されています。対前事業年度の増減率は0.8%です。三菱総合研究所の第56期では、提出会社の平均年間給与が10,817,256円、平均年齢40.4歳、平均勤続年数11年8ヶ月です。いずれも賞与と基準外の給与を含んだ額です。

ただし、この2つの数字を並べて高い低いを比べるのは適切ではありません。指している範囲が違うからです。野村総合研究所の平均年間給与は提出会社7,982人全体の平均で、そのうちコンサルティングは1,318人ですから、大半はIT部門の給与を含んだ数字になります。一方の三菱総合研究所は、同じ欄に「提出会社の従業員は、全てシンクタンク・コンサルティングサービスセグメントに属しております」と注記があり、ITサービスの3,165人は連結の子会社側に含まれます。同じ「平均年間給与」でも、母集団が違います。裏を返せば、提出会社の従業員がまるごとひとつの部門に収まっている会社なら、その平均年間給与はその部門で働く人の水準として読めます。三菱総合研究所の10,817,256円がこれにあたり、シンクタンクとコンサルティングの職に絞った公開数値としては数少ない手がかりになります。野村総合研究所の13,326千円は4つの部門を合わせた数字なので、同じようには読めません。

日本総合研究所と三菱UFJリサーチ&コンサルティングは非上場のため、この形の一次資料が存在しません。求人票に書かれた提示額と、面談で確認した内容が判断材料になります。

年収について公開資料から何が読めるかは、会社によって3通りに分かれます。提出会社がひとつの部門に収まっている会社なら、有価証券報告書の平均年間給与をその部門の水準として読めます。複数の部門を抱える会社なら、出てくるのは全社平均だけで、部門ごとの内訳は公開されていません。非上場の会社なら公開資料そのものが無いので、求人票の提示額と面談で聞くことになります。応募を考えている会社がどれにあたるかは、人数の内訳を見れば判別できます。

年代別の年収についても触れておきます。有価証券報告書から取れるのは全社の平均年間給与と平均年齢までで、30代がいくら、といった年代別の内訳は出てきません。年代別の数字を載せている記事もありますが、その出どころは有価証券報告書ではないので、根拠が何かを確かめたうえで参考にするかどうかを決めることになります。

非公開の求人も含めて待遇の幅を知りたい場合は、エージェントに聞く方法があります。シンクタンクとコンサルティングファームは応募先として並べて検討することになるので、コンサルタント転職に強いエージェントの選び方が手がかりになります。

参考記事:コンサルタント転職におすすめのエージェント5社|未経験・経験者別の選び方

求められる専門性

求められるものは職種の枠ごとに違います。同じ会社の同じ時期の募集でも、研究員の枠とシステム系の枠では見られる点が変わります。

研究員の枠では、調査の設計と定量的な分析、そして結論を文章にする力が中心になります。担当する分野の知識も問われますが、それ以上に、限られた期間で調べて書き切る進め方ができるかどうかが見られる仕事です。官公庁での勤務経験は、制度の運用や行政の意思決定の流れを知っている点で評価につながる可能性がありますが、どの程度の評価になるかは募集ごとに違います。

コンサルタントの枠では、事業会社での課題解決の経験が土台になります。担当してきた領域が、募集で挙げられているテーマと重なるかどうかが判断の軸です。

システム系の枠では、開発や基盤運用の実務経験がそのまま要件になります。金融システムの経験は、金融グループを母体とする会社では直接活きる領域です。

学位が要件になるかどうかは、募集ごとに違います。修士や博士を条件に挙げる募集もあれば、実務経験だけを問う募集もあるので、応募資格の欄で確認してください。「シンクタンクは大学院を出ていないと無理」と一般化せず、狙う枠の募集要項を1件ずつ見るほうが早く判断できます。

応募前に確かめること

募集要項で見るのは3か所です。配属部門名、応募資格に書かれている経験の種類、そして勤務地。この3つで、その募集が研究の枠なのかコンサルティングなのかシステムなのかは、おおむね判別できます。

配属部門名が直接的な手がかりになります。調査部、政策研究事業本部、リサーチ・コンサルティング部門といった名前なら調査寄り、金融ITソリューションやITサービスといった名前ならシステム寄りだと分かります。部門名が書かれていない募集は、面談の場で確認する項目になります。

応募資格の欄は、必須要件と歓迎要件を分けて読みます。その募集がどの枠かを決めているのは必須要件のほうで、歓迎要件だけに研究実績や開発経験が挙がっている場合は、それが主たる業務とは限りません。必須要件が抽象的にしか書かれていない募集は、複数の枠をまとめて募集している可能性があります。

勤務地は、システム開発の拠点と本社機能が別の場所にある会社では判別の材料になります。募集要項の勤務地が開発拠点になっていれば、システム寄りの配属である可能性が高くなります。

会社そのものを調べるときは、この記事で使った資料をそのまま使えます。上場している会社なら有価証券報告書の「従業員の状況」で部門ごとの人数が分かり、非上場の会社でも会社概要のページに事業内容の区分が載っています。気になる会社が出てきたら、同じ手順で部門構成を確かめてみてください。

求人票からは部門が読み取れない場合や、非上場の会社の待遇を応募前に知りたい場合は、この領域の求人を扱うエージェントに聞くのが早い方法です。

よくある質問

Q. 日本の大手5大シンクタンクはどこですか?

名前が挙がるのは、野村総合研究所、三菱総合研究所、日本総合研究所、三菱UFJリサーチ&コンサルティング、大和総研、みずほリサーチ&テクノロジーズあたりで、どの5社を「5大」と呼ぶかは記事によって違います。この枠組み自体も、会社の統合によって実態とずれてきています。みずほリサーチ&テクノロジーズは2026年4月1日付でみずほ銀行と統合し、同社のウェブサイトはみずほ銀行のサイト内へ移管されました。会社名で情報を集めるときは、その記事がいつ書かれたものかも合わせて見てください。

Q. シンクタンクの年収はいくらですか?

有価証券報告書で確かめられるのは上場2社です。野村総合研究所は第61期で平均年間給与13,326千円、三菱総合研究所は第56期で10,817,256円と記載されています。ただし前者は提出会社7,982人全体の平均で、そのうちコンサルティングは1,318人なので大半がIT部門を含んだ数字です。日本総合研究所と三菱UFJリサーチ&コンサルティングは非上場のため、この形の資料はありません。

Q. 30代の年収はいくらですか?

有価証券報告書からは年代別の給与が出せません。取れるのは全社の平均年間給与と平均年齢で、野村総合研究所が39.7歳、三菱総合研究所が40.4歳です。年代別の数字を示している情報を見かけたときは、その根拠が何かを確かめてから参考にするかどうかを決めてください。判断の材料になるのは、求人票の提示レンジと面談での確認です。

Q. 未経験からシンクタンクに転職できますか?

「未経験」が何を指すかで答えが変わります。シンクタンクという業界が未経験でも、システム系の枠なら開発の実務経験が、コンサルタントの枠なら事業会社での課題解決の経験が土台として評価されます。一方、研究員の枠で調査・分析の経験がまったくない状態からの応募は、応募資格の書き方によっては対象外になります。狙う枠を決めてから、その枠の応募資格を見るのが順序です。

Q. シンクタンクは激務ですか?

公開資料から言えるのは勤続年数までです。野村総合研究所の平均勤続年数は13.7年、三菱総合研究所は11年8ヶ月と有価証券報告書に記載があります。短期間で辞めるのが常態という状況ではないことは読み取れますが、これは忙しさを直接示す数字ではありません。実際の働き方は部門と案件によって変わるので、面談で担当する案件の進め方を聞いてみてください。

まとめ

シンクタンクという呼び名は、中身の違う会社をまとめて指しています。人数の内訳を見ると、野村総合研究所のようにIT部門が大半を占める会社もあれば、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのように会社概要の事業内容にシステム開発が含まれない会社もあります。三菱総合研究所のように、連結ではITサービスが多くても提出会社はシンクタンクとコンサルティングに収まっている会社もあります。会社ではなく部門で見るのが、この業界の求人を読む出発点です。

応募先を絞るときに押さえておきたいのは次の3点です。

  • 会社ごとに部門の構成が違う
    • 調査の仕事を狙うなら、政策研究や調査を独立した事業として掲げている会社かどうかを見る
  • 年収は「何の平均か」を見分ければ読める
    • 提出会社がひとつの部門に収まっている会社なら部門の水準として読め、複数部門を抱える会社は全社平均しか出ない。非上場の会社は求人票と面談が材料になる
  • 募集要項の3か所で枠を判別できる
    • 配属部門名、応募資格に書かれた経験の種類、勤務地

まずは気になる会社の有価証券報告書か会社概要を開いて、部門ごとの人数を見てみてください。上場している会社なら「従業員の状況」の欄に、非上場でも会社概要に事業内容の区分が載っています。そこで自分が行きたい部門の規模を確かめてから求人を見ると、募集要項のどこを読めばよいかが決まります。

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