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更新日:2026/08/24

50代・60代の寮付き求人はある?年齢制限のルールと辞めた後の住まい

50代・60代の寮付き求人はある?年齢制限のルールと辞めた後の住まい

この記事の要約

寮付き・住み込みの求人を50代・60代で探すとき、最初に押さえておきたいのは年齢のルールです。労働者の募集・採用に当たって年齢制限を設けることは原則としてできず、「60歳以上の人を募集」という書き方だけが例外として認められています。この記事では、その原則と例外事由を厚生労働省の資料から整理したうえで、住み込みが成り立つ3つの型、建物に常駐して働く仕事の実態、そして辞めた時に住まいも失うという固有のリスクと、それを支える住宅セーフティネット制度までをまとめます。

寮付き求人に年齢の壁はあるか

机に座って書類を眺める男性

住まいと収入をまとめて確保できる働き方として、寮付きや住み込みの求人を見ている。募集自体は検索すれば出てくる。それでも応募のボタンを押す手前で止まってしまう、ということがあります。

止まる理由は2つに分かれます。

1つは、年齢の記載がない募集への不安です。書類を出して、面接まで行って、そこで年齢を理由に断られるのではないか。だとしたら最初から応募しないほうがいいのではないか、という迷いです。もう1つは、逆に「60歳以上歓迎」と書かれた募集を見つけたときの迷いです。これは特別な枠なのか、それとも通常の募集なのか。特別な枠だとしたら条件が悪いのではないか、という見方もできてしまいます。

50代後半から60代で、単身で住み込みの仕事を探している。そういう状況なら、求人があるかどうかより先に確かめておきたいのは、募集する側が年齢で線を引けるのかどうかです。ここが分かると、求人票の年齢の記載の読み方が変わります。寮と社宅と住み込みの違いから知りたい段階や、旅館や農業といった特定の業種に絞って調べている段階なら、確かめる順序は変わってきます。

60代の仕事探しを、職種の全体像や年金による収入の壁、探し方の窓口まで含めて見渡したい場合は、以下の記事がその全体をまとめています。

参考記事:60代の仕事探しガイド|シニアでも無理なく働ける職種と転職のコツ

求人に年齢制限は書けない

労働者の募集・採用に当たって、年齢制限を設けることは原則としてできません。厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークが出しているリーフレット「その募集・採用 年齢にこだわっていませんか?」は、この原則を事業主向けに説明しています。

適用の範囲は広く取られています。ハローワークを利用する場合だけでなく、民間の職業紹介事業者、求人広告、事業主が自社のホームページで直接募集する場合まで含まれます。パート、アルバイト、派遣といった雇用の形態も問いません。

そして、形式だけ整えればよいわけでもありません。同じリーフレットは、「形式的に求人票を『年齢不問』とすれば良いということではありません。年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に採否を決定することは法違反になります」と明記しています。さらに、本人の希望と関係なく一定年齢以上はパートタイムにするといった、応募者の年齢を理由に雇用形態や職種などの求人条件を変えることもできないとしています。

つまり、年齢の記載がない募集に対して「自分の年齢では対象外だろう」と先回りして諦める必要はありません。募集する側は、そもそも年齢で線を引けないところから出発しています。

例外として認められる場合

では、求人票に年齢が書かれていたら法違反なのか。そうとは限りません。年齢で線を引いてよい場合が定められていて、リーフレットはそれを例外事由として号ごとに整理しています。応募する側から見れば、目にした年齢の記載が正当なものかどうかを判断する基準になります。寮付き・住み込みの求人で関わるのは、次の3つです。

  • 1号
    • 定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合。定年が60歳の会社が60歳未満の人を募集するのが、認められる事例として挙げられています。
  • 2号
    • 労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合。労働基準法第62条の危険有害業務や、警備業法第14条の警備業務について「18歳以上の人を募集」とするのが例です。
  • 3号ニ
    • 60歳以上の高年齢者、または特定の年齢層の雇用を促進する国の施策の対象となる者に限定して募集・採用する場合。「60歳以上の人を募集」は、この事由により認められます。

3つめが、「60歳以上歓迎」という書き方の根拠です。特別に条件を下げた枠という意味ではなく、法が認めた書き方だということになります。

認められない書き方もある

反対に、年齢で線を引いてはならない場合も定められています。リーフレットが「認められない事例」として挙げているもので、ここを知っておくと、目の前の求人票の記載が枠組みに合っているかを自分で判断できます。

まず、有期の契約で年齢の上限を付けることです。1号の例外は期間の定めのない労働契約に限られており、リーフレットは「60歳未満の人を募集(契約期間1年。更新あり)」を認められない事例として挙げ、「実態として、有期労働契約を更新し続ける場合であっても、個々の契約は期間の定めのある労働契約であるため、このような記載は認められません」と説明しています。もしあなたが求人票の年齢欄を見て応募をためらっているなら、その求人が有期契約かどうかを先に確認してください。有期の募集に年齢の上限を付けることは、例外事由に当たりません。

もう1つは、60歳以上の募集に上限を付けることです。「60歳以上70歳以下の人を募集」は、上限年齢を付しているため認められない事例とされています。

まとめると、応募する側の判断はこうなります。期間の定めのない契約で定年年齢を上限にしている、法令で年齢が定められた業務である、60歳以上に限定している。この3つのどれかに当てはまるなら、年齢の記載は認められた書き方です。有期契約に年齢の上限が付いている、60歳以上の募集に上限が付いている。このどちらかなら、その記載は例外事由に当たりません。

この法律が保証していること

年齢制限が禁止されているのは、募集と採用の機会を年齢で閉ざさないためです。応募する権利を守るものであって、採用されることを保証するものではありません。年齢を理由に断ることはできませんが、業務に必要な経験や体力といった条件で選考が行われること自体は変わりません。

なお、リーフレットは条文を「雇用対策法施行規則第1条の3第1項」と表記しています。雇用対策法はその後「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(労働施策総合推進法)に改称され、年齢にかかわりない均等な機会の確保は同法第9条にあたります。

住み込みが成り立つ理由

寮が付くのは、福利厚生が手厚いからとは限りません。その仕事の構造上、住まいを用意しないと人が集まらないか、住むこと自体が業務に含まれているかのどちらかです。理由が分かると、自分の体力と生活に合う型を選べるようになります。

寮が用意される理由契約の期間体力の使われ方
生活圏から遠い通勤できない場所に職場がある常用も期間限定もある業務そのもので使う
建物に常駐する人がそこに居ることが業務1年以下の契約が中心待機と巡回で使う
繁忙が季節に偏る短期間に人を集める必要がある数か月の期間限定が中心繁忙期に集中して使う

生活圏から遠い型は、山間部や観光地の施設、大規模な工場などが当てはまります。繁忙が季節に偏る型は、期間を区切って人を集めるので、移動と入退去が短い周期で発生します。この2つは、業務そのものが身体を使うものになりやすく、住む場所も定期的に変わります。

これに対して、建物に常駐する型は性格が違います。職場と住まいが同じ建物なので通勤が発生せず、体力の使われ方が「移動と作業」ではなく「待機と巡回」に寄ります。50代・60代で住み込みを考えるとき、まず見ておく価値があるのはこの型です。

建物に常駐する仕事の実態

代表的なのがマンション管理員です。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)によると、マンションの管理方式には24時間常駐する「常駐管理」、通勤して日中のみ管理する「日勤管理」、定期的に複数のマンションを見回る「巡回管理」、管理する者を置かない「無人管理」の4種類があります。このうち常駐管理には、マンションに住み込むケースと、昼間のみの勤務で夜間は警備員が分担するケースがあると記されています。住み込みは4つの管理方式のうち1つの中にある形なので、常駐管理の募集がすべて住み込みというわけではありません。

年齢については、job tag は「入職にあたって、必要な資格や免許はなく、学歴や経験も不問であるが、新卒採用はほぼ無く、定年退職者等が再就職先として選択するケースが大半である」としたうえで、「同職業は求人の年齢設定が60歳代のものが多く、また実際の勤務は70歳代になっても可能であることが一般的である」と記しています。就業者は男性がほとんどで、女性比率は1割程度とみられているという記述もあります。入職前の訓練期間についての回答は「特に必要ない」が53.8%、「1ヶ月以下」が30.8%です。

条件面では、押さえておきたい点が3つあります。1つめは雇用の形で、job tag は「正社員雇用はほとんどなく、大半が契約期間が1年以下の契約社員、アルバイト、パートとしての雇用になる」と記しています。2つめは休日で、一般的には週休2日制ですが、管理組合の理事会や総会が土日や夕方に開催されることが多く、立会を求められれば出席します。3つめは時間外の対応で、点検などの外回りに加えて、台風や雪といった荒天時の見回りや点検、夜間の緊急のトラブル対応が入ることがあります。

ここまでの3つの型のうち、住まいの費用と生活の自由をめぐる論点がもっとも具体的に現れるのは、生活圏から遠い型です。寮費や食費が給与から引かれる仕組みと、住み込みが事業附属寄宿舎に当たる場合に私生活がどこまで自由かという2点を先に押さえておくと、契約書を読むときの見どころが分かります。

参考記事:旅館の住み込み求人の実態|中抜け・寮費控除・寄宿舎ルールの確認点

辞めたら住まいも無くなる

段ボール箱の横で考え込む男性

住み込みは、仕事を辞めた時点で住まいも同時に失う働き方です。20代であれば実家や友人宅という選択肢が残ることもありますが、50代・60代では、その選択肢が残っているとは限りません。ここがこの働き方の固有のリスクです。

住まいが雇用に紐づいている以上、契約が終われば退去することになります。次の住まいを探す時間がどれだけ確保できるかは、契約の定め次第です。募集要項と雇用契約書で、退職した場合にいつまでに退去することになるのかを確認してください。この1点は、給与や寮費と同じ重さで見る項目です。

そのうえで、退職後の住まいには公的な受け皿があります。国土交通省の住宅セーフティネット制度は、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」に基づく仕組みです。住宅確保要配慮者には、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯が定められており、高齢者はその一角にあたります。

制度の柱は3つあります。

  • 入居を拒まない賃貸住宅の登録制度
    • 賃貸人が都道府県・政令市・中核市に登録し、その情報が住宅確保要配慮者に提供されます。
  • 居住支援法人
    • 情報提供・相談、見守りなどの生活支援、登録住宅の入居者への家賃債務保証等の業務を行います。令和7年からは、入居者からの委託に基づく残置物処理も業務に加わりました。
  • 居住サポート住宅の認定制度
    • 令和7年から始まった制度で、日常の安否確認、訪問等による見守り、生活・心身の状況が不安定化したときの福祉サービスへのつなぎを行う住宅が認定されます。

住み込みで働くと決める前に、辞めた後に戻れる住まいの当てがあるかを一度考えてみてください。当てが無い場合でも、居住支援法人という相談先があります。指定するのは都道府県なので、住む予定の地域の窓口で確認できます。

この制度が支えるのは住まいの確保であって、収入の確保ではありません。登録された住宅に必ず入居できるわけでも、家賃が下がるわけでもありません。それでも、辞めた瞬間に行き先がゼロになるわけではないと知っておくことは、住み込みを選ぶかどうかの判断を落ち着いたものにします。

求人票で確かめる4項目

見る順序は、年齢の記載、契約の期間、退去の条件、寮費の扱いの4つです。上から順に見ると、応募できるかどうかと、辞めた後がどうなるかが同時に分かります。

  • 年齢の記載
    • 有期契約なのに年齢の上限が付いていないか。60歳以上の募集に上限が付いていないか。どちらも例外事由に当たらない書き方です。
  • 契約の期間
    • 期間の定めがあるか、更新の条件はどうか。建物に常駐する型では契約期間1年以下の契約社員・アルバイト・パートが中心になります。
  • 退去の条件
    • 退職した場合に、いつまでに退去することになるか。募集要項に書かれていなければ、面接で確認する項目になります。
  • 寮費の扱い
    • 寮費・食費・光熱費が給与から引かれるのか、引かれるならその同意がどう取られているのか。募集要項に金額しか書かれていない場合は、控除の有無を面接で聞きます。

探し方は2つの入口があります。条件から絞る型と、担当者が付く型です。

マイナビミドルシニアは、株式会社マイナビが運営する中高年向けの求人サイトです。40代・50代・60代を対象とし、転職だけでなくアルバイト・パート・派遣の募集も扱います。このサイトには「寮・社宅ありの求人」という条件別の検索ページがあり、勤務地や職種、給与といった他の条件と組み合わせて絞り込めます。住まいが付くことを前提に候補を並べたい場合、条件から入れるのは手間が少なくなります。

シニアジョブエージェントは、株式会社シニアジョブが運営する人材紹介のサービスです。50代・60代・70代以上を対象としており、サイトには登録者の平均年齢が62歳と記載され、70歳以上の転職支援の実績もあるとしています。シニア専門のキャリアアドバイザーが応募書類の提出や面接日程の調整を担当します。求職者の利用は無料で、求人企業から受け取る採用代行費用によって運営していると明記されています。住み込みという条件に加えて、退去の条件や契約期間まで踏み込んで聞いてもらいたい場合の入口になります。

よくある質問

Q. 50代・60代でも応募できる寮付きの求人はありますか?

年齢の記載がない募集にも応募できます。労働者の募集・採用に当たって年齢制限を設けることは原則としてできず、年齢を理由に応募を断ることも、選考で年齢を理由に採否を決めることも法違反にあたるためです。「60歳以上の人を募集」という書き方は例外事由により認められている正当な記載なので、条件を下げた特別枠という意味ではありません。ただし、応募の機会が守られることと採用されることは別です。

Q. 単身でないと住み込みでは働けませんか?

一律には決まっていません。用意される住居が単身用なのか世帯で入れるのかは募集ごとに違うため、募集要項の住居に関する欄で確認することになります。書かれていない場合は、面接で間取りと入居できる人数を聞いてください。

Q. 住み込みの仕事を辞めたら、すぐ出ていくことになりますか?

退去までの期間は契約の定めによります。募集要項と雇用契約書で、退職した場合にいつまでに退去するのかを確認してください。行き先が無い場合の受け皿としては、住宅セーフティネット制度に基づく居住支援法人が、相談や家賃債務保証、入居後の見守りといった支援を行っています。

Q. 60代でも正社員の寮付き求人はありますか?

雇用形態は募集ごとに違うので、求人票の雇用形態の欄で絞り込むことになります。ただし、建物に常駐する型については、職業情報提供サイト(job tag)が「正社員雇用はほとんどなく、大半が契約期間が1年以下の契約社員、アルバイト、パートとしての雇用になる」と記しています。正社員を条件にすると、この型は候補から外れやすくなります。

まとめ

50代・60代で寮付き・住み込みの求人を見るときは、次の4点の順に確かめると迷いにくくなります。

  • 年齢で線は引けないと知っておく
    • 募集・採用に年齢制限を設けることは原則できません。「60歳以上の人を募集」は例外事由による正当な記載です。
  • 住み込みが成り立つ型から選ぶ
    • 生活圏から遠い型、建物に常駐する型、繁忙が季節に偏る型の3つがあり、体力の使われ方が違います。
  • 辞めた後の住まいを先に考える
    • 退去までの期間を契約で確かめ、当てが無ければ居住支援法人という相談先があります。
  • 求人票の4項目を上から見る
    • 年齢の記載、契約の期間、退去の条件、寮費の扱いの順です。

まずは気になっている寮付きの求人を1件開いて、契約期間の欄と年齢の記載を並べて見てください。有期の契約なのに年齢の上限が付いていたら、その募集の書き方は例外事由に当たっていません。そこが、求人票を法の枠組みで読み始める入口になります。

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