夜間配送ドライバーの求人|深夜手当の計算と夜勤専属・交替制の違い
この記事の要約
夜間配送ドライバーの求人が日中より高い月給を提示できるのは、労働基準法が定める深夜割増賃金が乗るためです。この記事では、割増の対象になる時間帯と割増率、上乗せ額を自分で計算する方法、その額が求人票の提示額に含まれているかを確かめる観点を整理します。あわせて、厚生労働省の睡眠ガイドが示す交替制勤務の健康リスクと、勤務時間帯が夜に固定されている働き方との違いを扱います。
高く見える月給の中身
夜間配送ドライバーの求人を日中の便と並べて見ていくと、月給の提示額が高く出ていることがあります。その差額が何によって生まれているのか、そして毎月同じように出るのかは、給与欄を読んだだけでは判断がつきません。
「深夜手当あり」と書かれていても、それだけでは足りない情報があります。その手当が基本給と別に支給されるのか、それとも提示された月給にすでに織り込まれているのか。織り込まれているなら、月に何時間の深夜勤務を前提にした額なのか。この2つがわからないまま入社すると、深夜の便が少なかった月に手取りが想定より下がることになります。
もうひとつ引っかかるのが、体がもつのかという点です。夜勤はきついという話は耳に入ってきますが、何がどうきついのかは人によって言うことが違います。生活リズムの話なのか、運転そのものの話なのか、家族との時間の話なのか。
稼ぎの仕組みと体への負担、この2つを分けて見ていきます。なお、以下で扱う深夜手当は労働基準法にもとづく割増賃金なので、会社に雇用されて働く場合の話です。軽貨物などで業務委託契約を結んで案件を請ける形は労働基準法の労働者に当たらず、深夜の割増が法律上支払われる仕組みにはなっていません。報酬の決まり方が別の話になるため、本記事では雇用されて働く場合に絞ります。
深夜手当はいくら上乗せか
深夜手当の正体は、労働基準法が定める深夜割増賃金です。午後10時から午前5時までに働いた時間について、基礎となる賃金に25%以上が上乗せされます。会社が独自に設けている手当ではなく、法律が下限を決めている割増だという点がまず押さえどころになります。
厚生労働省の「確かめよう労働条件」によると、割増率は次のように定められています。
| 労働の種類 | 割増率 |
|---|---|
| 時間外労働 | 1時間当たりの賃金の25%以上増し |
| 法定休日労働 | 1時間当たりの賃金の35%以上増し |
| 深夜労働(午後10時〜午前5時) | 基礎となる賃金の25%以上増し |
| 時間外労働と深夜労働が重なった場合 | 1.50(1.25+0.25) |
| 1か月に60時間を超える時間外労働 | 50%以上増し |
月60時間を超える時間外労働の50%以上という割増率は、中小企業への適用猶予が2023年4月1日に廃止され、企業規模を問わず適用されています。
上乗せ額の計算はそれほど複雑ではありません。深夜帯に入った時間数に基礎となる時給を掛け、そこに0.25を掛けた額が、深夜分の上乗せになります。たとえば基礎となる時給を1,600円と仮定して、22時から翌5時までの7時間すべてが深夜帯に入る勤務を月20日こなした場合、上乗せ分は1,600円×0.25×7時間×20日で56,000円という計算になります。ここで置いた1,600円と月20日はあくまで計算の手順を示すために仮定した数値で、実際の賃金水準を表すものではありません。自分の場合の額を知りたいときは、応募先の基礎時給と深夜帯に入る時間数を当てはめてください。
もしあなたが同じ会社で日勤から夜勤に移るかを考えているなら、比べるべきは提示額どうしではなく、深夜帯に入る時間数と基礎時給の積です。深夜手当は時間に比例して積み上がるものなので、勤務時間帯が22時から24時までしか深夜にかからない便と、22時から5時まで丸ごとかかる便では、同じ「夜勤」でも上乗せ額が3倍以上変わります。
深夜手当が基本給と別に支給されるのか、提示された月給に含まれているのか。含まれている場合は、月に何時間分を前提にした額なのか。この2点は求人票に書かれていないことがあり、その場合は面接で確認することになります。
ここに注意すべき構造があります。職業情報提供サイト(job tag)の「トラックドライバー」のページは、給料についてほとんどの会社が月給制であるとしたうえで、基本給以外の運行手当等の歩合給、時間外手当などの変動給の占める割合が比較的大きいと記述しています。つまり提示されている月給は、一定量の深夜勤務や時間外を織り込んだ想定額であることがあります。その前提が崩れた月、たとえば荷物が少なくて深夜の便が減った月には、額面も一緒に下がります。基本給がいくらで、変動する部分がいくらなのかを分けて確認しておかないと、手取りの見通しが立ちません。
夜勤専属と交替制は別物

夜間の仕事には、勤務時間帯が夜に固定されている形と、日勤と夜勤が入れ替わる形があります。この2つは体への負担の構造が違うので、求人を選ぶときに区別する意味があります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、交替制勤務(シフトワーク)を「始業時刻と終業時刻の組み合わせ(勤務時間帯)が固定されず、日ごとあるいは一定の期間ごとに勤務時間帯が変化する勤務形態」と定義しています。そのうえで、勤務時間帯が夜から朝までの1パターンのみの場合は交替制勤務には含まれない、としています。夜勤専属は、公的なガイドラインの区分では交替制勤務ではないということです。
この区別が効いてくる理由は、負担の出どころにあります。同ガイドは、交替制勤務に伴うさまざまな心身の不調には、体内時計が司る睡眠・覚醒リズムと実際の睡眠時間帯のずれ、睡眠不足、徹夜ストレス、その他の心理社会的要因が関与していると考えられている、と説明しています。負担の中心にあるのは、夜に働くこと自体というより、眠る時刻帯が日によってずれることのほうです。勤務時間帯が固定されていれば、生活のリズム自体は昼夜が逆転した形で一定に保てます。
もしあなたが夜勤専属の求人を選べる立場なら、日勤と夜勤が入れ替わる勤務よりも体内時計への負担は小さくなります。ただし、夜勤専属なら負担が無いという意味ではありません。次の「体への負担と法令上の扱い」で見るとおり、深夜業を含む業務は勤務時間帯が固定されていても健康診断の対象になりますし、日中に社会生活を送る周囲との時間のずれは残ります。求人票の勤務時間帯の欄が単一の時間帯なのか、複数のシフトが並んでいるのか。ここを最初に確かめてください。
体への負担と法令上の扱い
夜間の勤務は、法令の上でも健康管理を要する業務として位置づけられています。会社に何が義務づけられているかを知っておくと、応募先の労務管理の状態を測る目安になります。
健康診断が年2回になる
労働安全衛生規則第13条第1項第2号は、健康管理上とくに配慮を要する特定業務を列挙しており、そのひとつに「深夜業を含む業務」が挙げられています。同じ規則の第45条により、これらの業務に常時従事する労働者は、当該業務への配置替えの際および6月以内ごとに1回、医師による健康診断を受けることになります。通常の定期健康診断が1年以内ごとに1回であるのに対し、年2回になるということです。
健診の項目も定められています。既往歴および業務歴の調査、自覚症状および他覚症状の有無の検査、身長・体重・腹囲・視力・聴力の検査、胸部エックス線検査、血圧の測定、貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、尿検査、心電図検査が並びます。血圧や血中脂質、心電図が含まれているのは、次に見る循環器系のリスクと無関係ではありません。
これが実用的なのは、あなたが面接で確認できる質問が1つ増えるからです。面接で「深夜業の健康診断は年2回実施していますか」と聞けば、その会社が深夜業を含む業務としての管理をきちんと行っているかどうかが見えます。
報告されている健康リスク
睡眠ガイド2023は、交替制勤務について具体的な数値を挙げています。交替制勤務に従事していない人と比較して、従事者ではメタボリックシンドロームの発症リスクが1.06倍、心血管系疾患の発症リスクが1.15倍増加することが報告されています。また、交替制勤務は不眠や眠気、睡眠休養感の低下などの睡眠に関連する症状の発症とともに、仕事効率の低下や勤務中・通勤中の事故や怪我などとの関連が報告されている、とも記されています。
この数値は交替制勤務についての報告であり、勤務時間帯が夜に固定されている働き方だけを対象にしたものではありません。夜勤専属と交替制の区別で見たとおり、同ガイドの定義では夜勤専属は交替制勤務に含まれないためです。ただし、事故や怪我との関連については、運転を仕事にする以上、収入の話より先に見ておく項目だと考えたほうがよいでしょう。
勤務と勤務の間隔も見る価値があります。同ガイドによると、日本の労働者を対象とした調査では、勤務間インターバルの時間が12時間未満の者は、睡眠休養感の欠如、疲労感の増加、ストレスをより感じていることが報告されています。退勤から次の出勤までの間隔は、勤務時間帯と始業時刻が求人票に書かれていれば計算できることがあります。
夜勤中の仮眠と光の扱い
夜勤中の眠気と疲労を抑える方法については、睡眠ガイド2023が効果を確かめた研究をもとにいくつか具体的な指針を示しています。求人を選ぶ段階でこれを知っておく意味は2つあります。夜勤という働き方を自分が続けられそうかを判断する材料になることと、その方法が取れる職場かどうかが応募先を絞る基準になることです。とくに仮眠は本人の心がけだけで取れるものではなく、運行計画に組み込まれていなければ実行できません。何が有効とされているかを知っていれば、面接で聞くべきことが決まります。
以下は同ガイドの記述の紹介であり、体調そのものの相談は医療機関で行ってください。
仮眠については、時間の設計がはっきり示されています。夜勤中の仮眠は仕事の効率を改善させることがわかっており、0時から4時に開始する20分から50分間の仮眠は、眠気や仕事効率、疲労を改善させることが報告されています。一方で、仮眠時間を60分と長めに設定した研究では、仮眠をとるとかえって仕事の効率が低下したと報告されています。これは仮眠が長すぎると眠りが深まり、覚醒後の強いぼんやり感(睡眠慣性)が生じやすいためと考えられています。長く眠れば楽になるとは限らない、というところが直感と食い違う部分です。
カフェインの使い方にも工夫があります。コーヒーなどでカフェインを摂取してから仮眠を開始すると、カフェインの覚醒効果により仮眠後の覚醒が容易になるとともに、睡眠慣性も生じにくくなるとの報告があります。仮眠の前に飲むという順序が要点です。なお、夜勤中の仮眠が夜勤後の睡眠に及ぼす影響については、多くの研究において影響はほとんどないとされています。
光の扱いには注意が要ります。光には体内時計を調整する作用があり、一般的には朝に光を浴びると体内時計が前進し、夕方以降に光を浴びると体内時計が後退します。ただし同ガイドは、実生活で1日当たりに修正できる体内時計の時間は数分から数時間程度であるため、サングラス等で遮光して交替制勤務に体内時計を適応させるのは困難であり、時に翌日以降の生活に悪い影響を及ぼす可能性があるため注意が必要である、としています。
夜勤が週に1回から2回程度入る勤務であれば、別の方針も示されています。夜勤明けも日勤日と同じように朝から午前中に日光を浴び、体内時計を日勤日に合わせて生活する方法です。この場合、夜勤明けでもすぐに睡眠をとらず、夕方以降から普段よりやや長めの睡眠時間を確保し、翌朝の日勤日と同等の時刻に起床するとよいとされています。可能であれば夜勤中に職場で強い照明を避けることも挙げられています。ただし、より頻回に夜勤シフトが入る勤務体系では、この方法だと睡眠不足がより深刻な問題になる可能性があるため注意が必要です。
同ガイドは、これらを実践しても不眠や睡眠休養感の低下、業務中の眠気が続き日常生活に支障を来している場合は、速やかに医療機関を受診するよう促しています。
ここまでを求人選びに戻すと、確認したい点が1つ増えます。運行の合間に仮眠をとれる時間と場所が確保されているかどうかです。0時から4時という時間帯は、まさに夜間配送の走行中に当たります。休憩をどこで取る前提の運行計画になっているのかは求人票からは読み取れないので、面接で聞く項目に入れておいてください。
夜間配送の求人の見方
ここまでの内容から逆算すると、求人票で確かめる項目は5つに整理できます。
| 確認する項目 | 求人票のどこを見るか | 読み取れないときに面接で聞くこと |
|---|---|---|
| 勤務時間帯が固定か変動か | 勤務時間の欄が単一か複数シフトか | 日勤に入ることはあるか、その頻度は |
| 深夜帯に入る時間数 | 始業・終業時刻と22時〜5時の重なり | 実際の運行が時刻どおりに終わるか |
| 深夜手当の支給の形 | 給与欄の内訳、手当の記載 | 基本給と別か、含むなら何時間分か |
| 勤務間の間隔 | 始業時刻と前日の終業時刻の差 | 連続勤務が続く時期はあるか |
| 深夜業の健康診断 | 福利厚生欄 | 年2回実施しているか |
市場の状況も見ておきましょう。job tag のトラックドライバーのページによると、賃金(年収)は全国507.2万円、労働時間は175時間、平均年齢は51.5歳です(いずれも令和7年賃金構造基本統計調査を加工した数値)。これは在職者の平均で、夜間配送に限った数値でも、これから入る人に提示される額でもありません。募集時の水準に近いのはハローワークの求人統計で、job tag 同ページの求人賃金(月額)は令和7年度で全国29.5万円、有効求人倍率は2.94です。求人1件に対して探している側がかなり少ない状態で、応募の間口としては広い職種だといえます。
雇用の形は正社員が中心です。job tag 同ページの就業形態では、正規の職員・従業員が89.6%を占めています。これは job tag が「この職業で働く人が多いと感じる就業形態」を尋ねた結果で、複数回答のため合計は100%を超えます。
働き方については、job tag 同ページが「週休2日制を導入している企業が多いが、輸送の形態によっては深夜運行の場合もある」としています。夜間の便がその会社の業務の一部なのか、それとも自分の担当が丸ごと夜なのかで、生活の組み立て方は変わります。
向いていない場合もはっきりしています。家族と生活時間を揃えたい人、日中に予定を入れることが多い人には、夜の勤務時間帯は合いにくくなります。収入の上乗せと引き換えに差し出すのは、日中に人と会える時間だと考えておくと判断しやすいでしょう。
配送の仕事全体を見渡して、車両区分や雇用形態から絞り込みたい場合は、以下の記事で整理しています。
求人の探し方と相談先

ドライバー特化の求人サービスは、職種や車両タイプに加えて勤務時間帯でも絞り込めるため、夜間の便を探すときに使いやすくなっています。
ドラEVERは、DORAEVER Co. ltd が運営する運送・物流業界に特化した求人サイトです。軽貨物から小型・大型トラック、トレーラー、ダンプ、引越しまで幅広く扱い、倉庫作業や運行管理、整備士といったドライバー以外の職種も掲載しています。免許取得支援制度のある企業の紹介があるほか、適職診断や履歴書作成支援、スカウト機能を無料で利用できます。免許の区分を上げてから夜間の便を狙いたい場合に、支援制度のある会社から探せる点が役に立ちます。
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よくある質問
Q. トラックドライバーの夜勤手当はいくらですか?
金額は会社ごとに異なりますが、法律上の下限は決まっています。午後10時から午前5時までに働いた時間について、基礎となる賃金の25%以上が深夜割増賃金として支払われます。時間外労働と重なる場合は1.50(1.25+0.25)になります。実際の上乗せ額は基礎時給と深夜帯に入る時間数の掛け算で決まるため、求人票の月給の額面だけでは判断できません。
Q. 夜間配送はきついですか?
「きつい」が指す中身を3つに分けると答えやすくなります。体への負担については、睡眠ガイド2023が、交替制勤務の従事者ではメタボリックシンドロームの発症リスクが1.06倍、心血管系疾患の発症リスクが1.15倍増加すると報告されていること、勤務中・通勤中の事故や怪我との関連が報告されていることを挙げています。生活面では、日中に活動する家族や友人と時間がずれます。業務面での違いは会社や荷主によって変わるため、応募先ごとに1日の運行の流れを確認してください。この3つのうちどれが自分にとって重いかで、向き不向きが分かれます。
Q. 未経験でも夜間配送はできますか?
運ぶ車両の区分によります。必要な免許は車両で決まるため、まず自分が持っている免許で乗れる範囲を確認してください。免許区分と未経験からの入り方の詳細は、配送の仕事全体を扱った記事の範囲になります。ドラEVERでは免許取得支援制度のある企業を紹介しているので、区分を上げることを前提に探す方法もあります。
Q. 夜勤専属と交替制のどちらがよいですか?
体への負担で選ぶなら、勤務時間帯が固定されているほうが体内時計のずれは小さくなります。睡眠ガイド2023は交替制勤務を「勤務時間帯が変化する勤務形態」と定義し、夜から朝までの1パターンのみの場合は交替制勤務に含まれないとしています。ただし収入や休日の取り方は会社ごとに違うので、勤務形態だけで決めず、給与の内訳と休日数を合わせて比べてください。
Q. 夜勤中に仮眠はとれますか?
会社の運行計画によります。睡眠ガイド2023は、0時から4時に開始する20分から50分間の仮眠が眠気や仕事効率、疲労を改善させると報告されていることを示しています。仮眠がとれる体制かどうかは求人票からは読み取りにくいため、面接で運行の合間に休憩をとる場所と時間が確保されているかを確認してください。
まとめ
夜間配送の月給が日中より高く出るのは、午後10時から午前5時に対する25%以上の深夜割増賃金が乗るためです。上乗せ額は基礎時給と深夜帯に入る時間数の掛け算で決まるので、提示額どうしを比べるより、この2つを確かめるほうが確実に見通せます。
同時に、その提示額が変動給を織り込んだ想定額である可能性にも注意が要ります。job tag はトラックドライバーについて変動給の占める割合が比較的大きいと記述しており、深夜の便が減った月には額面も下がります。
体への負担については、勤務時間帯が夜に固定されている働き方と、日勤と夜勤が入れ替わる働き方を分けて考えてください。睡眠ガイド2023の定義では前者は交替制勤務に含まれず、体内時計のずれという点での負担は小さくなります。そして深夜業を含む業務は、勤務形態にかかわらず6月以内ごとに1回の健康診断の対象です。
次の一歩として、気になっている求人票の勤務時間帯の欄を開いてください。単一の時間帯が書かれているのか、複数のシフトが並んでいるのか。そこが夜勤専属か交替制かを分ける最初の手がかりになります。