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更新日:2026/08/31

シングルマザーの仕事選び|就労収入の差と児童扶養手当、資格取得の給付金

シングルマザーの仕事選び|就労収入の差と児童扶養手当、資格取得の給付金

この記事の要約

シングルマザーの仕事選びでは、求人票の給与だけを見ても世帯の手取りが決まりません。ひとり親には児童扶養手当があり、この手当は所得に応じて減るためです。母子世帯の母の平均年間就労収入は、正規の職員・従業員で344万円、パート・アルバイト等で150万円と大きく差がつきます。収入の実態、児童扶養手当の月額と所得制限、資格取得の期間の生活費を支える2つの給付金、そして相談できる公的窓口を整理します。

仕事選びで決まらない点

ソファに座って考え事をする女性

シングルマザーを含むひとり親家庭では、世帯の収入は給与だけで決まりません。児童扶養手当が加わり、給与と手当の合計が世帯の収入になります。ところがこの手当は所得に応じて減る仕組みです。給与が上がった分がそのまま世帯の収入増になるとは限らず、その減り方は求人票には書かれていません。求人票に載っているのは給与だけだからです。

収入を上げる側にも、求人票からは読み取れない事情があります。給与を上げるために資格を取ろうとすると、費用と期間の問題が先に立ちます。看護師や保育士のように養成機関へ通う必要のある資格は、通っている期間の生活費をどう賄うかが決まらないと、検討の土俵に乗りません。

この2つは、おすすめ職種の一覧を見ても解けません。一覧が答えるのは「どんな仕事があるか」までで、その仕事に就いたときの世帯の手取りと、資格を取る間の生活費には触れていないからです。

手当が減る仕組みと、資格を取る期間の生活費。どちらにも国の制度が関わっています。こども家庭庁は、ひとり親家庭等への支援を「子育て・生活支援策」「就業支援策」「養育費確保等支援策」「経済的支援策」の4本柱で整理しています。手当は経済的支援、資格取得の給付金と相談窓口は就業支援にあたり、申請先も窓口も別です。

母子世帯の収入の実態

母子世帯の母の平均年間就労収入は、雇用形態によって194万円の差がつきます。令和3年度全国ひとり親世帯等調査によると、正規の職員・従業員が344万円、パート・アルバイト等が150万円です。12で割ると、月あたりおよそ28.6万円と12.5万円になります。

同じ調査の就業状況は次のとおりです。

項目母子世帯の母
就業している割合86.3パーセント
うち正規の職員・従業員48.8パーセント(平均年間就労収入344万円)
うちパート・アルバイト等38.8パーセント(平均年間就労収入150万円)
うち自営業5.0パーセント
うち派遣社員3.6パーセント

こども家庭庁の資料は、パート・アルバイト等に派遣社員を含めると42.4パーセントになり、「一般の女性労働者と同様に非正規の割合が高い」と記しています。そのうえで「より収入の高い就業を可能にするための支援が必要」としています。

この数字が示しているのは、職種を変えることよりも雇用形態を変えることのほうが、就労収入には大きく効くということです。同じ調査では、母自身の平均年間収入が272万円、就労収入だけでは236万円、同居親族を含む世帯の平均年間収入が373万円でした。いずれも令和2年の1年間の収入です。

なお、この調査はおおむね5年ごとの実施で、令和3年度調査の前は平成28年度でした。示されているのは全国の平均で、地域や子どもの人数による違いは含まれていません。

生活費が月にいくら必要かは、世帯の人数・住居費・地域によって大きく変わります。収入の側で確かめられるのは、上に挙げた就労収入の実態と、次に見る手当の月額です。

児童扶養手当の仕組み

児童扶養手当は、ひとり親家庭等の生活の安定と自立の促進のために支給される手当です。母子家庭だけでなく父子家庭も対象で、令和7年3月時点の受給者数は777,962人、内訳は母738,913人、父35,915人、養育者3,134人となっています。

支給の対象は、18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童(障害児の場合は20歳未満)を監護する母等です。父母が婚姻を解消した児童、父または母が死亡した児童などが支給要件に挙げられています。

金額は月額で決まります。こども家庭庁が令和8年4月8日に更新した制度の概要によると、令和8年4月からの手当額は見込額として、全部支給が月額48,050円、一部支給が月額48,040円から11,340円とされています。児童が2人目以降は1人につき、全部支給で11,350円、一部支給で11,340円から5,680円が加算されます。参考までに令和7年度の単価は、全部支給が46,690円、一部支給が46,680円から11,010円でした。支給期月は1月、3月、5月、7月、9月、11月の年6回です。

ここで注目したいのが、一部支給の額が48,040円から11,340円まで幅を持っている点です。所得が増えるほど手当が段階的に減る仕組みになっているため、給与の額面が上がっても、世帯の収入がその分だけ増えるとは限らない所得帯があります。求人票の給与だけで世帯の手取りを判断できないのは、この仕組みがあるからです。

所得制限限度額は、収入ベースで全部支給が190万円、一部支給が385万円とされています。ただしこれは2人世帯の数値で、扶養親族の数によって限度額は変わります。前年の所得に基づいて算定されるため、転職して収入が変わった年と、手当の額に反映される年にはずれがあります。自分の世帯でいくらになるかは、自治体の窓口で確認してください。実施主体は都道府県、市、福祉事務所設置町村と定められています。

制度は改正されています。令和6年11月分の手当からは、全部支給と一部支給の所得制限限度額が引き上げられ、第3子以降の多子加算額が増額されました。子どもが3人以上いる世帯では、この改正の影響が大きくなります。

資格取得を支える給付

机に向かって本を開いて勉強する女性

収入を上げる経路として、国はひとり親(母子家庭・父子家庭の双方)向けに2つの給付金を用意しています。どちらも実施主体は自治体で、平成15年度に創設された制度です。

高等職業訓練促進給付金

養成機関に通っている期間の生活費を支える給付金です。こども家庭庁の資料は「看護師など、経済的自立に効果的な資格を取得するために6月以上養成機関等で修学する場合に、生活費の負担軽減のため高等職業訓練促進給付金(月額10万円(住民税課税世帯は月額7万500円)、上限4年、課程修了までの最後の12か月は4万円加算)を支給する」と記しています。

もしあなたが今の収入では足りないと感じていて、資格を取りたいけれど通学中の生活が心配だという段階にいるなら、この制度がその期間を月額10万円で支える仕組みになります。最長4年まで、そして修了までの最後の12か月は4万円が上乗せされます。

どの資格が対象になるかは、実施主体である自治体が定めます。全国共通の対象資格の一覧は公表されていません。実際にこの制度を使って取られている資格は、実績で確かめられます。令和5年度の資格取得者数は2,988人で、内訳は看護師945人、准看護師686人、保育士245人、美容師160人などとなっています。就職者数は2,105人で、内訳は看護師812人、准看護師359人、保育士191人、美容師108人などです。

シングルマザーにおすすめの仕事を探しているなら、この実績が現実的な答えになります。国が生活費を支えてまで取得を後押しし、実際に毎年千人単位が取得して就職している資格だからです。ただし自治体実施率は令和5年度で97.2パーセント(884自治体/909自治体)なので、実施していない自治体もあります。自分の資格が対象になるか、申請をいつまでに行う必要があるかは、お住まいの自治体の窓口で確認してください。

なお、この給付金を使う人向けには、入学準備金50万円と就職準備金20万円を貸し付けるひとり親家庭高等職業訓練促進資金貸付事業も用意されています。

自立支援教育訓練給付金

養成機関に長期間通わずに、教育訓練講座を受講する場合の給付金です。資料には「教育訓練講座(雇用保険制度の教育訓練給付の指定講座など)を受講する母子家庭の母等に対して、対象講座の受講料の6割相当額(上限20万円または修業年数×40万円(最大160万円)(就職等した場合は修業年数×60万円(最大240万円)))を支給する」とあります。

上限額が条件によって分かれているので、自分が受けたい講座がどの区分に当たるかは自治体で確認が必要です。令和5年度の自治体実施率は95.2パーセント(865自治体/909自治体)でした。

2つの違いは対象の形です。高等職業訓練促進給付金は6か月以上の養成機関での修学が前提で、自立支援教育訓練給付金は指定された教育訓練講座が対象になります。看護師や保育士のように学校へ通う必要がある資格を目指すなら前者、働きながら短期の講座で技能を身につけるなら後者、という使い分けになります。

給付ではなく貸付という選択肢もあります。母子父子寡婦福祉資金は、就職のための技能習得や児童の修学など12種類の福祉資金を貸し付ける制度です。給付金と併せて、自治体の窓口や福祉事務所で相談できます。

相談できる公的窓口

手当と給付金の申請先は自治体ですが、仕事そのものを探す窓口は別に用意されています。どこに何を相談するかを分けておくと、動き出しが早くなります。

マザーズハローワーク

子育て中の女性等に向けた専門の支援窓口です。厚生労働省の事業で、こども家庭庁の資料は「子ども連れで来所しやすい環境を整備し、求職者の状況に応じた担当者制の個別支援を行う」と説明しています。令和7年度の設置箇所はマザーズハローワークが23か所、マザーズコーナーが183か所。体制は職業相談員239人、就職支援ナビゲーター325人、求人者支援員33人です。

一般のハローワークとの違いは、この2点にあります。子どもを連れて相談に行けること、そして担当者が付いて継続的に支援すること。令和5年度のマザーズハローワーク事業の就職件数は63,081件でした。ひとり親専用の窓口ではなく、子育て中の求職者全般が対象です。

母子家庭等就業・自立支援センター

ハローワークとは別系統の、ひとり親に向けた窓口です。資料には「母子家庭の母等に対し、就業相談から就業支援講習会、就業情報の提供等までの一貫した就業支援サービスや養育費相談など生活支援サービスを提供する」とあります。就業の相談だけでなく、講習会や養育費の相談まで扱う点が特徴です。

設置主体は都道府県・指定都市・中核市で、すべての市町村に置かれているわけではありません。令和5年度の実施状況は115か所(実施率89.1パーセント)で、内訳は都道府県46か所、指定都市20か所、中核市49か所。中核市の実施率は79.0パーセントなので、設置していない市もあります。相談件数は89,783件、就職件数は3,094件でした。

このほか、福祉事務所には母子・父子自立支援員が配置されています。令和5年度末現在で1,797人(常勤468人、非常勤1,329人)が、生活一般の相談指導と母子父子寡婦福祉資金の相談・指導にあたっています。個々の状況に応じた自立支援計画を作る母子・父子自立支援プログラム策定事業もあり、こちらの自治体実施率は65.6パーセント(596自治体/909自治体)です。

民間の特化サービス

公的窓口のほかに、シングルマザーに特化した民間の支援サイトもあります。はぴシェアは「シングルマザーの『働く』を応援する就職・転職支援サイト」として、求人情報の掲載に加えて、応募書類の添削・作成サポート、イベントやセミナーの開催、お金や住まいに関する情報提供、育児・家事支援情報の紹介、支援団体の紹介を行っています。会員登録は無料と記載されています。公的窓口が開いている時間に足を運ぶのが難しい場合、こうしたサービスから情報収集を始める手もあります。

窓口の使い分けを整理すると、児童扶養手当と2つの給付金の申請はお住まいの自治体、仕事探しと職業紹介はマザーズハローワーク、ひとり親向けの一貫した相談は母子家庭等就業・自立支援センター、生活全般と貸付の相談は福祉事務所の母子・父子自立支援員、となります。

続けられる職場の条件

収入の条件を満たしても、続けられなければ意味がありません。ここで見るのは、子どもの都合で休む必要が生じたときに、その職場がどう動くかです。

求人票の「子育て中の方活躍中」という表記は、子どもの急な発熱で当日休めるかどうかを保証しません。在籍している人がいるという事実を示しているだけで、休みの取りやすさとは別の話です。確認したいのは次のような点になります。当日の欠勤がどう扱われるか(連絡先と代替の立て方が決まっているか)。有給休暇がどのくらい取得されているか。同じように子どもを一人で育てている人が在籍しているか。そして通勤時間と、保育園や学童の閉所時刻との関係。

これらは求人票に書かれていないことが多いので、面接で聞く項目としてメモしておいてください。聞きにくいと感じる場合は、マザーズハローワークの担当者や母子家庭等就業・自立支援センターの相談員を通して確認する方法もあります。

そのうえで、収入の下限と休みの取りやすさのどちらを優先するかは、世帯によって答えが変わります。子どもが小さく預け先が限られる時期と、ある程度手が離れた時期では、譲れない条件の順序が入れ替わることもあるでしょう。求人を見る前に優先順位を決めておくと、条件を1つずつ照らして判断できます。

ひとり親に限らず、子育てと仕事を両立する働き方の全体像から見直したいなら、短時間勤務や子の看護休暇といった制度と、両立しやすい職種の比較まで含めて整理した記事があります。

参考記事:子育てと仕事を両立しやすい仕事とは?正社員求人の探し方

よくある質問

Q. シングルマザーに多い職業は何ですか?

職業別の集計は、確認した公的資料の範囲では見つかりませんでした。令和3年度全国ひとり親世帯等調査が示しているのは雇用形態別の割合で、正規の職員・従業員が48.8パーセント、パート・アルバイト等が38.8パーセント、自営業が5.0パーセント、派遣社員が3.6パーセントです。

Q. 持っておくと有利な資格はありますか?

高等職業訓練促進給付金を使って実際に取得されている資格が参考になります。令和5年度の資格取得者数は看護師945人、准看護師686人、保育士245人、美容師160人などでした。国が通学期間の生活費を支えてまで取得を後押ししている資格であり、就職者数も看護師812人、准看護師359人と続いています。どの資格が対象になるかは自治体が定めるため、窓口で確認してください。

Q. 月にいくらあれば生活できますか?

世帯の人数・住居費・地域によって変わるため、一律の金額は示せません。収入の側で確かめられる数字なら、母子世帯の母の平均年間就労収入が正規の職員・従業員で344万円、パート・アルバイト等で150万円(令和3年度調査)、児童扶養手当の全部支給が月額48,050円(令和8年4月からの見込額)です。この2つを足したものが世帯の収入の目安になります。

Q. 在宅の仕事でも生活していけますか?

在宅で働けるかどうかは職種と企業によって分かれます。判断で押さえたいのは、雇用されて在宅勤務をするのか、業務委託として仕事を受けるのかという違いです。前者は給与と社会保険がありますが、後者は仕事量によって収入が変動します。在宅の収入相場を示す公的統計は確認できませんでした。

Q. 父子家庭でも同じ制度を使えますか?

使えます。児童扶養手当は父子家庭も対象で、令和7年3月時点の受給者777,962人のうち父が35,915人を占めています。高等職業訓練促進給付金、自立支援教育訓練給付金、母子父子寡婦福祉資金もひとり親家庭が対象です。ただし本記事で示した就労収入の実態は母子世帯の数値なので、父子世帯の平均年間就労収入(496万円)とは水準が異なります。

まとめ

シングルマザーの仕事選びでは、求人票の給与だけでは世帯の手取りが決まりません。給与に児童扶養手当が加わり、その手当は所得に応じて段階的に減るためです。そのうえで収入に効くのは職種よりも雇用形態で、母子世帯の母の平均年間就労収入は正規の職員・従業員344万円に対しパート・アルバイト等150万円と、年間194万円の差がついています。

雇用形態を変える経路として、国は資格取得を支える2つの給付金を用意しています。養成機関に通うなら高等職業訓練促進給付金が月額10万円で通学期間を支え、短期の講座なら自立支援教育訓練給付金が受講料の6割相当額を支給します。実際にこの制度で取られている資格は看護師・准看護師・保育士・美容師などです。

次にやることは、窓口を1つ決めて足を運ぶことです。手当と給付金の話ならお住まいの自治体の窓口、仕事探しならマザーズハローワーク。今の収入で児童扶養手当がいくらになるかと、目指したい資格が給付金の対象になるかを、その場で確認してください。制度の実施状況は自治体によって違うので、調べるより聞くほうが早く済みます。

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