天職みつかーる
更新日:2026/05/18

みなし残業(固定残業代)の正しい計算方法|基本給と超過分からブラック企業を見抜く

みなし残業(固定残業代)の正しい計算方法|基本給と超過分からブラック企業を見抜く

この記事の要約

みなし残業(固定残業代)が設定されている会社は損をするのではないか、給与明細の見方がよくわからないと不安に感じている方は少なくありません。
求人票に「みなし残業代を含む」と書かれている場合、その仕組みを正しく理解していないと、知らず知らずのうちに不当な労働環境を受け入れてしまう可能性があります。
この記事では、みなし残業代の正しい計算方法や最低賃金割れのチェック手順、そしてブラック企業を見抜くための実践的なポイントを解説します。

みなし残業(固定残業代)とは?給与の仕組みと罠

みなし残業=残業し放題という誤解

みなし残業とは、実際の残業時間にかかわらず、あらかじめ定めた一定時間分の残業代を定額で支払う給与制度のことです。
正式には固定残業代と呼ばれ、求人票などでは見込み残業と表記されることもあります。
この制度を導入している企業は少なくありませんが、多くの人が「みなし残業が設定されていると、いくら残業しても給料が変わらない」という誤解を持っています。

実際には、あらかじめ設定された時間を超えて働いた分については、企業は超過分を別途支給する義務があります。
もし超過分が支払われていない場合は労働基準法に抵触する可能性が高いため、自分の給与の仕組みを正しく理解しておくことが重要です。
まずは給与体系全体の基本知識を押さえることで、自分が受け取るべき正当な金額を把握できるようになります。

参考記事:【20代向け】給与の「額面」と「手取り」の違いとは?

厚生労働省が定める「適法な固定残業代」の3要件

法律で定められた明確なルールと明示事項

固定残業代を導入する際、企業は労働者に対して明確な情報を提示しなければならないと法律で定められています。
「若者雇用促進法」に基づく厚生労働省の指針によると、事業主が求人や募集を行う際、固定残業代を賃金に含める場合には、以下の3つの要件をすべて明示することが義務付けられています(出典: 厚生労働省 若者雇用促進法に基づく指針、2026年)。

要件記載すべき具体的な内容
①基本給の額固定残業代を除いた純粋な基本給の金額
②計算方法の明示固定残業代に相当する労働時間数と、その金額
③超過分の支払い固定残業時間を超えた場合、割増賃金を追加で支払う旨の記載

求人票や雇用契約書において、単に「月給25万円(固定残業代を含む)」とだけ記載され、基本給と固定残業代の内訳や時間数が書かれていない場合、その契約は適法な状態とは言えない恐れがあります。
適法な固定残業代の要件を満たしているかをチェックすることが、安心して働ける環境を見極めるための第一歩となります。

「基本給に含まれる」は危険?最低賃金割れをチェックする方法

「基本給に含まれる」は危険?最低賃金割れをチェックする方法

基本給の時給換算で最低賃金法違反を見抜く

求人票にみなし残業代が含まれた高い月給が提示されている場合、見かけの金額に惑わされず、純粋な基本給が最低賃金を下回っていないかを確認することが大切です。
厚生労働省の規定によると、月給制の場合における最低賃金の確認は、以下の計算式で1時間あたりの金額を算出して比較します(出典: 厚生労働省「最低賃金額以上かどうかを確認する方法」、2026年)。

月の基本給÷1ヶ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

月の基本給は、固定残業代はもちろんのこと、通勤手当、家族手当、皆勤手当、そして臨時に支払われる結婚手当などは除外します。

もし基本給部分の時給換算額が、お住まいの地域の最低賃金を下回っている場合は、最低賃金法に違反している可能性が高いと言えます。
その場合、労働基準監督署などの専門機関へ相談することをおすすめします。

固定残業代(みなし残業)の時間別シミュレーション

逆算で自分の給与を確かめる方法

ここでは、ご自身の給与明細から基本給や残業代の単価を逆算し、固定残業代の適正な金額を割り出すシミュレーションを行います。
計算の前提として、1箇月平均所定労働時間を160時間、純粋な基本給を20万円と仮定します。
この場合、基本給の時給は1,250円となり、残業時の割増賃金(1.25倍)は時給1,562.5円となります。
みなし残業の計算をエクセルなどで自分で行う際にも、この基礎数値を当てはめて活用してください。

みなし残業30時間の場合の計算例

基本給20万円に対して、30時間分のみなし残業代が設定されている場合を算出します。
割増時給の1,562.5円に30時間を掛けることで、固定残業代の適正額が導き出されます。
このケースでは、固定残業代は46,875円となり、求人票には「月給246,875円(基本給200,000円、固定残業代30時間分46,875円を含む)」と記載されるのが適正な形です。

みなし残業40時間の場合の計算例

同様に、40時間分のみなし残業代が設定されている場合を計算します。
割増時給1,562.5円に40時間を掛けると、固定残業代は62,500円となります。
月給の総額は262,500円となりますが、もし実際の残業時間が40時間を超えた場合は、超過した時間分に対して別途1,562.5円の時給で計算された金額が追加支給されなければなりません。

みなし残業45時間の場合の計算例

45時間分のみなし残業代が設定されている場合、割増時給1,562.5円に45時間を掛けて、固定残業代は70,313円(端数四捨五入)となります。
労働基準法における時間外労働の上限原則が月45時間となっているため、この時間数を設定している企業は多く見られます。
超過分の計算方法についても同様で、もし月に50時間の残業をした場合は、設定された45時間を差し引いた5時間分について、割増時給で計算した7,812円が追加で支払われる必要があります。
追加支給がない場合は未払い残業代として請求できる可能性があります。

こんな給与明細・求人票はブラック企業を疑え!

こんな給与明細・求人票はブラック企業を疑え!

違法の可能性が高い危険なサイン

これまでの計算方法や法律のルールを踏まえ、労働環境に問題があると考えられる企業の特徴を整理します。
以下の項目に該当するような求人票や給与明細を見かけた場合は、企業側に悪意がある、または法令遵守の意識が低い可能性があるため、慎重に判断することが求められます。

  • 固定残業時間が長すぎる設定になっている
    • 月80時間や100時間といった過労死ラインを超えるような時間が設定されている場合は、長時間の労働を常態化させる意図があると考えられます。
  • 給与明細に内訳の記載が一切ない
    • 基本給とみなし残業代が明確に分けられておらず、どんぶり勘定で支払われている場合は、法律が定める明示義務に違反している恐れがあります。
  • 超過分が支払われた実績がない
    • 面接時などに確認した際、規定の時間を超えても追加支給を行っていないことが判明した場合は違法状態です。
  • 基本給の時給換算が最低賃金を下回っている
    • 見かけの月給が高くても、計算してみると最低賃金割れを起こしているケースは少なくありません。

これらのサインに気づいた場合は、入社を見送るか、すでに働いている場合は早めの転職や労働基準監督署への相談を検討することをおすすめします。

固定残業代のトラブルを避ける!転職活動のポイント

泣き寝入りせず適切な環境へステップアップを

現在の職場で違法なみなし残業制度が横行しており、改善の余地が見られない場合、個人で会社と交渉するのは精神的にも大きな負担となります。
未払い残業代の請求などについては労働基準監督署などの専門機関へ相談しつつ、並行して法令をしっかりと遵守しているホワイト企業への転職活動を進めることが、ご自身のキャリアと生活を守る有効な手段となります。
転職活動においては、求人票の裏側にある給与体系をプロの視点で確認してくれる転職エージェントの活用が大きな助けとなります。

マイナビジョブ20’s

20代の転職支援に特化したマイナビジョブ20’sは、初めての転職や第二新卒の方に多く利用されているサービスです。
専任のキャリアアドバイザーが求人票の細かな給与規定や労働条件を事前に確認し、固定残業代の仕組みが適正に運用されている企業を厳選して紹介してくれます。
ブラック企業を避けて、基本給のベースがしっかりしている会社を選びたい方に適した選択肢と言えます。

第二新卒エージェントneo

第二新卒エージェントneoは、若手層のポテンシャル採用に強みを持つ転職支援サービスです。
担当者が実際に企業へ足を運んで労働環境や社風をヒアリングしているため、求人票の文字面だけでは見抜けないリアルな残業時間や給与の支払い実態を把握しています。
みなし残業に関する不安や疑問についても、企業へ直接聞きにくいことをエージェントが代行して確認してくれるため、入社後のギャップを防ぐことができます。

まとめ

みなし残業代の正しい仕組みは、基本給と固定残業代が明確に分けられ、時間を超過した分は必ず追加で支払われるという点にあります。
求人票の高い月給に惑わされず、手当を除外した純粋な基本給を時給換算し、最低賃金を下回っていないかを自分の手で計算して確かめることが、ブラック企業の罠を回避するための重要な防衛策となります。
自分の労働の価値を正しく計算できる知識を持ち、違法な環境で不当に搾取されることのないよう、安心して働ける適正な環境へのステップアップを目指していきましょう。

  1. Top >
  2. 転職お役立ち情報一覧 >
  3. みなし残業(固定残業代)の正しい計算方法|基本給と超過分からブラック企業を見抜く