九州電力の平均年収842万円|転職前に知っておきたい「平均」の意味
この記事の要約
九州電力の年収を調べると複数の額が出てきますが、それが何年度の数字で誰を対象にしているのかは書かれていないことがあります。この記事では有価証券報告書をもとに、最新の事業年度の平均年間給与と、その額が対象にしている従業員の範囲を確認します。あわせて5年間の推移と会社が挙げている増加の理由、キャリア採用と高度専門採用の年齢要件の違い、応募前に確認する項目を整理します。
九州電力の平均年収
九州電力の年収を検索すると、複数のサイトが少しずつ違う額を挙げています。どれが正しいのかを判断しようとしても、その額が何年度のもので誰を対象にしているのかが書かれていないと比べられません。
有価証券報告書に記載された最新の数値は次のとおりです。第102期、つまり2025年度(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の報告書で、2026年3月31日現在の提出会社である九州電力株式会社の状況です。
| 項目 | 第102期(2025年度) |
|---|---|
| 平均年間給与 | 842万0,008円 |
| 平均年齢 | 42.1歳 |
| 平均勤続年数 | 20.8年 |
| 従業員数 | 4,383人 |
| 平均年間給与の対前事業年度増減率 | 4.4% |
この842万円を読むときに押さえておきたい注記が2つあります。1つは、平均年間給与に賞与および基準外賃金が含まれていることです。基本給だけの額ではありません。もう1つは、従業員数が就業人員数であり、社外への出向者を除き社外から受け入れている出向者を含む数え方だということです。
そして押さえておきたいのは、この額が平均年齢42.1歳、平均勤続年数20.8年という集団の平均値だということです。20年前後勤めた人を含む平均なので、中途で入った初年度にこの水準になるという意味ではありません。
高いか低いかという問いには、給与所得者全体と比べれば高い水準だと言えます。国税庁の民間給与実態統計調査による令和6年分の平均給与は478万円で、842万円はこれを大きく上回ります。ただし電力業界の中での位置づけを知るには、各社の水準を横に並べて見る必要があります。大手10社の年収を比較した整理は以下の記事にあります。
842万円は全社員の平均ではない

有価証券報告書の平均年間給与が対象にしているのは提出会社の従業員で、グループ全体の一部です。同じ報告書には連結会社の従業員数も載っていて、こちらは21,189人あります。提出会社の4,383人は、その約2割にあたります。
連結の内訳を見ると、人員の構成が「電力会社」という言葉から想像するものと違っていることが分かります。
| セグメント | 従業員数 |
|---|---|
| その他エネルギーサービス事業 | 7,719人 |
| 発電・販売事業 | 5,539人 |
| 送配電事業 | 3,776人 |
| ICTサービス事業 | 2,883人 |
| 都市開発事業 | 682人 |
| 海外事業 | 96人 |
| その他 | 494人 |
| 合計 | 21,189人 |
最も人数が多いのは発電・販売事業ではなく、その他エネルギーサービス事業の7,719人です。ICTサービス事業に2,883人、都市開発事業に682人が在籍しています。発電と販売を担う部門は5,539人で、全体の3割に届きません。
一方で提出会社のセグメント別内訳を見ると、発電・販売事業が4,354人で、残りはその他エネルギーサービス事業の22人とその他の7人です。つまり842万円という額は、実質的に発電・販売事業を担う人たちの平均だと読めます。送配電事業の3,776人は連結には含まれますが、提出会社には含まれていません。
ここから実務的な確認事項が1つ出てきます。「九州電力に転職する」と言うとき、応募先が提出会社なのかグループの別会社なのかで、当てはめるべき給与の水準が変わります。募集要項に書かれている会社名が九州電力株式会社なのか、それ以外なのかを見てください。グループ会社にはそれぞれ別の給与水準があり、有価証券報告書の842万円をそのまま当てはめることはできません。
5年間の推移と増えた理由
平均年間給与は上がっていますが、同じ期間に従業員数は減っています。5年前の第97期と直近2期を並べると次のようになります。
| 期(事業年度) | 平均年間給与 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 |
|---|---|---|---|---|
| 第97期(2020年度) | 759万5,698円 | 5,348人 | 42.3歳 | 21.8年 |
| 第101期(2024年度) | 806万8,484円 | 4,446人 | 41.3歳 | 21.1年 |
| 第102期(2025年度) | 842万0,008円 | 4,383人 | 42.1歳 | 20.8年 |
第97期から第102期の5年で、平均年間給与は82万4,310円増えました。増加率は10.9%です。同じ期間に従業員数は965人減り、18.0%の減少になっています。給与が上がった事実と人数が減った事実は並んで存在していますが、報告書はこの2つを結びつけて説明していないため、一方が他方の原因だとは言えません。
会社自身が増加の理由として書いていることは確認できます。第102期の報告書には、賞与支給額等の見直しを行った結果、2025年度平均年間給与の対前年比増減率は4.4%となったと記載されています。つまり直近の伸びについて会社が挙げているのは賞与の見直しです。
原子力についての記載も見ておきます。九州電力は同じ報告書の気候変動に関する記載で、自らを「東日本大震災以降いち早く原子力の再稼働を実現した低・脱炭素のトップランナー」と位置づけています。この記述を読むと、原子力が動いているから給与が高いのだろうと結びつけたくなります。しかし報告書は給与の増加要因としてそう説明していません。挙げられているのは賞与支給額等の見直しです。
原子力について報告書が挙げているのは、事業の機会とリスクの両面です。将来の機会として原子力発電の設備利用率の向上が挙げられ、リスクとしては計画外停止に伴う火力発電の焚き増し等が挙げられています。事業の位置づけとしては特徴的ですが、給与水準の説明としてこの記述を使うことはできません。
もう1つ、平均年齢と平均勤続年数の動きにも触れておきます。第101期から第102期にかけて、平均年齢は41.3歳から42.1歳へ上がった一方、平均勤続年数は21.1年から20.8年へ下がりました。年齢が上がって勤続年数が下がる組み合わせは、新卒より上の年齢で入った人が加わっていることを示唆します。ただし報告書にその説明はないため、示唆の範囲にとどめて読むのが妥当です。
経験者採用は2つの制度に分かれる
九州電力の経験者採用には制度が2つあり、年齢の要件が違います。どちらに該当するかで、応募できるかどうかと時期が変わります。
キャリア採用
毎年4月1日の入社を基本として、各職種で広く応募を受け付ける制度です。応募資格には年齢の要件があり、2026年4月1日時点で45歳未満とされています。大卒は卒業後3年超が対象で、3年以内の場合は正社員としての経験が必須です。専攻や前職の経験は問われません。
募集職種は事務職と技術職に分かれ、事務職はさらにエリア指定コース、エリア指定なし、都市開発事業、エネルギーコンサルティングのコースに分かれています。障害者特別選考も実施されています。
このコース区分は、連結のセグメント構成と対応しています。都市開発事業に682人、エネルギーサービス系に7,719人が在籍していることを踏まえると、事務職の応募コースはグループの事業構造をそのまま反映していると読めます。志望するコースを選ぶ段では、そのセグメントがどんな事業なのかを先に調べておくと面接での説明がしやすくなります。
選考はエントリーシートの入力、基礎能力検査、一次面接、最終面接という順に進み、内定通知に至ります。各ステップに期限が設定されているため、募集年度の日程は採用サイトで確認してください。
高度専門採用
特定の職種・業務に関する専門人材を不定期で募集する制度です。キャリア採用と違い、年齢制限がありません。応募資格は募集ごとの別紙に記載された経験や知識、技能を有することとされています。
もしあなたが45歳以上で応募を考えているなら、年齢要件のあるキャリア採用ではなく、こちらの募集分野を見てください。募集が不定期なので、いま募集要項が出ているかどうかを先に確認する順序になります。
応募前に確認すること

有価証券報告書の平均年間給与は、応募者に提示される額ではありません。採用サイトには、給与は実務経験に応じて当社規定により決定すると書かれています。賞与は年2回、6月と12月です。
平均年間給与という数値は、長く勤めた場合にどのあたりの水準に届くのかを見通す目安として使えます。ただし入社時に提示される額を予想する用途には向きません。この違いを踏まえたうえで、募集要項では次の項目を確認してください。
- 応募先の会社名が九州電力株式会社なのか、グループの別会社なのか
- 募集区分がキャリア採用か高度専門採用か、年齢の要件を満たしているか
- 勤務地の範囲(九州管内の事業所および東京支社ほか)
- 事務職の場合、エリア指定コースかエリア指定なしか
- 給与の提示が実務経験をどう評価した結果なのか
勤務地については、配属が適性や経験と会社のニーズに基づいて決定されるとされています。事務職にエリア指定の有無というコース区分があること自体が、勤務地の扱いが応募段階で分かれることを示しています。九州で働き続けたい理由があるなら、コースの選択は最初に決める項目になります。
最後に、数字の動きだけで判断しないことを付け加えておきます。1人あたりの給与が上がる一方で、組織の人数は縮んでいます。給与の上昇を材料にするなら、応募するポジションがどの事業に属していて、その事業の人員がどう推移しているのかもあわせて見るほうが判断の精度が上がります。
よくある質問
Q. 九州電力の平均年収はいくらですか?
有価証券報告書の第102期、2025年度の記載では842万0,008円です。これは提出会社である九州電力株式会社の従業員4,383人を対象とした平均で、平均年齢は42.1歳、平均勤続年数は20.8年です。賞与および基準外賃金を含む額です。
Q. 賞与は年収に含まれていますか?
含まれています。有価証券報告書には、平均年間給与は賞与及び基準外賃金を含んでいると注記されています。採用サイトでは賞与は年2回、6月と12月に支給されると記載されています。
Q. 年収まとめサイトの数字と違うのはなぜですか?
参照している事業年度が違う場合があります。第101期(2024年度)の平均年間給与は806万8,484円で、第102期(2025年度)は842万0,008円です。1年違うと35万円ほど変わります。また対象が提出会社か連結会社かでも人員の範囲が変わるため、どちらの数字なのかを確認する必要があります。
Q. 45歳以上でも応募できますか?
キャリア採用には2026年4月1日時点で45歳未満という年齢要件がありますが、高度専門採用には年齢制限がありません。ただし高度専門採用は特定の職種・業務について不定期に募集されるため、応募したい分野の募集が出ているかを確認することになります。
まとめ
九州電力の平均年間給与は、有価証券報告書の第102期(2025年度)で842万0,008円です。賞与と基準外賃金を含み、平均年齢42.1歳・平均勤続年数20.8年の集団の平均値なので、中途入社の提示額とは別のものとして読む必要があります。
この額が対象にしているのは提出会社の4,383人で、連結の21,189人の約2割です。連結で最も人数が多いのはその他エネルギーサービス事業の7,719人であり、応募先がグループのどの会社かで当てはめる給与の水準が変わります。
5年間で平均年間給与は10.9%上がり、従業員数は18.0%減りました。直近の4.4%の伸びについて会社が挙げている理由は賞与支給額等の見直しです。原子力の再稼働が早かったことは報告書に自己記述として書かれていますが、給与の増加要因としては説明されていません。
応募を考えるなら、まず募集要項の会社名の欄を見て、応募先が九州電力株式会社なのかグループ会社なのかを確かめてください。ここが決まらないと、参照すべき給与の数字も決まりません。