不動産事務の求人の探し方!業態別の仕事内容と会社の調べ方
この記事の要約
不動産業界の事務職は、賃貸仲介の店舗に入るのか、管理会社や本社の事務に入るのかで、扱う書類も休日の取り方も変わります。この記事では、業界の経験も宅地建物取引士の資格もない状態から正社員の事務職を目指す方に向けて、4つの業態で仕事がどう変わるか、宅地建物取引業法で定められた書類に事務がどこまで関わるか、求人票の職種名・休日・資格の3つの欄から何を読み取るかを整理します。応募先の免許番号から営業年数や行政処分歴を自分で調べる手順も紹介します。
応募先を決められない理由

不動産事務の求人票を開くと、仕事内容の欄には契約書類の作成や電話応対、データ入力といった作業が並んでいます。書かれていることは分かるのに、どこに応募するかは決められない。作業名からは、その事務が売買や賃貸の契約書類に関わるのか、入居後の問い合わせ対応が中心なのかまで読み取れないからです。宅地建物取引業法は、契約が成立するまでに交付する書面と、契約時に交付する書面を定めています。どちらを扱うことになるかは、その会社が売買仲介なのか賃貸仲介なのか、それとも管理を主にしているのかで変わります。
不動産業界で働いた経験がなく、宅地建物取引士の資格も持っていないなら、その違いは求人票からは見えません。業界の言葉が分からないぶん、どの記載が店舗勤務を意味するのかも判断できません。宅建を取って重要事項説明そのものを担当したいのであれば、応募先は事務職ではなく営業職になります。
応募先を決められないまま「不動産事務はきついのか」「やめたほうがいいのか」を先に調べてしまうのは自然なことです。検索の関連質問にもこの2つが並びます。ただ、この不安の正体は仕事そのものの厳しさというより、業態ごとの違いを知らないまま応募先を選ぼうとしている状態にあります。先に業態を決めてしまえば、見るべき求人はかなり絞れます。
不動産に絞る前に、事務職の求人そのものをどう探すかから決めたいのであれば、以下の記事が転職サイトの選び方と探す順序を整理しています。
業態で変わる不動産事務の仕事
不動産の事務職は、賃貸仲介の店舗、売買仲介の店舗、管理会社、デベロッパーやハウスメーカーの本社という4つの業態に分かれ、同じ「不動産事務」という求人名でも扱う書類と休日の傾向が変わります。まず全体を見比べてから、それぞれの中身を見ていきます。
| 業態 | 主な業務 | 関わる書類 | 休日の傾向 | 未経験で問われること |
|---|---|---|---|---|
| 賃貸仲介の店舗 | 入居申込の受付、審査の連絡、契約手続き | 入居申込書、賃貸借契約書 | 水曜など平日休みが中心 | 業界知識より応対と書類の正確さ |
| 売買仲介の店舗 | 契約書類の準備、決済日程の調整 | 重要事項説明書の資料、契約書面 | 平日休みが中心 | 日付と金額を取り違えない確認 |
| 管理会社 | 入居者からの連絡対応、業者の手配 | 修繕の依頼書、家賃の入金記録 | 土日休みの条件もある | 電話やメールでの応対経験 |
| 本社の事務 | 契約データの管理、請求処理 | 社内の管理帳票、請求書 | 土日休みが中心 | 事務としての実務経験 |
賃貸仲介の店舗事務
賃貸仲介の店舗では、入居申込書の受け取りと不備の確認、保証会社や家主への審査の取り次ぎ、契約書類の作成準備、鍵や重要書類の受け渡しの段取りが中心になります。案内から契約までが短い期間で進むため、書類の不備をその日のうちに埋める連絡が仕事の多くを占めます。営業担当が外に出ている時間帯の電話を受けるのも事務の役割です。
売買仲介の店舗事務
売買仲介では、契約1件あたりの書類が増えます。登記事項証明書や公図といった資料の手配、契約書面に載せる項目の転記、金融機関やあなたの会社の担当者を含めた決済日程の調整などが加わります。金額が大きい取引を扱うため、日付や氏名の誤りを残さない確認作業が仕事の質そのものになります。
管理会社の事務
管理会社の事務は、すでに入居している人からの連絡が起点になります。設備の不具合の一次受け、修繕業者への手配、家賃の入金状況の確認、オーナーへの報告書の作成などです。来店客を待つ仕事ではないため、土日休みの条件で募集されることもあります。前職で電話やメールの応対をしていた経験があれば、管理会社の事務に応募するときの職務経歴書や面接でそのまま話せる材料になります。
本社の事務
デベロッパーやハウスメーカーの本社事務は、店舗ではなくオフィスで契約データの管理や請求処理、社内の申請の取りまとめを担います。もしあなたが平日の定時退社を優先したいのであれば、仲介の店舗より管理会社や本社の事務を見たほうが条件は合いやすくなります。一方で、事務としての実務経験を求める募集が中心で、事務の経験がない状態からの応募は通りにくい傾向があります。
事務が関わる宅建業法の書類
不動産の事務は宅地建物取引業法で定められた書類の準備に関わりますが、重要事項説明書の説明と記名は宅地建物取引士でなければ行えません。同法第35条第1項は、契約が成立するまでの間に宅地建物取引士をして書面を交付して説明をさせなければならないと定め、同条第5項は書面の交付に当たって宅地建物取引士が記名しなければならないと定めています。契約書面についても第37条第3項が、宅地建物取引士をして記名させなければならないとしています。
つまり求人票にある「重要事項説明書の作成補助」は、宅建士が説明し記名する前段の準備作業を指していると読めます。登記事項証明書や公図の取り寄せ、法令上の制限に関する記載事項の転記、宅建士が確認する前の資料の突き合わせなどです。説明そのものを任される心配はありませんが、資料が1点足りないだけで契約日が動くため、期限の管理が仕事の中心になります。
事務職として宅建を取る意味も、事務所ごとの設置義務から説明できます。同法第31条の3第1項は、事務所ごとに国土交通省令で定める数の専任の宅地建物取引士を置くよう義務づけ、施行規則第15条の5の3が、その数を「当該事務所において宅地建物取引業者の業務に従事する者の数に対する宅地建物取引士の数の割合が五分の一以上となる数」と定めています。事務職も業務に従事する者に数えられるため、事務が資格を持てば事務所の要件を満たす側の人員になります。資格手当の金額は会社ごとに違うので求人票で確認する必要がありますが、評価されやすい理由自体は制度に裏づけられています。
入社後は、あなた自身も宅建業者の従業者として制度の対象に入ります。同法第48条は、宅地建物取引業者が従業者に従業者であることを証する証明書を携帯させなければ業務に従事させてはならないと定め、取引の関係者から請求があれば提示しなければならないとしています。事務職も例外ではないので、入社時に従業者証明書を受け取り、携帯して働くことになります。
同じ「業界特化の事務」でも、建設業の事務は扱う書類の系統が違います。施工体制台帳のような工事の書類が中心で、会社を調べるときに見る公開情報も建設業許可や経営事項審査です。建設側も候補に入れているなら、以下の記事が建設業の事務求人の探し方を扱っています。
求人票で見る3つの欄
求人票のうち職種名・休日・資格の3つの欄を読めば、その求人が机での作業中心なのか来店応対を含むのかを判別できます。
職種名の欄
「一般事務」は社内の書類作成やデータ入力が軸、「営業事務」は営業担当が動かす案件の書類と連絡を受け持つ役割です。「宅建事務」と書かれた求人は、資格保有者を前提に契約書類の実務を任せる意図で使われることがあります。気をつけたいのは「営業サポート」で、書類作成や電話応対に加えて来店客の応対や契約後の追客の電話が業務に入る場合があります。机に向かう作業だけを想定していると入社後に認識の差が出るので、名称だけで判断せず、仕事内容の欄に「来店対応」「内見の同行」が書かれていないかを確かめてください。
休日の欄
仲介の店舗は来店客が集中する土日が営業日になるため、休日が平日に設定されることがあります。求人票の休日欄に水曜定休や火曜・水曜休みと書かれていないかを最初に確認してください。参考として、事務職全体の傾向を厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の「一般事務」で見ると、就業時間は規則的で残業は少なめ、土日祝日は休みとなることが多いと説明されています。不動産の仲介店舗はこの一般的な事務職像から外れる働き方になります。土日休みを最優先するなら、仲介店舗は候補から外し、管理会社や本社の事務、あるいは不動産以外の一般事務も併せて見るのが現実的です。
繁忙期にも偏りがあります。総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告によると、2026年3月の市区町村間移動者数は91万6197人で、2月の35万6713人、6月の38万3643人と比べて2倍を超えます。4月も67万7740人と高い水準です。引越しそのものが3月から4月に集中するため、その手前で内見や申込、契約手続きが動きます。仲介の事務が年明けから春にかけて忙しくなるのは、この季節の偏りが理由です。
資格の欄
宅建の扱いが「必須」なのか「歓迎」なのか「取得支援あり」なのかで、入社後に求められる度合いが変わります。必須なら実質的に資格保有者向けの募集です。取得支援ありと書かれている場合は、受験費用の負担や講座の補助があるかどうか、いつまでに取ることを期待されているかを面接で確かめておくと、入社後の計画が立てられます。
免許番号で応募先を調べる

応募前に免許番号を見れば、その会社が何年営業しているか、行政処分を受けていないかを自分で確認できます。求人票や会社サイトに「東京都知事(3)第○○○○○号」のように記載されている番号がその手がかりです。
カッコ内の数字は免許の更新回数を表します。宅地建物取引業法第3条第2項は免許の有効期間を5年と定めており、国土交通省の案内でも、有効期間の満了後も引き続き営業する業者は満了日の90日前から30日前までに更新申請を行う必要があると説明されています。したがってカッコ内が(2)なら5年以上、(3)なら10年以上の営業が目安になります。ただし国土交通省の免許申請書の様式には、申請の種類として「新規」「免許換え新規」「更新」の3区分があります。事務所を他の都道府県にも設けて知事免許から大臣免許に切り替えた会社では、更新ではなく新規として扱われるため、数字が営業年数とそのまま対応しない場合があります。
免許権者の違いも同法第3条第1項で決まっています。2つ以上の都道府県に事務所を置く場合は国土交通大臣免許、1つの都道府県内だけなら知事免許です。番号の頭が「国土交通大臣」なら複数の都道府県に拠点がある会社だと分かります。
行政処分の有無は国土交通省のサイトで確かめられます。同省の建設業者・宅建業者等企業情報検索システムは12業種の登録情報を公開しており、そのなかに宅地建物取引業者が含まれます。あわせて同省のネガティブ情報等検索サイトでは、宅地建物取引業者に対する行政処分の情報が事業分野ごとに公開されています。気になる会社の名前を1社入れて調べてみると、その日のうちに応募先の輪郭がつかめます。営業年数が短いこと自体は欠点ではありません。新しい会社にも働きやすい職場はあるので、処分歴の有無と、求人票の条件が実態と合っているかを見る材料として使ってください。
未経験から応募するコツ
業界知識がない状態で応募するときは、不動産の話ではなく、書類の正確さと期限の管理という共通点であなたの経験を語ると伝わります。職務経歴書と面接で使える材料を整理します。
- 前職の業務から言い換えられる経験
- 見積書や請求書を作成し、金額や宛名の誤りを確認していた
- 電話やメールの一次対応をして、担当者に取り次いでいた
- 締め切りが決まった書類を、期限までに揃えて提出していた
- 複数の案件の進捗を一覧で管理していた
宅建の勉強を始めているなら、着手した時期と今どこまで進んでいるかを事実として書きます。「勉強中です」だけでは判断材料になりませんが、「6月から勉強を始め、権利関係まで一巡した」と書けば、続ける意思が伝わります。ただし資格があれば通るという期待は持たないでください。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の「一般事務」では、令和7年度のハローワークの有効求人倍率が全国0.29とされています。求人1件に対して応募する側が多い職種なので、宅建は評価されやすい材料の1つではあっても、それだけで内定が決まるわけではありません。
応募先を1つの業態に絞りすぎないことも実務的なコツです。仲介店舗と管理会社の両方を見ておくと、休日の条件で折り合える求人に出会いやすくなります。面接では次の3点を確かめておくと、入社後の齟齬を減らせます。配属先が店舗か本社か、繁忙期の残業がどのくらいか、宅建の取得をいつまでに求められるか。いずれも求人票には書かれにくく、面接で聞いて初めて分かる項目です。
求人の探し方と相談先
不動産の事務求人は、総合型の求人サイトで業種と職種を掛け合わせて絞り、不動産に強いエージェントで配属先の実態を確かめる進め方が現実的です。地域名だけで検索して一覧を眺めるのとは、出てくる求人が変わります。
総合型のサービスでは、業種を不動産に、職種を事務・アシスタントに、雇用形態を正社員に設定して掛け合わせます。dodaには不動産仲介の業種と営業事務・一般事務の職種を組み合わせた求人一覧が用意されているので、条件を保存しておけば新しい募集が出たときに拾えます。まずは無料で登録し、この3つの条件で検索してみるところから始められます。
業界に特化したサービスも使えます。宅建Jobエージェントは不動産業界に特化した転職エージェントで、公式サイトの紹介職種には販売営業や売買仲介、賃貸仲介、不動産管理などの営業系と並んで事務職が明記されています。対応エリアは一都三県を中心に全国47都道府県で、LINEや電話、メールで相談でき、職務経歴書がまだない段階でも登録できます。営業職の求人が中心のサービスではありますが、業界の事情に詳しい担当者に事務職の希望を伝えられるのが利点です(厚生労働大臣許可番号 13-ユ-311453)。
担当者に相談するときは、希望の優先順位を先に伝えると紹介がぶれません。土日休みを譲れないのか、宅建の取得を入社後しばらく先にしたいのか、通勤の範囲を狭く保ちたいのか。優先順位が決まっていれば、求人票に書かれていない配属先の実態を担当者が企業に確認してくれます。
よくある質問
Q. 不動産事務の給料はどのくらいですか?
不動産業に限った事務職は、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)に職業として設けられていません。参考として同サイトの「一般事務」では、賃金(年収)が全国平均で541.4万円、平均年齢は44.6歳とされています(令和7年賃金構造基本統計調査を加工した数値)。これは事務職全体の在職者平均で、未経験の入社時の水準ではありません。募集時の目安に近いのは同サイトのハローワーク求人賃金で、令和7年度の全国平均は月額21.6万円です。実際の金額は業態と地域で幅が出るので、求人票の下限額と上限額の両方を見てください。
Q. 不動産事務はきついと言われるのはなぜですか?
理由は仕事の内容よりも時期と休日の偏りにあります。引越しが3月から4月に集中するため、その手前の時期は契約手続きが立て込みます。また仲介の店舗は土日が営業日になるため、休日が平日になります。この2点は業態を選べば避けられます。管理会社や本社の事務は来店客を前提としないので、土日休みの求人も見つかります。
Q. 不動産事務に向いているのはどんな人ですか?
期限が決まった書類を、抜けなく処理できる人が向いています。契約日が動かせない取引を扱うため、資料が1点足りないことに気づける確認の習慣が評価されます。仲介の店舗を選ぶ場合は、来店客や入居者からの電話を受けることに抵抗がないかどうかも判断材料になります。
Q. 未経験でも正社員で採用されますか?
業界未経験を対象にした募集はありますが、業態によって求められるものが変わります。仲介の店舗事務は業界知識よりも書類の正確さと応対の姿勢を見られる傾向がある一方、本社の事務は事務としての実務経験を求める募集が中心です。どちらに応募する場合も、職務経歴書では前職の業務を不動産の仕事に翻訳して書く必要があります。
まとめ
不動産の事務職を探すときは、次の順序で判断すると求人を絞り込めます。
- 業態を先に決める
- 賃貸仲介、売買仲介、管理会社、本社事務で、扱う書類と休日が変わる
- 求人票の3つの欄を読む
- 職種名で業務範囲、休日欄で土日出勤の有無、資格欄で宅建を求められる時期が分かる
- 応募先を公開情報で確かめる
- 免許番号のカッコ内で営業年数の目安、国土交通省のサイトで行政処分歴を確認する
宅建を持っていない今の状態でも、書類の正確さと期限の管理という言葉で前職の経験は語れます。気になる会社が1社決まったら、まずその免許番号を国土交通省の検索システムに入れて、営業年数と処分歴を確かめてみてください。応募するかどうかの判断が、求人票を読み返すより早く進みます。