訪問介護の時給と月の収入|移動時間の扱い・重度訪問介護と夜間の働き方
この記事の要約
訪問介護の時給は、施設で働く場合より高く設定されている募集があります。厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとにした職業情報では、短時間労働者の1時間あたりの賃金が訪問介護員1,787円、施設介護員1,361円です。一方で同じ厚生労働省の別の調査では、訪問介護事業所で時給制・非常勤として働く人の月の実労働時間は65.1時間で、9つのサービス種類を比べると最短でした。ここでは、その時給が何時間に対して払われているのか、移動時間や待機時間はどう扱われるのか、月にいくらになるのか、そして重度訪問介護や夜間帯のサービスは何が違うのかを、公的な資料をもとに整理します。
求人の時給と平均が違う
介護職員初任者研修を修了した、あるいは修了の見込みが立った段階で訪問介護の求人を見比べていると、条件の欄でまず目に入るのが時給です。常勤で月給の募集もありますが、厚生労働省の職業情報提供サイトは訪問介護員について「多くはパートタイムの非常勤職員である」と記しており、パートで働く場合の条件は時給で示されます。そして、その時給について分からないことが2つ残ります。
ひとつは、時給が分かっても月にいくらになるかが決まらないことです。訪問介護は訪問1件ごとに働く形なので、月に何件の訪問が入るかで受け取る額が変わります。求人票の時給に何を掛ければよいのかが分からないままでは、生活が成り立つ水準なのかを判断できません。
もうひとつは、「訪問介護は施設より時給が高い」という説明の受け取り方です。高いこと自体は公的な統計でも確かめられますが、高い理由が分からないままでは、条件のよい仕事なのか、それとも高く設定せざるを得ない事情があるのかを判断できません。時給の額面だけを見て応募先を決めてよいのかが決まらない状態です。
この2つは同じところにつながっています。訪問介護の時給は、施設の勤務と違って「拘束されている時間」ではなく「利用者宅でサービスを提供している時間」に対して決まっているためです。その仕組みを分解すると、額面が高いことと月の収入が伸びにくいことが同時に起きる理由が見えてきます。
ただし、訪問介護以外も含めて応募先を広げるなら、先に施設形態ごとの仕事内容の違いと、求人票のどこを見て優良な募集を判別するかを押さえておくほうが比べやすくなります。介護職の求人の探し方は、未経験から正社員を目指す場合の順序も含めて次の記事にまとめています。
時給の対象は何時間か
訪問介護の時給は、利用者宅でサービスを提供している時間に対して決まっています。移動している時間や、次の訪問まで待っている時間が自動的に同じ時給の対象になるわけではありません。
この形は、事業所が受け取る介護報酬の仕組みと対応しています。厚生労働省の介護報酬の算定構造によると、訪問介護費は訪問1回ごとに時間区分で決まります。身体介護は20分未満、20分以上30分未満、30分以上1時間未満、1時間以上の4区分、生活援助は20分以上45分未満と45分以上の2区分です。事業所の側の収入が訪問1件ごとに積み上がる形なので、働く側の賃金も訪問1件ごとに積み上がる形になりやすいわけです。
雇用形態は大きく3つに分かれます。1つめは常勤で、月の所定労働時間が決まっている働き方です。2つめは非常勤(パート)で、あらかじめ決めた曜日と時間帯に入ります。3つめが登録型で、担当する訪問が入ったときに働く形です。登録型は求人票では「登録ヘルパー」「登録スタッフ」と書かれることが多く、訪問が入らなければその分の賃金は発生しません。
厚生労働省の職業情報提供サイトは、訪問介護員の労働条件の特徴について「非常勤職員の場合、勤務時間が連続するとは限らず、午前2時間、午後1時間というような変則的なケースもある」と記しています。1日のうち3時間ぶんの賃金が発生する一方で、家を出てから戻るまでの拘束は朝から夕方までに及ぶ、という形が起こりうるということです。
もし週に何日、何時から何時までという固定の枠で働きたいなら、求人票の雇用形態欄が常勤か非常勤かを先に見てください。もし子どもの予定などに合わせて訪問の本数を調整したいなら、登録型の募集が候補になりますが、その場合は月ごとに収入が変わる前提で家計を組む必要があります。
サービスの区分によって時給の設定が違う募集もあります。訪問介護は行為の内容に応じて身体介護、生活援助、通院等乗降介助の3類型に分かれており、身体介護は利用者の身体に直接接触して行われる入浴介助や排せつ介助、生活援助は身体介護以外の調理や洗濯や掃除を指します。身体介護のほうが高い時給を提示する募集もあります。なお、生活援助従事者研修の修了者は生活援助中心型のみを提供できると定められているため、保有している資格によって入れる訪問の種類が変わります。
移動時間と待機時間の扱い

移動時間や待機時間に賃金が出るかどうかは、その時間が使用者の指揮監督下にあると認められるかどうかで決まります。訪問介護に特化した行政の解釈として、厚生労働省の「訪問介護労働者の法定労働条件の確保について」(平成16年8月27日 基発第0827001号)が、労働時間に当たるかどうかの考え方を3つの時間について示し、あわせて訪問がキャンセルになった場合の扱いにも触れています。
移動時間については、「使用者が業務に従事するために必要な移動を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていない場合には、労働時間に該当するものであること」とされています。そのうえで具体例として、「事業場から利用者宅への移動に要した時間や一の利用者宅から次の利用者宅への移動時間であって、その時間が通常の移動に要する時間程度である場合には、労働時間に該当するものと考えられること」と書かれています。
待機時間については、「使用者が急な需要等に対応するため事業場等において待機を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていないと認められる場合には、労働時間に該当するものであること」とされています。
業務報告書などの作成時間については、「その作成が介護保険制度や業務規定等により業務上義務付けられているものであって、使用者の指揮監督に基づき、事業場や利用者宅等において作成している場合には、労働時間に該当するものであること」と示されています。
訪問がキャンセルになった場合の扱いも示されています。勤務表などによって訪問の業務が特定されたあとで、使用者の責に帰すべき事由によりキャンセルとなり、別の業務にも従事させないときには、休業手当を支払わなければならないとされています。
移動時間・待機時間・業務報告書等の作成時間のいずれについても、「〜場合には、労働時間に該当するものであること」という条件つきの表現です。個別の事業所の運用がこの条件に当てはまるかどうかは、勤務の実態と契約の内容によって変わります。また、ある時間が労働時間に当たるとしても、その時間の賃金単価が訪問時の時給と同じとは限りません。移動時間に別の単価を定めている事業所もあります。
そこで、応募の段階で確かめておく事項が出てきます。求人票や労働条件通知書に書かれていない場合は、事業所へ次の言い方で質問できます。「利用者宅から次の利用者宅への移動時間は、労働時間として賃金の対象になりますか。対象になる場合、単価は訪問時の時給と同じですか」「事業所で次の訪問を待つ時間の扱いはどうなりますか」「訪問がキャンセルになった場合、その日の賃金はどうなりますか」。面接や問い合わせの場でここまで確認しておくと、入職後の食い違いを防ぎやすくなります。
月にいくらになるか

公的な調査で確かめられるのは、実際に支払われた給与の平均です。厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」は、介護職員等処遇改善加算を取得している事業所の介護職員について、令和6年9月分の平均給与額を勤務形態別・給与形態別に集計しています。
同調査の第75表(時給の者、サービス種類別、勤務形態別)によると、訪問介護事業所で時給制として働く人のうち、常勤の者は月の実労働時間が162.5時間で平均給与額が275,100円、非常勤の者は月の実労働時間が65.1時間で平均給与額が117,560円です。ここでいう平均給与額は、同表の注記のとおり「基本給(時給)×実労働時間+手当+一時金」の合計なので、金額を実労働時間で割って時給を出すことはできません。
注目したいのは実労働時間のほうです。時給制・非常勤の月の実労働時間を同じ表のなかで比べると、次のようになります。
| サービス種類 | 時給制・非常勤の月の実労働時間 |
|---|---|
| 訪問介護事業所 | 65.1時間 |
| 通所介護事業所 | 91.7時間 |
| 介護医療院 | 94.8時間 |
| 小規模多機能型居宅介護事業所 | 97.1時間 |
| 通所リハビリテーション事業所 | 97.6時間 |
| 特定施設入居者生活介護事業所 | 102.7時間 |
| 認知症対応型共同生活介護事業所 | 102.7時間 |
| 介護老人福祉施設 | 106.0時間 |
| 介護老人保健施設 | 107.0時間 |
訪問介護事業所の65.1時間は、9つのサービス種類のなかで最短の数字です。次に短い通所介護事業所より26.6時間少なく、最長の介護老人保健施設とは41.9時間の差があります。時給の額面が高くても月の収入が伸びにくいのは、この実労働時間の短さによるところが大きいわけです。
一方で、常勤で働く場合の水準は別です。同調査の第73表(月給・常勤の者)では、訪問介護の平均給与額は令和6年9月時点で349,740円と集計されており、これは介護老人福祉施設の361,860円、特定施設入居者生活介護の361,000円に次ぐ水準です。訪問介護そのものの給与が低いわけではなく、時給制・非常勤という働き方の形が月の収入を左右しているという構図になります。
時給の水準そのものも公的な統計で確かめられます。厚生労働省の職業情報提供サイトが令和7年賃金構造基本統計調査をもとに示している1時間あたりの賃金は、訪問介護員が一般労働者1,883円・短時間労働者1,787円、施設介護員が一般労働者1,948円・短時間労働者1,361円です。短時間労働者どうしで比べると訪問介護員のほうが426円高く、「訪問は時給が高い」という説明はここに裏づけがあります。
求人サイトに出ている時給がこれらより高く見えるのは、集計している母集団が違うためです。求人サイトの数字は募集条件として掲載された金額を集めたものであり、実際に支払われた額の集計ではありません。掲載の時点で高い条件の案件が目に入りやすいことも重なります。公的調査の平均と求人票の金額は、どちらが正しいという関係ではなく、そもそも数えているものが別だということです。
ここまでの数字は、いずれも全国を集計した平均です。自分の場合にいくらになるかは、月に何件の訪問が入るか、1件あたり何分か、身体介護と生活援助のどちらが中心か、移動時間に賃金が出るかで変わります。どれも求人票の時給の欄には書かれていないので、応募の前に事業所へ確かめることになります。相場という1つの数字で置き換えられるものではありません。
なお、求人の数そのものは多く出ています。同じ職業情報提供サイトが示す令和7年度のハローワーク求人統計では、訪問介護員の有効求人倍率は全国28.37で、施設介護員の2.96と大きく開いています。応募先の候補が限られている状況ではないため、条件を確かめたうえで選ぶ余地があります。
重度訪問介護は別の制度
重度訪問介護は、障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスです。介護保険法にもとづく訪問介護とは根拠となる法律が別で、対象になる利用者も、従事に必要な研修も、1回の支援の長さも違います。名前が似ているので同じ仕事の延長に見えますが、中身は別の仕事だと考えたほうが正確です。
厚生労働省の障害福祉サービスの説明によると、重度訪問介護の内容は「居宅において入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助並びに外出時における移動中の介護を総合的に行うとともに、病院等に入院又は入所している障害者に対して意思疎通の支援その他の支援を行う」ものです。外出時の移動中の介護と、入院・入所している人への意思疎通の支援が含まれている点が、介護保険の訪問介護と違います。
対象になるのは、障害支援区分が区分4以上で、二肢以上に麻痺等があるなどの要件に該当する人です。同じ訪問系でも、障害支援区分1以上が対象で外出時の移動介護を含まない居宅介護とは、対象の範囲が分かれています。
従事するための研修も系統が別です。重度訪問介護従業者養成研修には基礎課程と追加課程があり、基礎課程は「重度の肢体不自由者であって常時介護を要する障害者等に対する入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに外出時における移動中の介護に関する基礎的な知識及び技術を習得することを目的」とすると定められています。追加課程は基礎課程の修了者を対象に、「特に重度の障害者に対する緊急時の対応等に関する知識及び技術を習得することを目的」とするものです。介護職員初任者研修とは別の課程なので、初任者研修を修了していても重度訪問介護の募集では追加の研修が求められる場合があります。
そして勤務時間の形が変わります。厚生労働省が示している障害福祉サービス費等の報酬算定構造では、重度訪問介護サービス費の時間区分が1時間未満から始まり、4時間以上8時間未満、8時間以上12時間未満と続いて、20時間以上24時間未満まで用意されています。介護保険の訪問介護が20分や30分の刻みで区切られているのに対して、重度訪問介護は1件の支援が20時間を超える場合まで制度の側で想定されているということです。常時介護を必要とする人のそばで、長い時間にわたって支援と見守りを続ける形が前提になっています。
なお、ここでいう研修の違いは障害福祉サービスの側の話です。介護保険の訪問介護と施設で資格の要件がどう違うかは、次の記事で整理しています。
夜間に働く形
通常の訪問介護は、前に見たとおり訪問1回ごとの時間区分で組み立てられています。入所施設のように夕方から翌朝まで施設に留まる夜勤シフトとは、勤務の形そのものが違います。夜勤を避けたい人にとって訪問という選択が成立するのは、この違いがあるためです。
そのうえで、訪問系のなかにも夜間帯に動くサービス類型があります。介護保険の側に2つ、障害福祉の側に1つです。夜勤を探している場合も、逆に夜間の勤務を避けたい場合も、募集がどの類型なのかを見分けられると判断しやすくなります。
1つめが夜間対応型訪問介護です。厚生労働省の介護サービス情報公表システムは、このサービスについて「夜間帯に訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪問します」と説明しており、内容は定期巡回と随時対応の2種類に分かれます。定期巡回は「夜間帯(18〜8時)に定期的な訪問を受け、排泄の介助や安否確認などのサービス」を提供するものです。随時対応は「ベッドから転落して自力で起き上がれない時や夜間に急に体調が悪くなった時など」に、利用者からの通報を受けて訪問したり救急車を手配したりするものです。
2つめが定期巡回・随時対応型訪問介護看護です。厚生労働省の社会保障審議会の資料によると、このサービスは在宅の要介護高齢者を24時間支える仕組みが不足していることを背景に、日中・夜間を通じて訪問介護と訪問看護の両方を提供し、定期巡回と随時の対応を行うものとして平成24年4月に創設されました。同じ資料には「利用者からの通報により、電話やICT機器等による応対・訪問などの随時対応を行う」オペレーターが位置づけられています。夜間帯の募集で「オペレーター」という職種名を見かけるのは、この仕組みによるものです。訪問だけでなく、通報の受け手として働く枠があるということです。
障害福祉の側では、前のセクションで見た重度訪問介護が長時間の支援になります。報酬の時間区分が20時間以上24時間未満まで用意されているとおり、夜をまたいで支援に入る形が制度上想定されています。夜勤という言葉で募集されていても、施設の夜勤とは拘束の中身が異なります。
介護報酬には、夜間または早朝のサービス提供に25パーセント、深夜のサービス提供に50パーセントの割増が設けられています。ただしこれは事業所が受け取る報酬の話であって、働く人の賃金の割増を定めたものではありません。働く人に対する深夜の割増賃金は、労働基準法にもとづいて別に定まっています。夜間帯の募集で時給や手当が高く設定されていることはありますが、介護報酬の割増率がそのまま時給に反映されるという意味ではないので、金額は求人票と労働条件通知書で確かめてください。
応募前に確かめること
確かめる事項は5つです。雇用形態、月に入る訪問の件数、時給がどのサービス区分に対する金額か、移動時間と待機時間の扱い、そして訪問がなくなったときの扱いです。
1つめの雇用形態は、求人票の「雇用形態」欄と「勤務時間」欄を見ます。常勤なのか、曜日と時間が決まっている非常勤なのか、訪問が入ったときに働く登録型なのかで、月の収入の安定度が変わります。「シフト自由」「好きな時間に働けます」という表現だけが書かれていて雇用形態の記載がない場合は、登録型かどうかを直接聞いてください。
2つめは、月に入る訪問の件数です。時給に何を掛けることになるかがここで決まります。「月にいくらになるか」で示した表のとおり、訪問介護事業所と介護老人保健施設では時給制・非常勤の実労働時間が65.1時間と107.0時間に開いており、この差は時給の差より月の金額を大きく動かします。求人票に勤務日数や時間の下限しか書かれていない場合は、実際に担当することになる件数の目安を聞いてください。
3つめは、提示されている時給が身体介護と生活援助のどちらに対する金額なのかです。区分で分かれている場合は、それぞれの金額と、自分がどちらの訪問に主に入ることになるのかを聞いておくと、月の見積もりが立ちます。1つの金額しか書かれていない場合は、それが両方に適用されるのかを確かめます。
4つめが移動時間と待機時間です。「移動時間と待機時間の扱い」で挙げた3つの質問文をそのまま使えます。労働時間として扱われるかどうかと、扱われる場合の単価の2つを分けて聞くのが要点です。
5つめが、訪問がキャンセルになった場合の扱いです。勤務表で訪問が決まったあとにキャンセルが出たとき、別の業務に振り替えられるのか、賃金がどうなるのかを確認します。
確かめる事項とは別に、募集の言葉の読み方にも注意が要ります。訪問介護員として働くには介護職員初任者研修の修了が必要とされているため、「未経験歓迎」と書かれていても無資格で応募できるという意味にはなりません。実務の経験を問わないという意味であることが多いので、資格の要件は別に確かめてください。
ここまでの5つは、求人票だけで判断がつかないことが多い事項です。掲載されていない条件を応募前に確かめたい場合は、事業所とのやりとりを代行してくれる転職支援サービスを使う方法もあります。
よくある質問
Q. 訪問介護の時給はいくらですか?
厚生労働省の職業情報提供サイトが令和7年賃金構造基本統計調査をもとに示している訪問介護員の1時間あたりの賃金は、一般労働者が1,883円、短時間労働者が1,787円です。ただし一般労働者の金額は残業代と賞与を含み、短時間労働者の金額は含まないという注記があるため、同じ条件で比べた数字ではありません。また求人票に出ている時給は募集条件として掲載された金額であり、実際に支払われた額の集計ではないので、水準が異なります。
Q. 訪問介護の時給が高いのはなぜですか?
時給の対象が、利用者宅でサービスを提供している時間に限られているためです。事業所が受け取る介護報酬も訪問1回ごとに時間区分で決まる仕組みなので、賃金も訪問1件ごとに積み上がる形になります。移動している時間や次の訪問を待つ時間が、同じ時給の対象になるとは限りません。額面の高さは、この時間の区切り方とあわせて見る必要があります。
Q. 移動時間に賃金は出ますか?
厚生労働省の通知は、移動時間について「使用者が業務に従事するために必要な移動を命じ、当該時間の自由利用が労働者に保障されていない場合には、労働時間に該当するものであること」としています。利用者宅から次の利用者宅への移動で、通常の移動に要する時間程度である場合は、労働時間に該当するものと考えられるとも示されています。ただし条件つきの表現であり、労働時間に当たる場合でも単価が訪問時の時給と同じとは限りません。労働条件通知書で扱いと単価の両方を確認してください。
Q. 重度訪問介護と訪問介護は何が違いますか?
根拠となる法律が違います。訪問介護は介護保険法にもとづくサービスで、重度訪問介護は障害者総合支援法にもとづく障害福祉サービスです。重度訪問介護の対象は障害支援区分が区分4以上の人で、内容には外出時における移動中の介護や、入院・入所している人への意思疎通の支援が含まれます。従事するための研修も重度訪問介護従業者養成研修という別の課程です。
Q. 訪問介護は未経験でもできますか?
未経験と無資格は別のことです。訪問介護員として働くには介護職員初任者研修の修了が必要とされているため、実務の経験がなくても研修を修了していれば応募できますが、無資格のままでは訪問介護員として従事できません。「未経験歓迎」と書かれている募集は、介護の実務経験を問わないという意味であることが多く、資格の要件とは別に読む必要があります。
まとめ
訪問介護の時給が施設より高く設定されている募集があるのは事実で、公的統計でも短時間労働者の1時間あたりの賃金は訪問介護員が施設介護員より426円高くなっています。一方で、時給制・非常勤で働く人の月の実労働時間は訪問介護事業所が65.1時間と、9つのサービス種類のなかで最短です。時給の額面と月の収入は、別々に確かめる必要があります。
押さえておきたいのは次の3点です。
- 訪問介護の時給は、利用者宅でサービスを提供している時間に対して決まっている
- 移動時間や待機時間が労働時間に当たるかどうかは条件によって変わり、当たる場合でも単価が同じとは限らない
- 重度訪問介護は障害者総合支援法にもとづく別の制度で、1件の支援が20時間を超える場合まで想定されている
今日できることとして、気になっている求人票を1件開いて、雇用形態の欄と、移動時間についての記載があるかどうかを見てみてください。この2つが分かると、月にいくらになるかを出すために残りは何を聞けばよいかが決まります。