中国電力の平均年収は?送配電の分社と中途採用の月給レンジ
この記事の要約
中国電力の平均年間給与は、第102期の有価証券報告書で8,945,510円と公表されています。一方、中途採用の募集要項に出ている金額は月給239,000〜588,000円で、下限と上限に2.5倍近い幅があります。この2つは対象も算定の中身も違う数字です。この記事では、有価証券報告書の平均が提出会社3,584人のものであること、送配電が別会社になっていること、募集要項の月給レンジと新卒初任給を並べて自分の位置をどう見積もるか、そして募集職種と応募条件を整理します。
月給の幅が広すぎて読めない

中国電力の中途採用の募集要項を開くと、給与の欄には月給239,000〜588,000円と書かれています。下限と上限で2.5倍近い差があり、「経験・能力を考慮し決定します」と添えられています。この幅のどこに自分が入るのかは、募集要項からは読み取れません。
平均年収を調べると、今度は別の数字が出てきます。有価証券報告書に基づく894万円台という数字もあれば、口コミの回答を集計したサイトが示す、より低い水準の数字も並びます。集計した人数も期間もサイトごとに違うため、値が揃いません。募集要項の月給レンジと、これらの平均年収がどう繋がるのかも分かりません。
判断の材料になるのは、会社自身が公表している3種類の数字です。有価証券報告書の平均年間給与、中途採用の募集要項に載る月給レンジ、新卒採用の初任給。この3つは対象が違うので、それぞれが誰の数字なのかを押さえたうえで並べると、自分の位置を見積もれるようになります。順に見ていきます。
公表されている平均年収
第102期(2025年4月1日から2026年3月31日まで)の有価証券報告書によると、中国電力の平均年間給与は8,945,510円です。同じ欄に、従業員数3,584人、平均年齢42.1歳、平均勤続年数20.1年と記載されています。平均年間給与の対前事業年度増減率は6.1%です。注記には「平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいる」とあり、月々の基本給だけでなく賞与と時間外手当などを含んだ年額であることが分かります。
直近3期を並べると次のようになります。
| 期 | 時点 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第100期 | 2024年3月31日現在 | 3,598人 | 42.3歳 | 20.6年 | 7,905,010円 |
| 第101期 | 2025年3月31日現在 | 3,570人 | 42.2歳 | 20.4年 | 8,427,313円 |
| 第102期 | 2026年3月31日現在 | 3,584人 | 42.1歳 | 20.1年 | 8,945,510円 |
3期で約104万円の増加です。同じ期間に平均勤続年数は20.6年から20.1年へ短くなっており、勤続の長い層が増えたことで平均が上がったという説明は当てはまりません。増加の理由を有価証券報告書は個別に説明していないため、ここでは事実として推移だけを示します。
読み取るときに外せないのが、この金額が平均年齢42.1歳・平均勤続年数20.1年という層の平均だという点です。新卒で入って20年働いた人が中心にいる集団の平均であり、入社直後の水準ではありません。中途で入社した人がすぐにこの金額を受け取るわけではない、という前提で見る必要があります。
送配電は別会社になっている
有価証券報告書に載っている8,945,510円は、提出会社である中国電力株式会社の3,584人を対象にした数字です。グループ全体の平均ではありません。同じ報告書の連結会社の状況を見ると、従業員数は合計12,606人で、内訳は総合エネルギー事業3,815人、送配電事業4,614人、情報通信事業1,011人、その他3,166人となっています。提出会社の欄はセグメント別に見ると総合エネルギー事業の3,584人だけで、送配電事業も情報通信事業も「-」と記載されています。
理由は沿革に書かれています。2019年4月に中国電力ネットワーク株式会社(分割準備会社)を設立して吸収分割契約を締結し、2020年4月の吸収分割により同社へ一般送配電事業等を承継した、という記載です。送電線や変電所を維持し、電気を各家庭まで届ける仕事は、2020年4月から別会社が担っています。
あなたにとっての意味は明確です。応募先が実質2社に分かれます。発電と販売に関わりたいなら中国電力、送配電の設備に関わりたいなら中国電力ネットワークで、採用ページも募集職種も別々に用意されています。中国電力ネットワークのキャリア採用は技術職の募集で、主な業務は送電・変電・配電設備の点検、保修、設計、系統運用、制御、通信、情報システムとされています。
給与の示し方も2社で違います。中国電力の募集要項には月給の下限と上限が金額で書かれているのに対し、中国電力ネットワークの募集要項は「基準労働賃金は、本人の経験・能力等を考慮し当社規定に基づき決定します」として金額を示していません(いずれも2026年8月時点)。応募前に条件を数字で確かめられるかどうかが、この時点で変わります。
中途採用の月給レンジ
中途採用で提示される金額の目安は、募集要項に月給239,000〜588,000円と示されています。昇給は年1回、賞与は年2回(2025年度実績)です。年代別・役職別の年収は中国電力も中国電力ネットワークも公表していないため、この幅と他の公表値を並べて位置を見積もることになります。
公表されている3つの数字を並べると次のようになります。
| 数字 | 金額 | 対象 |
|---|---|---|
| 新卒初任給 | 大学・高専(専攻科)卒 240,000円/大学院卒 264,000円 | 2025年度入社者実績 |
| 中途採用の月給 | 239,000〜588,000円 | 2026年8月時点の募集要項。経験・能力を考慮して決定 |
| 平均年間給与 | 8,945,510円 | 第102期の提出会社3,584人。平均年齢42.1歳・平均勤続年数20.1年 |
3つを並べると、月給レンジの下限239,000円が新卒初任給の240,000円とほぼ同じ水準に置かれていることが分かります。職務経験3年以上という応募条件の下限にあたる人は、新卒とほぼ同じ月給から始まる設計です。上限の588,000円は月給だけで年間700万円を超える水準にあたり、専門分野の実務を長く担ってきた人を想定した枠と読めます。平均年間給与の8,945,510円は賞与を含む年額なので、月給と単純には比較できません。自分の提示額を見積もるなら、職務経験の年数と分野から月給レンジのどのあたりに当たるかを考え、そこに年2回の賞与が乗る、という順序になります。
参考までに、中国電力ネットワークの新卒初任給は大学院修了275,000円、大学卒・高専専攻科修了251,000円、高専本科卒231,000円(2026年度入社)と公表されています。中国電力の初任給とは対象の年度が違うため、2社の金額を並べて優劣を判断することはできません。
平均値の背後にある構成も見ておきます。第102期の有価証券報告書によると、中国電力の女性労働者の割合は24.5%で、労働者の男女の賃金の額の差異は全労働者で71.2%、正規雇用労働者で71.7%です(男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合)。管理的地位にある労働者に占める女性労働者の割合は5.4%で、2030年度に10%とする目標が掲げられています。平均年間給与は、この構成の全体を均した数字です。
もしあなたが30代なら、同じ年代の平均年収と中央値を先に見ておくと、提示された金額が世代のなかでどのあたりに位置するのかを判断できます。
職種別に見る募集分野
中途採用の募集は「事務職・技術職のいずれかの業務」という枠で行われ、具体的な業務内容は本人の経歴に応じて決定されるとされています。そのうえで、対象となる仕事の範囲が募集要項に列挙されています。職種ごとの給与は公表されていないため金額は示せませんが、どの分野で人を採っているかは確認できます。
キャリア採用サイトでは、職種が4つのカテゴリに分けられています。
電源
原子力、再生可能エネルギー、土木、建築の職種が置かれています。募集要項の仕事内容にも発電(火力・原子力・再エネ)、土木、建築が挙げられています。発電設備そのものを扱う領域で、建設と維持の両方が対象になります。
エネルギー営業
エネルギー営業と技術営業の2職種です。電力を売る側の仕事で、法人向けの提案や技術的な検討が含まれます。
パワー・トレーディング
電力需給管理、収支リスク管理、トレーディング、システム開発・市場分析、火力、燃料が並びます。電力の需要と供給を合わせ、市場での取引と燃料の調達を行う領域です。
コーポレート・その他
国際事業、カーボンニュートラル推進、用地、デジタルイノベーション、研究開発、知財、経営企画・経営管理、リスク管理、法務コンプライアンス、内部監査、人事・労務、経理、資材、広報・地域対応が挙げられています。
この区分は、会社が示している経営の重点と対応しています。有価証券報告書の人材戦略には「当社では、原子力発電所の安定稼働やエネルギー・ソリューションの拡大、トレーディング強化など成長戦略上の重点課題に人的資源を優先配分のうえ」と記載されています。原子力の安定稼働、エネルギー・ソリューション、トレーディングという3つが、そのまま電源・エネルギー営業・パワー・トレーディングの区分に重なります。
背景にあるのが島根原子力発電所です。同じ報告書は、島根原子力発電所2号機について「安定運転を継続するとともに、特定重大事故等対処施設等の設置について、新規制基準への適合性審査に適切に対応し、安全対策工事を着実に進める」とし、3号機については「2030年度までの営業運転開始を目指し、新規制基準への適合性審査に適切に対応し、安全対策工事・建設工事を着実に進める」としています。業績の説明でも「島根原子力発電所2号機の再稼働を果たし、当連結会計年度は、島根原子力発電所2号機の安定運転を継続したほか、国内電気事業の収益拡大策を実施し、近年減少傾向にあった総販売電力量を大幅に増加させることができた」と述べられています。稼働と建設が続く分野に人を配分する方針が、募集職種に表れているという読み方ができます。
もしあなたが火力発電所の設備管理や燃料の調達に関わってきたなら、パワー・トレーディングの区分にある火力・燃料の職種が、経験の接続先になります。プラントの建設や土木の実務経験があれば、電源の区分にある土木・建築が対応します。募集職種の一覧を自分の職務経歴と突き合わせるところから始めると、応募先を絞りやすくなります。
応募条件と選考の流れ
中途採用の応募資格には、必須要件と歓迎要件があります。必須要件は「高校卒業以上」「企業等での職務経験年数が3年以上」「60歳未満(定年年齢60歳のため)」の3つです。学歴で大卒以上を求めてはおらず、経験年数と年齢で線引きされています。
歓迎要件として挙げられているのは「中国地方で働くことに魅力を感じる方」「電気・機械・情報・原子力・化学・土木・建築等専攻卒業者」「電力会社・電力設備メーカー等の技術職経験者」です。専攻や業界経験は必須ではなく、あれば評価される位置づけになっています。
勤務地と働き方の条件も募集要項に出ています。
- 勤務地
- 広島市の本社または中国5県(鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県)の事業所
- 勤務時間
- 8時50分から17時20分(休憩1時間)。フレックスタイム勤務の適用があり、コアタイムは11時から14時
- 休日休暇
- 完全週休2日制(土・日・祝)、年次有給休暇は勤続1年未満15日・1年以上20日、リフレッシュ休暇5日
- 待遇
- 各種社会保険完備、財形貯蓄制度、退職金制度、社宅・寮等
選考は、応募のあとに書類選考があり、通過すると一次試験としてSPIと適性検査を受けます。その後に面接試験があり、内定という流れです。面接は本社周辺で行われ、WEBで実施される場合もあります。採用サイトの案内でも、書類選考の結果は合否にかかわらず連絡すること、面接会場は本社を予定していること、交通費として所定金額が支給されることが示されています。
中国電力ネットワークの応募資格は「企業等での職務経験年数が3年以上ある方」「高校卒業以上の方」「中国地方で働くことに魅力を感じる方」です。選考は書類選考、一次試験(筆記試験SPI・適性検査・レポート)、面接試験(複数回、対面またはオンライン)という流れで、中国電力の選考にはないレポートが一次試験に含まれています。勤務地は中国5県の事業所で、転居を伴う転勤があると明記されています。
中途採用の募集は応募期間を区切って行われ、対象職種や条件は改定されます。ここで挙げた金額と条件は2026年8月時点のものです。応募の前に、採用サイトから最新の募集要項を開いて、給与欄と応募資格を確認してください。
中途で応募するときの準備

応募の前に決めておくことが3つあります。順に見ていきます。
応募先をどちらの会社にするか
中国電力と中国電力ネットワークでは、扱う事業が違います。発電・販売・トレーディングに関わりたいなら中国電力、送電・変電・配電の設備に関わりたいなら中国電力ネットワークです。採用ページも募集要項も別々に用意されているため、まず自分の経験がどちらの事業に接続するかを決めてから、その会社の募集職種を見るほうが効率的です。給与欄の書き方も違い、中国電力は月給レンジが数字で示され、中国電力ネットワークは経験・能力を考慮して決定するとだけ書かれています。金額を先に確かめたい場合は、この違いも判断材料になります。
職務経験3年をどう示すか
必須要件が「企業等での職務経験年数が3年以上」である以上、職務経歴書では年数と、その経験が募集分野に接続することの両方を示す必要があります。書く項目は募集職種の区分に合わせます。電源系なら担当した設備の種類と規模、保守か建設か、法令に基づく点検や工事の経験。パワー・トレーディング系なら扱った商材と量、需給や在庫の管理、社外との調整の範囲。コーポレート系なら担当した業務の範囲と、社内の何人規模の組織を対象にしていたか。加えて、保有資格があれば取得年と種別を明記します。歓迎要件に電気・機械・情報・原子力・化学・土木・建築等の専攻が挙がっているので、該当する専攻であれば学歴欄にも記載しておきます。
転勤の範囲を確認する
勤務地が広島市の本社または中国5県の事業所とされ、中国電力ネットワークについては転居を伴う転勤があると明記されています。持ち家や家族の事情がある場合、この条件は月給の額以上に生活を左右します。応募前に、転勤の頻度や範囲について確認できる範囲を把握しておくほうが、入社後の見込み違いを避けられます。
条件の確認や交渉を自分で行いにくい場合は、転職エージェントを経由する方法もあります。株式会社リクルートが運営するリクルートエージェントは全業種・全職種を対象とした総合型のサービスで、キャリアアドバイザーとの面談、応募書類の添削、面接対策に加えて、企業との条件交渉や日程調整の代行を行っています。月給レンジのどのあたりを想定した募集なのかを事前に確かめたい場合の窓口になります。
よくある質問
Q. 中国電力の平均年収はいくらですか?
第102期の有価証券報告書によると、平均年間給与は8,945,510円です(2026年3月31日現在、賞与及び基準外賃金を含む)。対象は提出会社の従業員3,584人で、平均年齢42.1歳・平均勤続年数20.1年です。
Q. 中途で入るといくらもらえますか?
2026年8月時点の募集要項では、月給239,000〜588,000円と示されています。経験・能力を考慮して決定するとされ、昇給は年1回、賞与は年2回(2025年度実績)です。この幅のどこに入るかは募集要項からは分かりません。
Q. 高卒でも応募できますか?
必須要件は「高校卒業以上」とされており、大卒であることは条件になっていません。あわせて「企業等での職務経験年数が3年以上」「60歳未満」という条件が示されています。
Q. 中国電力ネットワークとは何が違うのですか?
2020年4月の吸収分割で、一般送配電事業等が中国電力ネットワークへ承継されました。連結12,606人のうち送配電事業の4,614人が同社側の人員にあたります。募集職種は送電・変電・配電設備の点検、保修、設計、系統運用などの技術職で、給与は金額ではなく「経験・能力等を考慮し当社規定に基づき決定」と示されています。
まとめ
中国電力の年収を判断材料にするうえで押さえておきたいのは、次の3点です。
- 公表値は3種類あり対象が違う
- 有価証券報告書の平均年間給与8,945,510円は提出会社3,584人(平均年齢42.1歳)の年額、募集要項の月給239,000〜588,000円は中途入社時点の月額、初任給は新卒の月額
- 応募先は2社に分かれる
- 2020年4月の吸収分割により、送配電は中国電力ネットワークが担当しており、採用ページも募集職種も給与欄の書き方も別
- 必須要件は経験年数と年齢で線引きされている
- 高校卒業以上、企業等での職務経験年数が3年以上、60歳未満の3つで、専攻や業界経験は歓迎要件
次にやることは1つです。両社の募集要項を開いて、給与欄と応募資格を並べたうえで、自分の職務経歴書に出てくる設備名や業務名が多く登場するほうを応募先に決めてください。そこが決まれば、職務経験3年をどう書くかも自然に定まります。