転職先として見る東京電力の給料|東日本大震災の前に戻ったのか
この記事の要約
東京電力への就職や転職を考えている方に向けた記事です。2011年3月の東日本大震災で下がった給料が戻ったのかどうかを、有価証券報告書の数字で確かめます。先に結論を書くと、震災の直後に2年で2割以上下がったのは事実ですが、現在の金額を震災前と直接比べることはできません。この15年で、平均を出すときに数える人が2回変わっているためです。まず検索で出てくる平均年収882万円が誰を数えた額なのかを確認し、次に震災のあとの推移を9期分並べて、数える人が変わった2か所を示します。そのうえで、募集要項から分かる給与の決まり方と学歴別の初任給、応募前に確認する項目を見ていきます。
2026年3月期の平均年収は882万円
東京電力ホールディングスの平均年間給与は、2026年3月期で8,828,772円です。前の事業年度からは2.7%増えています。同じ年度の従業員数は7,157人、平均年齢は45.1歳、平均勤続年数は22.1年でした。いずれも有価証券報告書の「従業員の状況」に記載されている数値です。
水準を掴むために、国税庁の調査と並べてみます。令和6年分の民間給与実態統計調査によると、1年を通じて勤務した給与所得者のうち正規(正社員・正職員)の平均給与は545万円でした。882万円はこれを大きく上回ります。調査の時点が一致しないため厳密な比較にはなりませんが、水準の目安にはなります。
ただし、この882万円をそのまま「東京電力で働く人の平均年収」と受け取ると、実態からずれます。誰を数えた数字なのかを先に確認しておく必要があります。
この882万円は誰の数字か
有価証券報告書の平均年間給与は、提出会社の従業員だけを平均した額です。東京電力の場合、提出会社は持株会社である東京電力ホールディングス株式会社であり、その従業員数は7,157人です。
一方、同じ有価証券報告書に載っている連結会社の従業員数は38,341人です。セグメント別の内訳は次のとおりです。
| セグメント | 従業員数 |
|---|---|
| ホールディングス | 12,994人 |
| フュエル&パワー | 0人 |
| パワーグリッド | 20,469人 |
| エナジーパートナー | 3,210人 |
| リニューアブルパワー | 1,668人 |
| 合計 | 38,341人 |
(出典: 東京電力ホールディングス 第102期 有価証券報告書。従業員数は就業人員数で、臨時従業員は除く)
フュエル&パワーが0人になっているのは、この区分の事業を担う人が連結の外に移っているためです。有価証券報告書の沿革によると、2016年4月に燃料・火力発電事業を引き継いだ東京電力フュエル&パワー株式会社は、2016年7月に燃料の調達事業と海外の火力発電事業を、2019年4月に燃料の受入・貯蔵・送ガス事業と既存の火力発電事業などを、いずれも株式会社JERAへ吸収分割で承継しました。JERAは連結子会社ではなく持分法を適用する関連会社なので、火力発電と燃料を担う人はこの表の従業員数に入りません。区分そのものは、火力発電による電力の販売や燃料の調達を担う事業として残っています。
38,341人に対して、882万円という平均の算定対象は7,157人です。全体の2割弱にあたります。残りの3万人あまりは事業会社に在籍しているため、この平均には入っていません。
基幹の事業会社は820万〜840万円台
では事業会社の水準はどうかというと、有価証券報告書が開示しているのは2社だけです。従業員数が最も多い会社と、その次に多い会社です。開示の対象がこの2社に限られているため、ここでもその2社を見ます。比べる基準として、先に見た提出会社の数字も同じ表に並べます。
| 会社 | 従業員数 | 平均年齢 | 平均勤続年数 | 平均年間給与 |
|---|---|---|---|---|
| 東京電力ホールディングス(提出会社) | 7,157人 | 45.1歳 | 22.1年 | 8,828,772円 |
| 東京電力パワーグリッド | 13,888人 | 45.7歳 | 24.9年 | 8,239,033円 |
| 東京電力エナジーパートナー | 2,492人 | 44.6歳 | 21.0年 | 8,384,016円 |
(出典: 東京電力ホールディングス 第102期 有価証券報告書。いずれも2026年3月31日現在)
3社とも820万円台から880万円台に収まっていて、大きく離れてはいません。ただし持株会社の882万円が3社のなかで最も高く、従業員数が最も多いパワーグリッドとは59万円の差があります。
この3社の差は、入社時の条件の差ではありません。東京電力のキャリア採用の募集要項には、5社合同で募集・選考を実施すること、各社への転籍・出向がありうること、そして「各社に採用条件の差異はございません」と明記されています。会社ごとに平均年間給与が違うのは、在籍している人の平均年齢と平均勤続年数が違うためです。
東日本大震災のあと給料はどう動いたか

東京電力の給料については、2011年3月の東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故で下がったまま戻っていないという話と、すでに震災前の水準を超えたという話の両方が出回っています。入社後の水準を考えるなら、どちらが実際なのかは知っておきたいところです。
これを確かめられる資料は有価証券報告書だけです。ただし金額を並べるだけでは答えが出ません。この15年のあいだに、平均を出すときに数える人が2回変わっているからです。誰を数えた金額なのかを見ないと、同じ資料から逆の結論が出ます。
有価証券報告書で追える推移
各期の有価証券報告書から、提出会社の平均年間給与と従業員数を抜き出したものが次の表です。金額の列だけでなく、従業員数の列を一緒に見てください。数える人が変わった箇所は、そこに表れます。
| 決算期 | 平均年間給与 | 従業員数 | 平均年齢 |
|---|---|---|---|
| 2011年3月期 | 7,613,501円 | 36,683人 | 40.9歳 |
| 2012年3月期 | 6,537,531円 | 37,459人 | 41.1歳 |
| 2013年3月期 | 6,196,181円 | 36,077人 | 41.9歳 |
| 2015年3月期 | 7,092,641円 | 32,831人 | 42.6歳 |
| 2016年3月期 | 7,330,408円 | 32,440人 | 43.3歳 |
| 2017年3月期 | 8,221,552円 | 7,743人 | 44.7歳 |
| 2020年3月期 | 8,120,878円 | 8,291人 | 45.4歳 |
| 2023年3月期 | 8,144,373円 | 7,051人 | 45.0歳 |
| 2026年3月期 | 8,828,772円 | 7,157人 | 45.1歳 |
(出典: 各期の有価証券報告書。2016年3月期以前の提出会社名は東京電力株式会社)
金額の列だけを追うと、761万円が620万円まで下がり、その後882万円まで戻って震災前を超えた、という話になります。実際そう書いている記事もあります。しかし従業員数の列を見ると、36,683人が7,157人になっています。同じ会社の同じ社員を追いかけた表ではありません。
数える人が変わった2か所
1つ目は、平均に管理職が入っているかどうかが途中で変わっていることです。
2011年3月期と2012年3月期の注記には、「監督若しくは管理の地位にある者を算定対象に含まない」と書かれています。つまり表に載っている761万円は、管理職を除いた人たちの平均です。同じ注記に、管理職を含めた場合の額も併記されていて、2011年3月期は8,092,275円、2012年3月期は6,889,738円でした。
2013年3月期以降、この管理職を除くという記載は注記から消えます。したがって620万円は管理職を含んだ平均です。管理職を含む数字同士で並べ直すと、809万円から620万円への変化になります。2年で2割以上の減少で、表の見た目より下げ幅は大きくなります。
2つ目は、2016年4月1日の会社分割で、数える対象が持株会社だけになったことです。
表を見ると、2016年3月期に32,440人だった従業員数が、2017年3月期には7,743人に減っています。2017年3月期の有価証券報告書の注記が、その理由をこう説明しています。前の事業年度末から24,697名減少したのは、平成28年4月1日に、燃料・火力発電事業、一般送配電事業、小売電気事業等を、それぞれ会社分割によって東京電力フュエル&パワー、東京電力パワーグリッド、東京電力エナジーパートナーに承継させたためである、と。
同じ年に平均年間給与は733万円から822万円へ、89万円上がっています。しかしこれは1人ひとりの給料が上がったのではなく、平均を取る母集団が入れ替わった結果です。分割によって送配電や小売の現場を担う人たちが事業会社側に移り、持株会社に残った人たちだけの平均になりました。
2026年3月期の882万円が2011年3月期の761万円を上回っているのは、給料が震災前の水準に戻ったからではありません。数えている人が変わっているためです。この2つの数字は、そもそも比較の対象になりません。
一方で、下がっていないとも言えません。持株会社という同じ枠で見れば2017年3月期の822万円から2026年3月期の882万円まで増えていて、直近も前年比2.7%増です。言えるのは、震災前後をまたいだ比較には意味がない、という一点です。
数字が動いた背景については、会社自身の資料に記載があります。2012年の年次報告に掲げられた合理化計画では、費用項目の1つである人件費の内訳として「人員削減、給与・賞与削減、退職給付制度・福利厚生制度見直し等」が挙げられ、10年間で12,758億円という削減額が示されていました。給与と賞与の削減が計画の項目として置かれていたということです。ただしこれは会社全体の費用の話であり、1人あたりの減少額を示すものではありません。
他の電力会社と並べたときにどの位置にあるかを知りたい場合は、以下の記事で大手10社の水準をまとめています。
給与の決まり方と初任給
平均年間給与は結果の数字なので、これから入る人にとっては、給与がどういう仕組みで決まるのかのほうが実用的です。公表されている募集要項から読み取れる範囲を整理します。
年俸制が採られていて、賞与という項目が置かれていない
東京電力にボーナスがあるのかどうかは、募集要項に答えにあたる記載があります。
キャリア採用の募集要項の給与欄には、経験等を考慮のうえ会社規定に基づいて決定するとしたうえで、「基本年俸および個人業績年俸(各人の業績に応じて支給)から構成される年俸制を採用」と書かれています。基本年俸の内訳は、基本給と、勤続年数に応じて支給される勤務給、勤務地・扶養状況に応じて支給されるライフサイクル手当です。ここに賞与という項目はありません。
有価証券報告書の注記も同じ方向を向いています。2012年3月期までの注記は「基準外賃金及び賞与を含む」でしたが、2013年3月期以降は「基準外賃金を含む」だけになり、賞与の語が消えています。
賞与という項目が置かれていないということは、月給に賞与の月数を足して年収を見積もる計算が当てはまらないということです。他社と比べるときは、募集要項に書かれた年俸の額をそのまま見てください。
なお、募集要項と有価証券報告書から言えるのはここまでです。募集要項に賞与の項目が無いという事実は確認できますが、制度として廃止されたかどうかまでは、公表されている資料からは読み取れません。
初任給と昇給・手当
新卒採用の募集要項には、2026年4月新卒初任給見込みとして学歴別の月額が示されています。
| 学歴 | 初任給(月額) |
|---|---|
| 大学院博士修了 | 343,300円 |
| 大学院修士修了 | 317,200円 |
| 大学学部卒業 | 291,000円 |
| 高等専門学校専攻科修了(学士) | 291,000円 |
| 高等専門学校本科卒業 | 255,800円 |
| 短期大学卒業 | 240,500円 |
| 専門学校卒業 | 240,500円 |
(出典: 東京電力 新卒採用サイト 募集要項。2026年4月新卒初任給見込み)
昇給は原則年1回、諸手当は時間外手当や作業手当などと記載されています。新卒でもキャリア採用でも、この昇給と諸手当の記載は共通です。
初任給と882万円という平均年間給与の間には、平均勤続年数22.1年という距離があります。募集要項に書かれた額と有価証券報告書の平均年間給与は、同じ人の別の時点の数字だと考えてください。
外部から人を採る方針とその背景
冒頭から追ってきた震災後の推移は、給料の話だけで終わりません。同じ出来事が、いま東京電力が人を採る理由にもつながっています。
2026年1月26日に認定された第五次総合特別事業計画に、人財マネジメントの現状認識として次の記述があります。労働市場の売り手市場化や電力関係学科で学ぶ学生数の減少に加えて、「震災直後の採用凍結などに起因した社員の年齢構成の歪みにより中間・若年層の不足が顕著となる中、大量採用世代の退職により、人員数が減少することも見込まれている」という内容です。
震災後に起きたのは給与の抑制だけではなく、採用の凍結でもありました。凍結された期間に入社しなかった層が、そのまま中間層の薄さとして残っています。同時に、大量に採用された世代が退職期を迎えます。この2つが重なるところに、外部から人を採る必要が生じています。
計画では、この状況への対応として次の方針が示されています。
1つ目は、外部人財の確保と登用です。マネジメント層も含めて外部人財を積極的に確保・登用するとしたうえで、従来の採用チャネルに加えてヘッドハンティングや社外ネットワークを活用し、外部市場で能動的に採用活動を行うこと、処遇制度の整備・拡充を通じて人財の確保と定着を進めることが挙げられています。
2つ目は、処遇体系の柔軟化です。社内外の優秀な人財を確保するとともに離職を防止するため、シニア人財を含む処遇体系をさらに柔軟にし、タレントマネジメントによる人財配置や、人財公募による挑戦機会の提供を進めるとしています。
3つ目は、廃炉を担う人財の確保です。廃炉事業遂行能力を持つ人財を中長期にわたって確保するため、給与体系や福利厚生、教育・訓練環境の整備を含む人財獲得・育成システムを構築するとしています。そのうえで、構築には時間がかかるため、当面は福島第一廃炉推進カンパニーにおいて高度専門人財の中途採用ができる柔軟な採用体系を整備・運用する、と書かれています。
読み取れるのは、採用と処遇の制度そのものを動かす方針が計画に書き込まれている、ということです。ただし計画が述べているのは方針までで、年収がいくらになるという見通しは示されていません。処遇制度を整備・拡充するという記述を、給与水準が上がる予告として読むことはできません。
どの職種で募集があるか、異業種からの経験がどう評価されるかについては、以下の記事でインフラ業界全体の中途採用の動きを整理しています。
応募前に確認すること

ここまでの内容を、募集要項で確認する項目に置き換えます。キャリア採用の募集要項に記載されている内容は次のとおりです。
| 確認すること | 募集要項の記載 |
|---|---|
| 給与の決まり方 | 経験等を考慮のうえ会社規定に基づいて決定。基本年俸と個人業績年俸から構成される年俸制 |
| 昇給・諸手当 | 昇給は原則年1回。時間外手当、作業手当など |
| 応募資格 | 原則として60歳未満(例外事由1号) |
| 勤務地・転勤 | 関東各都県および山梨県、静岡県、福島県、長野県、新潟県、青森県、海外事務所など。転勤あり |
| 就業時間 | 8時40分から17時20分(休憩1時間を含む)。時間外労働は2023年度実績で月平均24.3時間。職種により通常勤務・フレックス勤務・三交代勤務・宿直など |
| 休日・休暇 | 完全週休2日制(土・日)、国民の祝日、年末年始。普通休暇は年20日(勤続1年未満は2日から15日) |
| 住まいの支援 | 独身寮・単身寮・家族寮あり。家賃補助制度は30歳以上。転居費用の会社負担あり(条件あり) |
| 働き方 | 在宅勤務はリモートワークを希望する全社員が対象 |
(出典: 東京電力ホールディングス キャリア採用 募集要項)
このうち最初に押さえたいのは、給与の決まり方です。年俸制で、経験を考慮して個別に決まります。平均年間給与の882万円は勤続22年前後の層を含めた平均なので、自分の見込みとは別の数字です。応募する求人票に書かれた条件を見てください。
もう1つ、所属先の決まり方も押さえておいてください。キャリア採用は東京電力ホールディングスが窓口となり、ホールディングス、フュエル&パワー、パワーグリッド、エナジーパートナー、リニューアブルパワーの5社合同で募集・選考が行われます。各社への転籍・出向がありうる前提の募集なので、応募の段階でどの会社に所属するかを選ぶ形にはなりません。
情報を集める段階で転職エージェントを併用する方法もあります。リクルートエージェントは、リクルートが運営する転職エージェントです。サイトに掲載していない非公開求人を保有し、キャリアアドバイザーが職務経歴書の書き方の助言、過去の質問例を踏まえた面接対策、年収交渉や入社日の調整までを行います。求人票に加えて企業レポートを作成するため、募集要項だけでは分からない情報を得られる場合があります。
よくある質問
Q. 東京電力の平均年収はいくらですか?
2026年3月期の有価証券報告書に基づく平均年間給与は8,828,772円で、前の事業年度から2.7%増えています。同じ年度の従業員数は7,157人、平均年齢は45.1歳、平均勤続年数は22.1年でした。ただしこれは提出会社である東京電力ホールディングスの数字です。連結の従業員数は38,341人なので、グループ全体の平均ではありません。
Q. 震災前の水準に戻ったのですか?
数字だけを並べれば2026年3月期の882万円は2011年3月期の761万円を上回りますが、この2つは比較できません。理由が2つあります。2011年3月期の761万円は管理職を除いた平均で(管理職を含めると809万円)、2013年3月期以降は管理職を含む平均に変わっています。さらに2016年4月1日の会社分割で24,697名が事業会社に移り、2017年3月期以降は持株会社の社員だけの平均になりました。数えている人が違うため、震災前後をまたいだ比較には意味がありません。
Q. 賞与(ボーナス)はありますか?
公表されている募集要項には、賞与という項目がありません。給与欄には「基本年俸および個人業績年俸(各人の業績に応じて支給)から構成される年俸制を採用」と記載され、基本年俸の内訳は基本給、勤務給、ライフサイクル手当とされています。有価証券報告書の注記も2013年3月期以降は「基準外賃金を含む」となり、それ以前にあった賞与の語が消えています。月給に賞与を足して年収を見積もる計算は当てはまらない、と考えてください。
Q. グループ会社によって給料は違いますか?
有価証券報告書に載っている2026年3月期の平均年間給与は、東京電力ホールディングスが8,828,772円、東京電力パワーグリッドが8,239,033円、東京電力エナジーパートナーが8,384,016円です。ただしこの差は採用条件の差ではありません。キャリア採用は5社合同で実施され、募集要項には各社に採用条件の差異は無いと明記されています。金額の差は、在籍している人の平均年齢と平均勤続年数の違いによるものです。
Q. 中途採用はありますか?
キャリア採用が実施されています。東京電力ホールディングスが窓口となり、フュエル&パワー、パワーグリッド、エナジーパートナー、リニューアブルパワーを含む5社合同で募集・選考が行われる形です。第五次総合特別事業計画にも、マネジメント層を含む外部人財の確保・登用や、福島第一廃炉推進カンパニーにおける高度専門人財の中途採用に向けた柔軟な採用体系の整備が方針として書かれています。募集の顔ぶれは時期によって変わるため、採用ページで確認してください。
まとめ
東京電力を転職先の候補にするかどうかを考えるとき、給料について押さえておきたいのは次の3点です。
第一に、2026年3月期の平均年間給与8,828,772円は、提出会社である東京電力ホールディングスの7,157人を平均した額です。連結の従業員数は38,341人なので、グループ全体の平均ではありません。基幹の事業会社であるパワーグリッドは823万円台、エナジーパートナーは838万円台でした。
第二に、震災で下がったままなのかどうかは、有価証券報告書の数字からは判断できません。推移の途中で数える人が2回変わっているためです。2013年3月期に管理職が算定対象へ加わり、2017年3月期からは会社分割によって持株会社の社員だけの平均になりました。持株会社という同じ枠で見れば2017年3月期の822万円から882万円まで増えていますが、震災前と比べて上がったのか下がったのかは、この数字では答えが出ません。
第三に、給与は年俸制で、募集要項に賞与という項目がありません。月給に賞与を足して年収を見積もる計算は当てはまらないため、他社と比べるときは募集要項の年俸の額をそのまま見てください。
応募前にできることを1つ挙げるなら、興味のある求人票の給与欄を、有価証券報告書の平均年間給与と切り離して単独で読むことです。年俸制で経験を考慮して個別に決まる以上、自分に近い数字はそこにしかありません。