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更新日:2026/08/07

シニア向けドライバー求人の実態|積み下ろしの有無と二種免許・年齢の条件

シニア向けドライバー求人の実態|積み下ろしの有無と二種免許・年齢の条件

この記事の要約

60代からドライバーの仕事を探すとき、判断の材料になるのは求人票の年齢欄ではありません。体力の負担を分けるのは運転時間ではなく積み下ろしの有無で、働ける上限を決めるのは免許の更新と、仕事で求められる診断です。この記事では、施設の送迎に二種免許が要るのかという線引き、70歳と75歳で変わる免許更新の手続き、65歳以上の運転者に定められた適齢診断、そして拘束時間の読み方を整理しました。

60代でドライバーを選ぶ理由

定年や再雇用の期限を迎えて次の仕事を考えるとき、ドライバーが候補に挙がる理由はいくつかあります。何十年も持ち続けてきた免許がそのまま使えそうに見えること、仕事中に人と深く関わらずに済むこと、体を動かす仕事でありながら座っている時間が長いこと。どれも、これまでの働き方から大きく変えずに済みそうだという感覚につながります。

ところが実際に探し始めると、応募する手前で止まってしまうことがあります。求人サイトで「シニア」「60代」と条件を入れると一覧は出てくるのですが、そこに並ぶのは募集の一覧であって、判断の材料ではありません。何歳まで続けられるのか、いま持っている免許で応募できるのか、年齢が上がると何か検査を受けることになるのか。こうした前提が分からないまま求人だけを眺めていても、どれを選べばよいのかは決まりません。

必要なのは、条件のほうから整理することです。免許で応募できる範囲が決まり、検査や診断で続けられる期間が決まり、積み下ろしの有無で体力が続くかどうかが決まります。この3つが分かれば、一覧のどこを見ればよいかも定まります。

60代の仕事探し全般については、以下の記事で整理しています。

参考記事:60代の仕事探しガイド|シニアでも無理なく働ける職種と転職のコツ

体力の負担は積み下ろしで決まる

運転席でリラックスして座るシニアドライバー

ドライバーの体力の負担を分けるのは、運転している時間の長さではなく、荷物を積み下ろしする作業(荷役)があるかどうかです。運転そのものは座っている姿勢が続くため、年齢による負担は運転席の外で起きる動作のほうに出ます。

この軸で見ると、仕事は3つに分かれます。人を乗せる送迎は積み下ろしがなく、乗降の介助や声かけはあっても重い物を持つ場面はほとんどありません。企業や店舗を回るルート配送は、1回あたりの荷物が大きく、台車を使うにしても積み下ろしが繰り返し発生します。軽貨物での宅配は1個あたりは軽いものの、1日の件数が多く、車から降りて玄関まで歩く動作が何十回も重なります。

つまり同じ「ドライバー」でも、体にかかるものは別物です。求人票の職種名だけでは判断がつかないので、どの作業がどれだけ発生するかを見ることになります。

なお、この記事で扱うのはこの3つです。長距離のトラック運送は、車中泊を伴う運行や大型免許を前提とする仕事が中心で、60代から新たに始める入口としては条件が離れるため扱いません。

シニア歓迎と書かれた求人だからといって、積み下ろしがないとは限りません。年齢を条件に絞り込んでも、その先で積み下ろしの有無まで絞られているわけではないためです。応募前に確認すべきなのは年齢欄ではなく、扱う荷物と1日の件数のほうです。

何歳まで働けるのか

「シニアドライバー」という言葉に法令上の定義はありません。求人サイトが使っている呼び名で、50代からをそう呼ぶ媒体もあれば、60代以上に限って使う媒体もあります。したがって、この言葉で絞り込んでも実際の条件が揃うわけではありません。

年齢の実態は統計に表れています。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の職業詳細によると、トラック運転手の平均年齢は51.5歳、タクシー運転手は56.8歳です(いずれも令和7年賃金構造基本統計調査)。有効求人倍率はトラック運転手が3.2、タクシー運転手が9.11で(令和6年度ハローワーク求人統計データ)、とくにタクシーは求人が求職者を大きく上回っています。平均年齢が高く、かつ人手が足りていない職種だということです。

ただしタクシーには入口の条件があります。job tagの職業詳細では、タクシー運転手に必要な免許は普通第二種運転免許とされています。一方でトラック運転手は第一種運転免許で、普通免許のほか車両重量・積載量に応じて準中型・中型・大型が必要とされています。求人倍率の高さと入口の条件は、セットで見る必要があります。

そのうえで、実際に働ける上限を決めるのは求人票の年齢欄ではありません。募集・採用時に年齢制限を設けることは労働施策総合推進法により原則として禁じられており、年齢の記載がある求人は法令上の例外事由に該当していると読めます。上限を実際に区切るのは、免許を更新できるかどうかと、仕事で求められる診断を受けられるかどうかの2つです。

もしあなたが普通免許を持ち続けているだけなら、それだけで応募できる求人はあります。何かを取り直してから始める必要はなく、まず確認すべきは次の更新がいつかということです。

送迎に二種免許は要るのか

施設の送迎の仕事は、多くの場合、普通免許のままで応募できます。二種免許が必要になるのは、他人の需要に応じて有償で旅客を運送する場合、つまり道路運送法上の旅客自動車運送事業にあたる場合だからです。

この線引きは、国が文書で整理しています。国土交通省と厚生労働省が平成18年9月に示した「介護輸送に係る法的取扱いについて」では、施設介護事業者(デイサービス、ショートステイの事業者を含む)が行う要介護者等の送迎輸送について、自家用輸送であることを明確化すると記されています。デイサービスを経営する者が自己の施設の利用を目的とする通所・送迎を行い、送迎に係るコスト(ガソリン代等の実費を含む)を利用者個々から収受しない場合には、その送迎は自己の生業と密接不可分な輸送と解され、道路運送法の許可等を要しないとされています。

要点は、送迎そのものに対して利用者からお金を受け取っていないことです。施設のサービスの一部として送り迎えをしている形なら、旅客を運送する事業には当たりません。逆にタクシーや運転代行のように、旅客から運賃を受け取って運ぶ仕事では二種免許が求められます。

訪問介護の送迎は扱いが異なります

同じ文書では、訪問介護事業者等が行う要介護者等の輸送については、道路運送法第4条又は第43条の事業許可によることを原則とするとされています。利用者宅を回って有償で運送する形は、施設の送迎とは別の扱いになります。

免許について、もう1つ確認しておきたいのが車両の大きさです。二種免許が不要な送迎であっても、園児バスのように定員の多い車では中型や大型の免許が必要になる場合があります。これは旅客営業かどうかの話ではなく、運転する車の区分の話です。応募前に、どの車に乗るのかを確認してください。

あわせて、自分の免許証で運転できる範囲も見ておきましょう。普通免許で運転できる車の範囲は取得した時期によって異なるため、免許証に記載された取得年月日と条件欄を確認すると、応募できる求人の幅が分かります。免許区分ごとに乗れる車の詳細や、配送の仕事の種類については以下の記事で整理しています。

参考記事:配送求人の探し方|未経験から始める配達ドライバー就職ガイド

職種別の1日と勤務形態

笑顔で送迎の乗客を迎えるシニアドライバー

積み下ろしで分けた3つは、1日の流れも勤務の形も違います。順に見ていきます。

送迎

送迎は、雇い主のタイプによって運転以外に求められるものが変わります。介護施設のデイサービスでは、利用者の乗り降りに手を貸したり、車内で声をかけたりする場面があります。幼稚園や保育園の送迎バスでは、乗車人数の確認と車内の見回りが安全管理として求められます。ホテルや商業施設の送迎では、荷物の積み下ろしと接客の要素が入ります。企業の役員車や従業員送迎では、時間の正確さと車内での静かな配慮が中心になります。

デイサービスの送迎を例に、1日の流れを見てみましょう。朝は利用者を順に迎えに行き、決まったルートを回って施設に着きます。日中は施設内での補助や、車両の清掃・点検、待機の時間になります。夕方になると、今度は順に送り届けて1日が終わります。運転している時間そのものは、朝と夕方に集中します。

注意したいのは勤務の形です。業務が朝夕に分かれるため、1日の勤務が分割勤務になる場合があります。朝に3時間、夕方に3時間で、その間が空くという形です。給与が実働時間で計算されるなら、家を出てから帰るまでの時間の長さに対して、収入が見合わないことがあります。

ルート配送

決まった取引先を回る仕事です。1日は、朝に荷物を積み込み、順に配送して、夕方に営業所へ戻るという流れになります。回る先が固定されているぶん、道も所要時間も見当がつきやすく、慣れるまでの負担は小さくなります。

体にかかるのは積み下ろしです。1件あたりの荷物が大きく、台車を使っても持ち上げる動作は残ります。もう1つ、拘束時間が積み込みや荷降ろしの待ち時間に左右される点も見ておいてください。運転と作業が終わっていても、順番待ちで拘束が延びることがあります。

軽貨物の宅配

個人宅へ荷物を届ける仕事です。1個あたりは軽いものの、1日に回る件数が多く、車から降りて玄関まで歩く動作が何十回も重なります。不在なら再配達が発生するため、終わる時間が読みにくくなります。

雇用の形にも注意が必要です。軽貨物の宅配は業務委託として募集されることがあります。この場合は雇用契約ではないので、後で触れる拘束時間の基準は及びません。報酬が配達個数で決まる形だと、体調で件数が落ちた月には収入も落ちます。

どの職種でも、求人票では実働時間と拘束時間の両方を確認する必要があります。実働6時間と書かれていても、拘束が10時間なら、1日の使い方はまったく違うものになります。

年齢とともに増える検査と診断

働ける上限を実際に決めるのは、免許の更新と、仕事で求められる診断です。どちらも年齢の節目で内容が変わるので、いつ何が必要になるかを先に知っておくと、慌てずに済みます。

免許の更新で必要になるもの

更新期間が満了する日の年齢が70歳以上になると、免許を更新する際に高齢者講習の受講が義務づけられます。

75歳以上になると、これに認知機能検査が加わります。更新期間が満了する日より前の6か月以内に受けるもので、内容は2つです。一定のイラストを記憶して後から回答する「手がかり再生」と、検査時の年月日・曜日・時間を回答する「時間の見当識」です。結果は「認知症のおそれがある」「認知症のおそれがない」で判定されます。おそれがあると判定された場合は医師の診断等の手続きに進み、認知症であると診断されたときは、聴聞等の手続を経たうえで免許の取消しまたは効力の停止を受けることになります。

さらに、普通自動車に対応する免許を持つ75歳以上のうち、一定の違反歴がある人は運転技能検査の対象になります。実際にコース等で普通自動車を運転して一時停止などの課題を行うもので、合格しなければ免許は更新されません。合格基準は第一種免許で70点以上、第二種免許で80点以上とされています。これは全員が受けるものではなく、違反歴が要件になっている点を押さえておいてください。

いずれも予約が必要になるため、更新のはがきが届いてから動くと日程が詰まることがあります。免許証の有効期限から逆算して、その時点で自分が何歳になっているかを先に確認しておくと、余裕をもって予約できます。

仕事で求められる診断

事業用自動車、いわゆる緑ナンバーの運転者になる場合は、免許とは別に診断があります。貨物自動車運送事業輸送安全規則第10条第2項は、事業者に対し、事故を引き起こした者、新たに雇い入れた者、そして高齢者(六十五才以上の者)に特別な指導を行い、国土交通大臣が認定した適性診断を受けさせなければならないと定めています。

高齢運転者が受けるものは適齢診断と呼ばれます。指針では、65才に達した日以後1年以内(65才以上の者を新たに運転者として選任した場合は、選任の日から1年以内)に1回受診させ、その後3年以内ごとに1回受診させるとされています。旅客側は旅客自動車運送事業運輸規則第38条が根拠になり、診断は独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)など国土交通大臣の認定を受けた機関で受けます。

見方を変えると、65歳以上が事業用自動車の運転者として働くことは制度の前提になっています。だからこそ、そのための診断の仕組みが用意されているわけです。65歳で終わりではなく、65歳から手続きが1つ増えると捉えるほうが実態に近いといえます。

なお、施設が自家用車(白ナンバー)で行う送迎は、この規則の対象ではありません。送迎ドライバーと配送ドライバーでは、前提となる手続きが違うということです。

求人票で確認すること

求人票で見るのは、積み下ろしの有無、実働時間と拘束時間の差、車両の区分の3点です。年齢欄や「シニア歓迎」の表記より、この3点のほうが続けられるかどうかを左右します。

拘束時間には基準があります。2024年4月1日に適用された改善基準告示では、トラック運転者の拘束時間は原則として1年3,300時間以内・1か月284時間以内とされています。労使協定によって1年3,400時間以内・1か月310時間以内まで延長できますが、310時間まで延ばせるのは年6か月までで、284時間を超える月が連続3か月までという条件が付きます。1日の拘束時間は原則13時間を超えないものとし、延長する場合でも最大15時間までです。休息期間は、勤務終了後に継続11時間以上を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとされています。

この数値はトラック運転者の基準で、バスやハイヤー・タクシーには別の基準が定められています。業態が違えば上限も違うため、応募先がどの区分にあたるかを見たうえで求人票の勤務時間と照らしてください。

確認する項目確認のしかた
積み下ろしの有無積み下ろしがあるか、1個あたりの重量と1日の件数を聞く
実働時間と拘束時間両方が書かれているか、差が何時間あるかを見る
車両の区分何の車に乗るか、定員と車両重量を確認する
ナンバーの色緑ナンバーなら適齢診断の対象になる
勤務の形分割勤務か、隔日勤務か、週の日数はどうか
診断・健康診断の費用会社負担か自己負担かを確認する

これらは求人票に書かれていないこともあります。その場合は、応募前の問い合わせか面接の場で聞いてください。とくに積み下ろしと拘束時間は、入ってから変えられない条件です。

相談先の選び方

年齢を条件に絞ると候補は限られます。どこに登録しても、地域によって求人の出方は変わりますし、登録しただけで見つかるものでもありません。経路を複数持っておくほうが現実的です。

シニアジョブエージェント

50歳以上を対象とする転職支援サービスです。公式サイトでは「50代・60代はもちろん70代以上の方の転職支援実績も多数あります」と説明されており、登録企業を50歳以上を採用する企業のみとしている点を特徴に挙げています。シニア専門のキャリアアドバイザーが応募書類の提出や面接日程の調整、条件交渉の代行を行うとされ、費用は一切かからないと明記されています。ただし公式に挙げられている職種は会計事務所や施工管理、介護、医療事務などで、ドライバーは含まれていません。年齢で候補が絞られる状況での相談先の一つとして使い、ドライバー職の扱いがあるかは相談して確かめる形になります。

マイナビミドルシニア

中高年(40代・50代・60代)を対象とする求人サイトです。転職の求人だけでなく、アルバイト・パート、派遣の求人も扱っています。人気の条件としてサービス・接客、教育、警備などが挙げられており、ミドルシニア層を積極的に採用している職種を紹介するコンテンツも用意されています。担当者が付くエージェントではなく自分で検索する形なので、短時間や隔日の勤務を探したい場合は条件を指定して絞り込めます。

この2つに加えて、ハローワークも経路になります。高齢期の就業を支援する窓口が置かれている所があり、地域の求人を扱っている点が民間サービスとの違いです。

狙う職種によって、当たる先は変えられます。施設の送迎を希望するなら、介護施設や園が自分のサイトで直接募集していることがあるため、地域の施設を直接調べるほうが早い場合があります。配送を希望するなら、運送業に特化した求人サイトのほうが条件で絞り込みやすくなります。

よくある質問

Q. シニアドライバーとは何歳からですか?

法令上の定義はなく、求人サイトが使っている呼び名です。50代からをそう呼ぶ媒体もあれば、60代以上に限る媒体もあります。この言葉で絞り込むより、免許の区分と積み下ろしの有無で求人を見たほうが条件は揃います。

Q. 60歳からトラック運転手になれますか?

免許の条件を満たせば応募はできます。トラック運転手に必要なのは第一種運転免許で、車両重量や積載量に応じて準中型・中型・大型が求められます。ただし荷物の積み下ろしを伴う仕事は体への負担が大きいため、扱う荷物と1日の件数を確認したうえで判断してください。

Q. デイサービスの送迎に二種免許は必要ですか?

施設が自己の施設の利用を目的として送迎を行い、送迎に係るコストを利用者から個々に収受しない形態であれば、旅客自動車運送事業には当たらないため二種免許は求められません。ただし車両の定員によっては中型や大型の免許が必要になります。実際の要否は募集元に確認してください。

Q. 何歳まで働けますか?

年齢そのものより、免許を更新できるかと、仕事で求められる診断を受けられるかが上限を決めます。70歳以上で高齢者講習、75歳以上で認知機能検査が加わり、事業用自動車の運転者は65歳以上で適齢診断の対象になります。

まとめ

60代からドライバーを探すときの要点は3つです。体力の負担を分けるのは運転時間ではなく積み下ろしの有無で、送迎・ルート配送・軽貨物では体にかかるものが違うこと。施設の送迎の多くは普通免許のままで応募でき、二種免許が求められるのは有償で旅客を運送する場合であること。そして働ける上限を決めるのは求人票の年齢欄ではなく、免許の更新と、65歳以上の運転者に定められた適齢診断であることです。

今日できることを1つだけ挙げるなら、免許証を出して、次の更新日と、そのとき自分が何歳になっているかを確認してみてください。70歳や75歳の節目にかかるなら、講習や検査の予約を見込んで動く必要があります。かからないなら、あとは積み下ろしの有無で求人を絞っていけます。

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