【20代向け】給与の「額面」と「手取り」の違いとは?
この記事の要約
転職活動をしていると、「求人票の月給は手取りなの?」と疑問に思うことはありませんか。求人票に書かれている月給と、実際に手元に残るお金には大きな違いがあります。
この記事では、額面と手取りの違いや、なぜ求人票は額面で書かれているのかといった基本から、すぐに使える「約8割の計算ルール」などを解説します。
転職先選びで損をしないための知識を身につけましょう。
求人票の「月給」はそのまま手元に入るわけではない
「求人票で月給25万円という記載を見て喜んで入社したのに、最初の給料日に振り込まれた金額が20万円以下で驚いた」
これは、初めて転職する20代の方からよく聞かれるエピソードです。求人の月給は手取りなのではないか、と考える方も多いかもしれません。
しかし結論から言うと、求人票に記載されている給与は手取りではなく「額面(総支給額)」です。
求人票の月給という言葉を見たときは、その金額がそのまま口座に振り込まれるわけではないということを、まずはしっかりと認識しておく必要があります。
「額面(総支給額)」と「手取り」の違いとは?
給与の仕組みを理解するためには、まず「額面」と「手取り」の違いを明確に把握することが重要です。
額面(総支給額)とは
額面とは、基本給に加えて、残業代や通勤手当、役職手当などの各種手当をすべて合わせた総支給額のことを指します。会社から支給されるお金の総額であり、あなたの収入金額そのものを表す数字です。
手取りとは
手取りとは、先ほどの額面(総支給額)から、税金や社会保険料が差し引かれた後に、実際に給料として手元に残るお金のことを指します。銀行口座に振り込まれる金額、つまり差引支給額がこの手取りにあたります。
- 額面(総支給額):基本給 + 各種手当
- 手取り(差引支給額):額面 -(税金 + 社会保険料)
このように、現金給与の総額がそのまま手取りになるわけではなく、必ず差し引かれるお金が存在するという仕組みを覚えておきましょう。
なぜ手取りは減る?給与から引かれる5つのお金

毎月の額面給与からは、主に5種類の税金や社会保険料が引かれています(控除と言います)。具体的にどのようなものが引かれているのか、給料支給額から手取りが減る理由を解説します。
社会保険料や税金の仕組みは以下の通りです。実際の保険料率は年度や加入している保険組合によって定期的に改定されるため、最新の情報は各公式機関の案内を確認してください。
健康保険料
病気やケガをした際の医療費負担を軽減するための保険です。保険料率は9.85パーセントですが、会社と半分ずつ負担する労使折半となるため、個人の負担分は4.925パーセントとなります(※協会けんぽ・東京支部の場合)。
厚生年金保険料
将来受け取る老齢年金などのための保険です。保険料率は全国一律で18.3パーセントで固定されており、こちらも労使折半により個人負担は9.15パーセントとなります。
雇用保険料
失業した際の給付金などに使われる保険です。一般の事業の場合、保険料率は1.35パーセントで、そのうち労働者の負担分は0.5パーセントとなります。
所得税
個人の所得(給与)に対してかかる国税です。毎月の給与から概算で天引きされ、年末調整によって正確な金額が精算されます。
住民税
住んでいる自治体に納める地方税です。住民税は前年の所得に対して計算されるという特徴があります。
そのため、新卒1年目の方や前年に無職で収入がなかった方の場合は、その年の給与からは引かれないという例外ルールがあります。
健康保険料率は加入する健康保険組合や都道府県によって異なります。また、40歳以上になると介護保険料が追加され、2026年4月からは子ども・子育て支援金も新たに徴収される点にも留意が必要です。
すぐにわかる!手取り額の「約8割ルール」
毎月の給与明細を見て正確な計算をするのは大変ですが、転職活動中などに直感的に手取り額を計算したい場合は、「約8割ルール」を覚えておくと便利です。
手取りの金額は、概ね「額面の約0.8倍(約80パーセント)」になる傾向があります。そのため、月給から手取りを素早く出したい時は、以下の簡単な計算式を使います。
手取りの目安 = 額面 × 0.8
もしあなたが求人票で月給25万円という記載を見つけたなら、このルールに当てはめると「25万円 × 0.8 = 20万円」となり、手取りは約20万円になるという具体的なイメージを持つことができます。
ただし、この約8割という数字はあくまで目安です。扶養家族の有無や前年の所得額によって税率が変わるため、実際には額面の0.75倍から0.85倍の間で変動する可能性があります。
正確な金額を保証するものではないという点は理解しておきましょう。
【早見表】月給・年収別の「額面」と「手取り」一覧
月収や年収ごとの額面に対する手取りの目安を早見表にまとめました。年収表記から手取りをイメージする際の参考にしてください。
| 額面(月給目安) | 手取り額の目安(月額) | 額面(年収目安) | 手取り額の目安(年額) |
|---|---|---|---|
| 20万円 | 約16万円 | 300万円 | 約240万円 |
| 25万円 | 約20万円 | 350万円 | 約280万円 |
| 30万円 | 約24万円 | 400万円 | 約320万円 |
| 35万円 | 約28万円 | 450万円 | 約360万円 |
| 40万円 | 約32万円 | 500万円 | 約400万円 |
※この早見表は、独身、扶養家族なし、前年と同等の収入がある場合の概算であり、実際の金額は個人の状況や自治体によって異なります。
なぜ求人票は「手取り」ではなく「額面」で書かれているの?
「最初から手取りで書いてくれた方がわかりやすいのに」と感じる方も多いはずです。しかし、求人票の給料は手取りで記載することができません。
なぜなら、給与から引かれる税金や社会保険料の金額は、人それぞれ全く違うからです。
前年の収入がいくらだったか、扶養している家族は何人いるか、どの自治体に住んでいるかといった個人の状況によって、引かれる金額は大きく変動します。そのため、企業側は応募者が入社する前に正確な手取り額を計算することが不可能であり、求人票の給与は手取りではなく総支給額(額面)で記載するルールになっているのです。
転職で後悔しないために!求人票の「給与欄」を見る時の注意点

求人票の給料を手取りと勘違いしないこと以外にも、求人票の給与欄を見る際には重要な注意点があります。特に未経験から転職を目指す20代の方は、以下のトラップに気をつける必要があります。
固定残業代(みなし残業代)の有無を確認する
求人票に月給25万円と書かれていても、その内訳に固定残業代(みなし残業代)が含まれているケースがあります。
職業安定法に基づく厚生労働省の指針により、固定残業代制度を採用している企業は求人票に以下の内容を明示することが義務付けられています。
- 固定残業代を除外した基本給の額
- 固定残業代に関する労働時間数と金額などの計算方法
- 固定残業時間を超える時間外労働、休日労働および深夜労働に対して、割増賃金を追加で支払う旨
たとえば、総額が高く見えても、基本給19万円、固定残業手当6万円(40時間分)となっている場合、実際の基本給は低いことになります。額面の数字だけで飛びつかず、基本給がいくらなのかをしっかり確認することが重要です。
基本給が低いとボーナスに影響するリスク
基本給を低く設定し、その分を様々な手当で水増しして月給を高く見せている求人にも注意が必要です。
一般的な企業では、ボーナス(賞与)の計算基準を「基本給の何ヶ月分」と定めている傾向があります。そのため、月給の総支給額が同じ25万円でも、基本給が25万円の会社と、基本給が15万円で手当が10万円の会社では、支給されるボーナス額に大きな差が生じる可能性が高くなります。
正確な手取りや給与の内訳を自分だけで判断するのが不安な場合は、転職エージェントを利用して、おおよその手取り額や固定残業代の有無について質問・確認してもらうという方法が効果的です。たとえば、リクルートエージェントなどの実績が豊富なサービスを利用すれば、求人票からは見えにくいリアルな給与事情をプロの視点から教えてもらうことができます。
まとめ:手取り計算の仕組みを理解して、正しい求人選びをしよう
この記事では、給与の額面と手取りの違いについて解説してきました。
- 求人票に記載されている給与は手取りではなく額面(総支給額)であること
- 実際の手取りは額面の約8割になる傾向があること
- 額面が高く見えても固定残業代が含まれているケースがあるため内訳を確認すること
転職活動において、給与は生活基盤を支える最も重要な要素の一つです。
もしあなたが求人票を見る際は、表面的な額面の数字だけに惑わされず、約8割ルールを使って手元に残る金額を冷静に計算してみてください。そして、基本給と手当のバランスや労働環境を総合的に見極め、あなたにとって納得のいく職場を見つけていきましょう。